第2章 2=2 聖都襲撃
このエピソードは元勇者視点です
聖都シャイナスはいつもと変わらず平穏であった。
しかし、勇者候補が異世界に召喚された4日目の夕刻に平穏は終わりを迎えた。
「魔物の軍団が押し寄せて来るぞー」
聖都を警護していた門番の声を聞き緊急用の鐘がゴーン、ゴーンと音を鳴らして聖都に鳴り響く。
聖都に住む住人は戦慄した、異世界最大の都市に住む自分たちは絶対に安全であると皆が思い込んでいた。
警護団は聖都の周囲に溢れかえる魔物の数に愕然とした。
「数百、いや数千以上いるぞ」
聖都を守る警護団は異世界でも指折りの実力者を揃えた部隊だ、しかしこの数を相手にするのは絶望的であった。
警護団のリーダーと思わしき顔に傷を持つ中年の男はすぐに冷静さを取り戻し他の者に指示を出す。
「導師タウ様が来るまで何とか持ちこたえるぞ、導師タウ様が到着すれば我らの勝利だ。」
若い団員の中には導師タウが現れようと流石にどうすることも出来ないのでは、と懸念している者が大半であった。
警護団は聖都に結界を張り籠城戦を試みた、しかし1時間と立たずに聖都に侵入を許す魔物たちがちらほらと出始めた。
聖都に絶望が立ち込めた、その時、空から光が降り注ぐ。
「すまんの、少々来るのが遅れたわい」
空から降り注いだ光が魔物を覆うと聖都を取り囲んでいた半分以上の魔物は消滅していた。
導師タウの登場に聖都の住人は歓声を上げた。
逆に導師タウの一撃で半数以上を葬られた魔物側には動揺が広がった。
「一撃で我らの半数がやられたぞ、どうするつもりだ」
魔物の一人がユウトに非難を浴びせた。
ユウトは黒い仮面を被り、黒いマントを羽織ったいでたちで聖都にゆっくりと歩いて向かう。
「導師タウは俺が殺す、お前らはそれ以外の相手を頼む。」
導師タウもユウトの方へと向かって進んできた。
ユウトは導師タウと対峙すると険を抜きゆっくりと口を開いた。
「さあ、復讐を始めよう」




