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第4章 4-8 嘘だろ?

 レクターが放った斥候の情報で魔物の群れが居る場所の最終確認が行われた。魔女側にも勇者候補の1人であるツムギの情報を流したので魔物たちもツムギが近くに来ていることは把握しているハズだ。魔女側も罠の可能性を考えているが勇者候補を目の前にすれば無視はできない、異世界アヴェルトで唯一魔女を倒せる存在、魔女の天敵を魔女を崇める魔物たちは間違いなく殺しに来る。


 「絶対生き延びてやる」


 1人立ち尽くすツムギは決意を口に出す。こちらの優位性は情報を伏せているもう1人の勇者候補のユナだ。彼女が百近い魔物を屠る強力な光魔法を使えるなど相手は知るはずもない、しかし強力な魔法には発動の時間もかかるので最初の1撃目で決めなくてはならない、自分の役目は魔物を1ヶ所に留めることだ。

万が一魔物を逃がしても数匹なら問題はない、しかし半数以上の魔物を打ち漏らしたならば形勢は一転してこちらが圧倒的に不利になる。

魔物の群れはユナが呪文を放つ予定の所に現れた、ツムギは覚悟を決めて魔物の群れへと走り出した。


 「ウォオオオオー」


 ツムギは大声を出して魔物の群れに奇襲をした、自分の役目は後方に居るユナとユナを護衛する集団に魔物が気付かないように自分に注目を集めることだ。

 歪な姿の魔物たちは(中には人型に近い魔物も居るが)慌てている様子はうかがえなかった。勇者候補とはいえ1人だからあなどっているのだろうか?そんな考えが一瞬頭をよぎる、しかしそんな余裕はすぐなくなりガムシャラに剣を振り回す。

 ユナは前もって呪文を詠唱しているはずなのでそう長い時間ではない、魔物の注目を集めて自分の身を何としても守らなくては、ツムギは剣を振り回した。しかし緊張からか手に掻いた汗で剣が手からすっぽ抜けて後方にと飛んで消えていった。


 「嘘だろ?」


 ツムギは冗談のような状況となった。


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