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第4章 4-3 作戦内容

 賢人会の1人であるレクターからのツムギに課せられた任務は驚くものであった。百近い魔物の群れが村々を蹂躙して進軍してきている、その百近い魔物の軍団をツムギは囮となり1人で足止めを命じられた。

 その無茶苦茶な命令にルティが抗議の声を上げた。


 「死ねって言ってるようなもんじゃないのよ」


 レクターは鬱陶しそうな顔をして答えた。


 「今回の作戦では魔物たちを1つの場所にとどめ、もう1人の勇者候補である彼女の光魔法で魔物を一掃するんじゃ。光魔法は魔物に一番有効な魔法じゃ、しかし普通の人間であろうと強力な光魔法を浴びれば只ではすまん。

  例外があるとすれば女神様の加護を受けた勇者候補くらいであろうからな。ツムギ殿のパートナーであるお主が一緒に囮となりたいと言うなら構わんが?」


 レクターは意地悪そうにニヤリと笑っていた。


 「上等じゃないの、私も一緒に囮ににゃもっ…」


 ルティの発言に慌ててツムギがルティの口を押さえる。ルティの気持ちは嬉しいが(勢いで言っているだけかもしれないが)、そんな危険なことに巻き込みたくはなかった。

 レクターが自分に対して敵意のようなものを持っているのではとツムギは感じていた。


 「それではこれより5日後の正午、ここより東の地、ハザマオと呼ばれる地にて作戦を開始する。各々準備は任せたぞ、勇者候補ともあろうものがくれぐれも逃げようなどと考えるでないぞ」


 そう言い残してレクターは退室した。

 レクターの発言を聞いてルティは顔を真っ赤にして怒り出し大声で叫んだ。


 「あのジジイを魔物の囮にしたいわよ」


 意外なことにヴィルヘルムがルティをなだめる。ヴィルヘルムはすまなそうに口を開いた。


 「ツムギ君すまないね、レクターの爺さんはツムギ君自身でなく勇者候補自体を憎んでいてさ」


 ヴィルヘルムの言葉にツムギは驚いた、異世界アヴェルトを救う存在である勇者候補を憎む理由なんてあるのだろうか。ヴィルヘルムは話を続けた。


 「昔の話だけどね、レクターの爺さんの娘さんが2世代前の勇者候補に乱暴をされたんだ。特別な存在だからと身勝手な振る舞いをする勇者候補も僅かだけど今までいたんだよ。      ツムギ君が悪いわけではないけで異世界アヴェルトにも勇者候補を歓迎しない人もいるんだ」


 ルティはヴィルヘルムの話を聞いて先ほどの怒りはすっかり消えていた。そして口を開く。


 「あのジジイには同情するけどそんなクソ野郎とツムギを一緒にしてほしくないわよ」


 「ツムギ君にとっては全く関係のない話さ、それでも被害を受けた人には同じ勇者候補という肩書きで見てしまうのも仕方のないことだと僕は思うんだ」


 ヴィルヘルムの話を聞いてツムギは何も言えなかった。レクターに対する怒りは消えたが、無実の罪で窮地に立たされた自分の状況は何一つ変わらないのだ。そして今だに女装をしているヴィルヘルムのせいで真剣な話も頭に今一入ってこないツムギであった。


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