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第4章 4-5 今更知ったこと

 一晩明けてツムギたちは魔物討伐の作戦の地へと出発をした。ユナたちは遅れて出発をするらしい、先代勇者のパーティーの1人であったジャックが今は離れているためジャックが戻ってからレクターたちと護衛の軍団と共に旅をするらしい。

 ツムギとしては堅苦しい護衛と旅などしないで良かったが同じ勇者候補なのに扱いの差がツムギとユナで天と地ほど違っていた。

 しかしツムギたちにも護衛が1人だけ付けられた。


 「いやー今日は暑いね、水浴びでもしたい気分だよ」


 護衛として一緒に同行しているヴィルヘルムは1人だけ馬に乗ってツムギたちに話しかけてきた。


 「なんでアンタは馬に乗っててアタシたちは徒歩なのよ、それと本当は男なんでしょ?なんで女装してんのよ」


 ルティはヴィルヘルムの文句を垂れた。


 「いやー、僕は護衛って名目だけど監視の意味合いの方が強いんだよね、ツムギ君たちが本当に魔女と内通していて逃げられたら馬で馬を追いかけてたら逃げられる可能性があるからってレクターの爺さんに言われていてね」


 「私も馬に乗っていてゴメンナサイ」


 フランは申し訳なさそうに謝った。体力に自信のフランもヴィルヘルムの馬に一緒に乗せてもらっていた。


 「別にフランはいいのよ、むしろフランは私と同じか弱い女の子なんだから馬車でも用意してほしいくらいよ」


 ルティのか弱い発言にヴィルヘルムは笑っている。ルティその辺に落ちてる石を拾うとヴィルヘルムに投げつけた。ヴィルヘルムはヒョイッと軽く石をかわす。

 ツムギはそんなやり取りを見てこれから死地へと向かって行く恐怖が少しだけ薄れた。そしてヴィルヘルムに気になっていたことツムギは尋ねた。


 「女装は置いといてさ、剣聖なんて呼ばれてるのに今は剣を持って無いけどいいの?」


 「邪魔だから置いてきたね、この恰好(女装)だとやっぱりない方が可愛いでしょ?」


 ツムギは女装するために剣を帯刀していないヴィルヘルムに不安を覚えた。何を考えているのだと心の中でつぶやく。


 「いざとなったら念じれば手元にくるから安心してよ、ツムギ君の武器と一緒さ」


 「えっ?」


 ヴィルヘルムの説明にツムギは驚きの声を上げた。異世界アヴェルトに来て4ヶ月以上の時間が経つが今更自分の武器の知らない性能に驚愕した。


 「あれっ、知らなかったの?女神様の武器は勿論だけど、それ以外の特別な武器の中にも念じるだけで空間を飛んで持ち主の手元にくるんだよ」


 ツムギは今までそんな大事な説明をしてなかったルティに抗議の視線を送る。ルティはサッと顔を横に背けて口笛を吹いている。

 ツムギは自分の旅が無事に終わりを迎えるのか強い不安を抱くのであった。


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