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終章 end-7 フランとセシリ

 セシリはツムギたちを見ると鼻でフンッと軽く嘲るように笑った。


 「流石フランが同行する勇者候補ね、仲間が4人しかいないなんて」


 セシリは胸を張って偉そうに上から発言をしてきた。

 ツムギはイラッときたが子供の言うことだと自分を何とか落ち着かせた。そしてチラッとルティの方を向くと顔を引きつらしているがルティも何とか耐えている。

 ツムギはルティの横に居るヴィルヘルムに目を移すとヴィルヘルムはゲラゲラと笑っていた、ツムギはそれを見るとセシリよりもヴィルヘルムの方に大きな苛立ちを覚えた。


 「他の勇者候補の方々より人数は少ないかもしれません、だけどツムギさんたちは凄い方です。人数が少なくとも魔女を討つ可能性が1番高いのはツムギさんだと私は思います」


 フランは仲間を笑われたことがよっぽど悔しかったのか珍しく感情をあらわにしてセシリに言い返した。

 セシリはそんなフランの態度が気に入らなかったのか顔を赤くして怒った。


 「出来るわけないでしょ、4人しかいない上に当の勇者候補は勇者候補の中で1番頼りなさそうじゃない」


 セシリはそう言うとフランと言い争いを始めてしまった。

 フランも珍しく引かない、仲間を悪く言われたのが原因か、はたまた同じ兄弟弟子だから感情が何時もより出てしまっているのか。

 2人の言い争いが過熱したのを見かねたツムギは2人の間に入って止めようとした、しかしセシリの方はツムギを軽く見ているためか聞く耳を持たなかった。

 ツムギはセシリを同行させているレオンに目で助けを求めたがレオンは興味が無いと言わんばかりの離れた所で仲間と談笑していた。


 「やれやれ、セリーヌ様の弟子ともあろう者が下らぬことで言い争いとは恥かしい限りだな、お前たち」


 フランとセシリの方に向かって来た銀髪のショートカット、長いブーツと短いスカートを穿いた女が2人をたしなめた。

 その2人を窘めた女は2人と同じセリーヌの弟子の1人リーナであった。

 リーナの姿を見た2人は言い争いピタリと辞めた、リーナの前で情けない姿を晒してしまったフランは反省するとリーナは頭を優しく撫でた。

 その姿を見たセシリは大好きな姉か母かでもを取られたかのように顔の頬を膨らまし、更にフランに罵声を浴びせた。リーナそんなセシリを窘める。


 「フンだ、私の勇者候補のレオンは仲間が後20人近くも居るんだからね」


 「あっ、このバカ」


 セシリは自分の方がフランよりも上の存在でなくては気が済まなかった、そのためにレオンに口止めをされていたことをうっかり口に出してしまった。

 レオンは慌ててセシリの口を手で抑えに来たが既に遅かった。


 「オイっ、どう言うことだよ?」


 ツムギはレオンに詰め寄るとレオンは隠し立ては無理と悟ったのか、しょうがなく吐いた。

 レオンの仲間はまだ20人近く居たが他の勇者候補を油断させるためにわざと少ない人数しか連れて来なかったのである。

 異世界アヴェルトを救うために協力を口にしたレオンではあったが、したたかに自分が魔女を討つため有利に進めようとしていた。

 こんな状態で魔女を倒せるのであろうか、ツムギは不安を覚えた。


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