一冊目
夏の新投稿第一作目
読んでいただくと嬉しいです。
2015/07/22
題名に誤字が発覚した為修正
2015/08/04
本文を修正
夢を見る。それは片足の無い猫がこちらを案内しながら名前も見たことも無い町を歩いていた。
人に暴力を振るう者、裏路地で暴漢があばれている。窃盗、殺人。
人間は醜く、美しい。
善人もいれば悪人もいるこの世界。
これだから世界は楽しい。だが夢も突然に終わる。
背後から何かの感触、その感触は分らないが何か危険なにおいを漂わせながら現実に引き戻される。
「はぁ・・・小説の読みすぎか。」
すぐに体を起こし時計を確認する。
いつも起きる時間より数分早い、いつもなら寝ているところだが今日は待ちに待った夏季休業前の最後の登校日ということもあって気分が向上していた。
すぐにリビングに降り、朝食を取りながら録画していたアニメを見ていた。
「学園暮らしって他の人は精神的に来るとか言っているが別にそこまでショックを受ける物じゃないだろ普通・・・まぁ、大体見ている層が層だから精神的に来るのか。」
朝から卵かけご飯を食べる。これが無いと日々の生活が始まらない気分になる。これは軽い中毒だろうな。無くても納豆かふりかけがあれば大丈夫だが朝食にパンは認めない、異論は認めん。
そんなことはおいておいといてすぐに制服に着替えるが時間が余っているいつも小説家になろうを読みすぎて電車に遅れそうになるが今日はここをあえて天気予報にすることににした。
『天気予報にお時間です午前中は各所に強烈な雨振るかもしれません。通学、通勤の方は傘はちゃんと持っておいても損はありません。』
自転車の人大変そうだな。・・・あれなんで映像止まった?
『続いて異世界転移情報をお伝えします・・・』
女性アナから出るはずの無い低い声に自分は不気味な感覚を覚えた。すぐにテレビの電源を消した。そうしてそそくさと家を出た。いつもなら少し早い時間だが少し電車を待つだけの簡単なお仕事だ。
ガチャン
『続きまして異世界最初の犠牲者の予想です。最初の犠牲者は高野恵美さんです。お気をつけ下さい。・・・続きまして・・・』ガチャン
私立天の川学園は都会には珍しい土地の広大さを売りにした学校である。学科は普通科、商業科に加え、農業科、電気科、総合学科などが存在している。
ホームクラスには他の学科の学生とともに学園生活を過ごす事が義務付けられている。学科ごとに壁があるのをそれをなくしたいという学校側の処置らしい。それは案外成功したとも思える。
自分は普通科ですがなにか?
「ちゃーす・・・て皆考えていることは同じか」
「お、秋じゃんか。・・・そりゃそうだ、なんてったって明日から夏休みだぜ?」
「おはよう秋夜、そういう君だって少し早く家を出たんじゃないの?」
「おう、その通りだ。・・・って言いながら広と進も同じじゃねえか」
といっても理由は他の皆とは違うだろうがな。
この二人の本名は足立広紀と佐々木進二人である。この二人は中学からの友人で広のほうが総合学科で進が農業だ。広は将来役に立つ資格のことを教えてもらったりしている。進はたまに実習で採った卵なんかを分けてくれる。本当にありがたい。
「そうだね・・・秋またやられてるよほら。」
そういって一つの誰も座っていない机の方に指を向ける。偶然なのか周りには誰もいなかった。
「またか、これで何度目だと思ってんだあの令嬢は・・・」
「ほんとだよあの世間知らずは・・・っとこの話はやめておこうか、噂をすればなんとやらだぞ。・・・っと本当にきやがった」
扉のほうにはいかにも金持ちを漂わせる改造制服を着た女が立っていた。
「ごきげんよう皆様、今日はとてもよい日ですね。」
榎本実 彼女は榎本財閥の令嬢と言うこともあって世間から見れば令嬢だ。しかも俺は彼女と幼馴染という関係位置にあるため離れようにも離れられない関係だ。不満があるとすれば・・・
「あら?あの貧乏さんがまだ見えませんが何をしているんでしょうか?あら、噂をすれば、おはようございます貧乏さん」
