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終章 end-9 『何者』か

 他の勇者候補たちとの話し合いから丸一日程の時間が経った、ツムギはその時に話した魔女の呪いに付いての他の勇者候補たちの反応を思い出していた。

 魔女の呪いが勇者候補本人だけでなくそのパートナーも不幸にすると他の三人の勇者候補たちに伝えた、その時の反応は文字通り三者三様であった。


 「私だけでも嫌なのにライオスまで不幸になるなら私は魔女と何て関わり合いたくない」


 そう言って魔女を討つことを拒絶したのはユナであった。

 ツムギ自身はユナの考えに近かったのでユナの気持ちをツムギは理解出来た、しかし他の二人は違った。

 ハヤトはチラリとパートナーのエリカを見て悩んでいるようであったが魔女を討伐する意思を変えなかった。

 ハヤトはエリカにパートナーを解消して戦いに参加せずにいるように提案した、しかしエリカは自分から戦うことを選んで曲げようとはしなかった。(元々勝手にパートナーを解消したところで魔女の呪いから逃れられる保証など結局はないのだが)


 「結局魔女を殺さないと元の世界には帰れないんだろ?

  だったら俺は魔女を殺して女神の『たった一つの願い事』とやらで呪いでも防いで貰うさ、元の世界に帰る時に金目のものでも貰って帰れば俺の目的は叶うしな」


 レオンの元々の願い事は金銭であった。元の世界に居るレオンの祖母の道場が知り合いの借金の担保に取られるのをレオンは阻止したかったのである。

 レオンの祖母は薙刀の道場でレオンに武芸と礼儀作法などを小さな頃から叩き込んでいたらしい、道場を借金のカタに取られることが原因で祖母は酷い落ち込みようであった。

 レオンは祖母にデカい顔がしたいから道場を取り戻すだけだとうそぶいていたが、本当のところは祖母が元気な姿に戻って欲しかったのである。

 ツムギはレオンの意外な一面を見た、そしてレオンも他の誰かの為に『願い事』を使おうとしていた。


 (願いが…後悔……魔女が蘇る…)


 ツムギは自分の中に居る『何者』かが自分に語り掛ける声が聞こえた、断片的であるがツムギは『何者』かが伝えようとしていることが理解することが出来た。

 魔女を倒した勇者の願い、その願いが後悔へと変わった時に魔女は復活するのだと。

 異世界アヴェルトについて『何者』かは色々知っているようであった、そして『何者』かは魔女を倒して異世界アヴェルトを救おうとしていた。しかし、救おうとしている異世界アヴェルトに強い憎しみも抱いているようにツムギは感じた。

 ツムギは自分の中に居る『何者』かが誰であるのか、おぼろげにではあるがその正体が分かり掛けていた。

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