第4章 4-7 夢の中の少年
ツムギは夢の中に居た。ツムギは視界に違和感を覚えて顔に手をやる、すると自分の顔には仮面が付いていた。前の夢と同じ黒い仮面を付けた自分がそこにいた。
前の夢と違い周りの景色はぼやけていて自分が何処にいるのか全く分からない、しかし自分の手はハッキリと見えた、険を握り締めた手は血で赤黒くなっていた。
ツムギの目の前に自分よりも幼い少年が立っている、目の前の少年も剣を握っていたその少年の剣は自分が女神様に授かった剣とよく似ていた。
「―――――――――」
少年が何か喋っているが聞き取れない、いや、自分も喋って会話をしている。しかし少年が何を喋っているのか、自分が何を話しているか、夢を見ているツムギには何一つ分からなかった。
夢の終わりが近づいているとツムギは何故かそんな気がした。
「お互いの願いが叶うといいね」
少年の最後の言葉だけはツムギは聞くことができた。ツムギは自分の願いとは何なのだろうか?そんな疑問を抱きながら夢から覚めた。
ツムギが目を開けるとルティとフランとヴィルヘルムが出発の準備をしていた、これから自分を使った囮作戦が始まるのだ。恐怖はあったがそれに負けない勇気を、昨晩のルティと夢の中で会った少年に貰った気がした。
この作戦の意外な結末をツムギはまだ知る由もなかった。




