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第3章 3-4 レオン

 顔面蒼白のフランにセシリという少女は容赦なく罵詈雑言を浴びせかけた。無能だの役立たずだのチビだの意味が重複しようと言葉を変え、イントネーションを変えて悪口は止まることはなかった。フランは涙目になりながら耐えていたが、ツムギの服の裾を掴み助けを求めていた。普段頼られることのないツムギはここぞとばかりにフランを守ろうと声を出した。


 「ちょっと、いや、大分言い過ぎじゃないかな。フランに謝るんだ。」


 ツムギは悪い暴漢から女の子を守るヒーローのような気分で二人の間に割って入った(悪い暴漢の方も可愛い女の子ではあるが)。

 するとセシリの標的はツムギに移り今度はツムギへと暴言を吐き始めた。このダサい男はなんだ、短足だの、女に縁はなさそうだの、貧乏そうだの、顔が貧相だの、悪口はとどまることはなくツムギの心はすでに二言三言目でポキッと折れていた。

ツムギは涙目で助けを求めるようにルティへと目線を送る。それに気づきルティは我に返って間に割って入った。


 「ちょっと黙って聞いてれば私の妹分のフランに対して言い過ぎよ。」


 (あれっ、俺に対しては。)

ツムギは思ったが口に出すより早くセシリの悪口がルティへと放たれた。


 「何よ、文句あるってこのブっ…」


セシリがルティにブスと言い終わるよりも早くルティのチョップがセシリの頭を捉える。セシリが何するんだ暴力女、と言おうとしたがまたもやルティのチョップが言い終えるよりも早く頭にめり込む。セシリがまた口を開いたが、ルティが手を振り上げると諦めたのか言葉が発せられることはなかった。


「さすがルティ、物理的に黙らせた。」

 

ツムギが喝采を上げる、すると今度はルティのチョップがツムギの頭へとめり込む。その隙にセシリは距離を取ると、先ほどまでより少し離れた分声を少し大きくして怒鳴った。


 「セリーヌ様の一番優秀な弟子にして、今や勇者候補の仲間のアタシにこんな事していい度胸じゃないの。」


 「ダメだよーセシリーちゃーん、嘘言っちゃあー、弟子の中ではあの子が一番優秀だって導師タウ様言ってたじゃなーい。」


 「うるさいわよポンコツー、アタシが一番って言ったらアタシが一番なのよ。」


 フランとセシリは言い合いをしていたがツムギはそんな事よりセシリが言った勇者候補の仲間と言った言葉に反応した。自分は仲間になった覚えはない、すると答えは一つだ。


 「街中でうるせえ奴らが居るかと思ったら顔見知りかよ、久しぶりだな。」


 ツムギが声の方に振り返ると目の前にはもう一人の勇者候補であるレオンがいた。


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