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第2章 2=3 魔人VS導師

このエピソードは元勇者視点です

 ユウトと導師タウはお互いににらみ合ったまま動かずにいた。

 その周りでは魔物と警護団が凄まじい戦いを繰り広げていた。

 導師タウはおもむろに杖を掲げ呪文を唱える、数秒で呪文が完成すると地面が槍のように尖り魔物を串刺しにしていく。

 (魔物は大分減ったか)

 ユウトは小さく頷くと導師タウに話しかけてきた。


 「ハハハハ、さすがは導師様、異世界アヴェルトが誇る最強の魔導士ですね」


 ユウトは馬鹿にしたように笑うと自分がかけている黒い仮面を外す、周りで戦う警護団の人間はユウトの素顔を見た大半が動きを止める。

 仮面の下にあった顔は異世界アヴェルトに生きる人間で知らぬ者の方が少ないであろう、10年前に異世界アヴェルトを救った勇者の顔がそこにはあった。


 「お久しぶりですね、導師タウ様」


 ユウトは導師タウの態度を観察した。

 周りの警護団の人間は動揺しているが、導師タウは動揺している態度は微塵もなかった。

 (やはりか)

 ユウトは心でそう呟くと表情を憎しみで歪ませる。


 「あれは先代の勇者じゃないのか?」

 「バカな、10年前に元の世界に戻ったはずだろ。仮に異世界アヴェルトに戻ってきたとして何故魔女側に付いてる」


 警護団の人間に動揺が広がるのを見て導師タウが口を開く。


 「先代勇者は魔女の誘惑に屈した、このワシが闇に落ちた勇者を葬ろう」


 導師タウは杖を掲げて呪文を唱える。


 「自分が正義の味方のような口ぶりだな?このペテン師が」


 ユウトは大声で叫ぶと導師タウに剣を突き出し突っ込んで行く。


 ユウトの剣が届くより先に導師タウの呪文が完成する。

 導師タウの杖から鋭い空気の塊がユウトを貫く、ハズであった。が、杖からはそよ風が吹いただけであった。

 導師タウは驚きの表情を浮かべ、何が起こったのか理解する暇もなくユウトの剣に体を貫かれる。


 「導師を語るいつわりの導き者よ、その罪を貴様の命であがなえ」


 ユウトの手に柔らかいようで少し硬い、肉を切り裂く感触が残る。

 導師タウの体から剣を引き抜くと導師タウはうつ伏せに倒れこんだ。倒れた導師タウに剣を二度、三度と何度も突き立てる。

 

 「ぐっ、ぐはっ、ハハハハハハハハハ。」


 ユウトは狂気に顔を歪ませ満足したように笑った。


 「導師様、アンタは俺が異世界アヴェルトに初めて来て旅立つ時に言ったな。

  過酷な環境で育つことでトマトも人も成熟していくのだと、だが過酷すぎる環境はトマトも人も腐らせる。この腐った異世界アヴェルトを俺が浄化してやるよ、女神を殺してな。」


 導師タウを殺して目的を果たしたといわんばかりに、聖都の襲撃を切り上げてユウトは魔物を引き上げさせた。

 聖都の被害は微々たるものであった、導師タウが死んだことを除けば。


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