第3章 3-3 ヒーラー
次の村を目指す道のりでツムギとルティはフランとの親睦を深めていった。その中で分かったことは、フランはセリーヌの弟子だが(初めに会った時にそれは説明されたが)セリーヌの弟子はフランだけではないらしい。フラン以外に3人の弟子がいて(皆女性らしい)皆が魔法に長けている。そしてフランを含む4人はそれぞれが、火、水、風、土の一つを極めたエキスパートで、フランは水の魔法に特化していると言っていた。
フラン以外の3人の弟子はセリーヌからの任務でセリーヌの下を少しの間離れていたらしい。
「お師匠様があんなことになって、他の3人に会ったらなんて言われるか考えただけで気が重いです。」
フランは今にも泣きそうな顔でめそめそしていた。
「フランが悪いわけじゃないんだから気にすることないわよ。」
ルティがすかさずフォローを入れる。
「でもお師匠様の近くにいたのは弟子の中で私だけなのに、特にセシリちゃんに会ったら殺されかねないかも知れません。」
よほどセシリという子が怖いのかフランはビクついている。するとルティはフランの頭に軽くポンと手を置いた。
「セリーヌ様の他の弟子がフランに文句言ったら私がシバいてあげるから心配しないの。それにヒーラーであるフランがいなかったらセリーヌ様だって死んでたかもしれないんだし、恨まれるどころか感謝されて当然よ。」
ツムギはヒーラーという言葉の意味が分からずルティに尋ねた。
「ヒーラーって言うのは死に至るような怪我でさえ回復させられる凄い治癒魔法を使える人間に与えられる称号みたいなもんよ。ちなみに治癒魔法は4大系統の水の系統に分類されるのよ。」
ツムギはなるほどと首を縦に振る。
「でも、お師匠様の出血の量からいって助かったのは奇跡に近いです。あれだけの出血なら既に命が失われているものなんですが。」
フランは普段から治癒魔法で重症の人を助けていたので、助かるような傷か、助からないような傷かは何となく分かるようになっていた。お師匠様の傷はどう見ても手遅れであるように見えたのに助かったことに少し疑問を抱いていた。
そうこう話をしているうちに村の入口が遠くから分かる距離に来ていた。
「それじゃあ村に着いたし情報収集と食料などの調達、ついでに仲間でも探しましょうか。」
ルティが二人に言うと、ツムギはついでで仲間は見つからないんじゃと言うとルティの手が飛んできたので黙って情報収集と仲間探しに精を出した。
村に到着して30分ほど経った頃だろうか、ツムギたち3人に少女が声をかけてきた。
「ちょっと、アンタこんな所で何やってんのよ。」
声をかけて来た少女は金髪の髪を縦にくるくるとロールさせたツリ目で背は丁度ルティとフランの間くらいであった。ツムギはさっきの少女の言葉から知り合いに声をかけたのであろうと思い、自分の知り合いではないことからルティとフランに目を移した。
「セシリちゃん。」
フランの声は震えており、顔は青ざめていた。




