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第3章 3-2 新たな仲間

 ツムギたちはいきなりの事に困惑していた。とりあえずツムギは落ち着いて目の前の少女を観察した。

 青い髪のショートカットでその頭には絵本の魔女が被るようなとんがり帽子を被り、身長はルティよりも頭一つ分、いや二つ分は低いであろうか小柄でスカートを穿いた少女だ。少し眠そうに見えるのはそういう顔なのか、本当に眠いのかは判断が難しいところだ。

 

 「私の名前はフランと言います、あなた方は勇者候補なのですよね。どうか私を仲間に加えて下さい。」


 そういうとフランと名乗る少女は頭を下げた。


 「あーー」


 突然ルティが声を出したので驚いてツムギはルティの方を振り向いた。


 「貴女あなた昨日セリーヌ様を治療してくれた子よね、フランちゃんていうのね、昨日は助かったわ。」


 「いえ、こちらこそお師匠であるセリーヌ様の治療を手伝って頂きありがとうございました。」


 ツムギは二人のやり取りを聞きながら遂に新しい仲間(しかも女の子)が増えたことに感動していた。欲をいえば年上のグラマーな女性ならなお嬉しかったが贅沢は言うまい。

 しかし、何故仲間になりたいのか疑問に思い尋ねることにした。


 「ちなみに何で仲間になろうって思ったの。やっぱり悪い魔女を倒す為に?」


 フランの表情が陰りを見せ、強い口調で憎しみをあらわにした。


 「お師匠様に刃を向けた黒い仮面の魔人を殺すためです。」


 可愛い女の子の口から出た物騒な言葉にツムギは少したじろぎ、ルティはツムギに何故フランがそんな事をいうのか耳打ちした。


「セリーヌ様が一命を取りとめたけど呪いのせいで目覚める可能性は低いって言ったわよね、呪いを解く方法は二つしかないの、一つは呪いを魔法で攻撃して呪いを壊す方法と、もう一つは呪いをかけた相手を殺すこと。」


 ツムギが異世界アヴェルトに来てから日は浅く、ツムギが居た元の世界の価値観からいえばたとえ悪人であろうと人を殺すことに強い抵抗があった。それも自分よりも小さな女の子が人を殺すなどとは許容しづらいことだ。

 

 「魔法で呪いを壊すことは出来ないの?」


 ツムギはフランに聞いてみた。魔法でどうにか出来るのであれば既にやっているであろうが、万が一の可能性を信じて聞いてみたが答えは予想通りあった。


 「お師匠様にかけられた呪いは私では歯が立ちません。いえ、お師匠様自身ですら壊すことが出来ないかもしれないくらい、強力な呪いだと私は見ています。それほどの呪いを壊すことが出来るのは、女神様か、導師タウ様くらいだと思います。」


 フランは肩を落として説明した。ツムギは今の説明を受けて疑問に思って質問をした。


 「じゃあ女神様に頼めばいいんじゃないの?」


 するとルティがため息交じりで答えた。


 「女神様が姿を現すのは魔女を倒して勇者様の願い事を叶える時だけよ。それに女神様に頼み事なんて勇者様だけの特権みたいなもんなんだから。」


「じゃあ俺が魔女を倒してセリーヌさんの呪いを女神様に解いてもらえばフランは殺しなんてしなくていんだよね?」


 「本当ですか。」


 ツムギの提案にフランは目を輝かせた。


 「でも勇者様の願い事を私なんかの為になんて申し訳なくて、でも…あの…その…、本当にいいんですか?」


 申し訳なさそうにこちらを伺っているフランの様子が小動物のような可愛らしい癒しをツムギに感じさせた。守ってあげなくては、そんな使命感が芽生えツムギは胸をドンっと叩き任せてくれと大見得をきった。

 フランもやはり人を殺すことに躊躇ためらいがあったのか、胸をなで下ろしホッとしていた。

 ツムギは女の子が仲間になったことでテンションも上がり意気揚々と次の村を目指して旅立った。


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