そう、彼女は裕福ではない家庭を罵る癖がある。しかし彼女は口でああいいながらも裕福ではない家庭に寄付などを惜しまないところ尊敬に値するんだがなぁ・・・広と進は実が俺が恋心を抱いている高野恵美を虐めていると思っているらしい。実もあの口調だから勘違いされやすいがツンデレというのもどうも難しいようだ。まぁ広も進も友人思いっていうことは本当にありがたい、・・・だからもう少し俺の恋を影で見守って欲しいです。お願いします。
そんなこんなで終業式が終わり後は帰るだけというところになったのだが珍しく担任が来るのが遅い。
いつもなら生徒の気持ちを第一に考える先生なのにな。・・・そういえば恵美も今日は珍しく元気が無かったな・・・何かあったのだろうか、自分が相談に乗れればいいんだが・・・おいそこの外野二人、ニヤニヤしながらこちらを見るでない。
「なぁ、秋はこの後予定あるか?」
「ん?俺か?・・・特に無いがどうした?」
「ちょっとこの後カラオケ行かないかと思ってな」
カラオケか・・・それはいいな、実は歌いたい曲もあったしちょうどいい。でもな・・・
「なんなら高野さんも呼ぶか?」
「おまっ何言ってんだよ!!」
「ははははは、ほんとにバレバレだよ。で誘うの?」
「・・・はぁ、言わなくても分ってるだろ。ほんとお前らは気が回るのか回らないのかどっちなんだよ。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
「そりゃどうも」
「にしてもよ、先生遅くねえか?カラオケ行く時間が無くなるじゃねえか」
「それもしかたないだろ、明日から夏季休業だぞ?注意事項の確認もしてるんだろ?去年は色々ありすぎたしよ」
「・・・ま、それもそうだな。」
「じゃあ僕が先生呼んでくるよ」
「広が行くんなら俺もいくは」
「じゃあ俺も」
結局三人で行くことになった。
天の川学園生徒集団失踪
去年起きた事件だ。この事件は予兆も無く突然に起きた。警察は集団失踪として処理されたが自分だけはそうとは思えなかった。
失踪したクラスの点々とあった謎の文字、これは何を意味していたのかはわからない・・・さて先生を呼びに行きますか・・・?
「何で扉開かないんだ?」
「・・・本当だねこれは外側から誰かつっかえ棒でもやってるのかな?」
「進そっちはどうだ?」
「こっちも開かないな?何だよこれいたずらにしては悪質だな。」
「・・・霧島、窓はどうなっている?」
「・・・窓も完全に閉まってる。しかも鍵が開いていたのに開かない・・・これの意味することは分かるかい?」
霧島剣矢普通科と俺と一緒の学科で、友人のなかでも俺の趣味の一つを知っている一人でもある。
「秋、霧島・・・どういうことだ?」
「広も進も気づいてるんじゃないか?」
「信じたくないが・・・」
「本当だよな・・・クソッ」
信じたくないがこれは紛れも無い事実、俺を含め他の三人もこの状況を落ち着いた状態で解析していた。
周りにも数人程度だがこの現状に期待を膨らます人間がいた・・・お前らもそうなのかよ。
「「「「異世界転生・・・」」」」
「しかも集団だぞ、ってもしかして」
「多分そうだ、去年と同じなんだろうな」
その言葉に周りはざわつきはじめる。
解説を望む者、その言葉に絶望を覚える者、興奮を抑えられない者・・・少しは抑えろよそんななか自分は気づいた皆の足元に白い何かがあった・・・いや少しだけ違和感があるな。
「霧島、そろそろか」
「どうやらその通りみたいだね・・・?」
霧島の顔が疑問の表情を浮かべていた。どうやら俺の言いたいことが分かるようだ。
「はぁ、じゃあそういうことだ。他のみんなを頼むぞ」
その言葉に霧島を含めたほか四人がなんとも言いたそうにしていたがしぶしぶ全員たてにうなずいた。
そうだ、これも頼んどくか。
「・・・申し訳ないがあいつのことを頼むだろうか?それとやったのは榎本じゃないからな。」
その言葉に三人が驚く・・・霧島お前どれだけ理解してんだよ。
「じゃあ説明は霧島に頼む・・・それと手を出すなよ?」
上辺だらけの笑みを浮かべながら笑いながら忠告した。
月宮秋夜はこの言葉を残し地球を去っていった。
原稿用紙
八枚から十枚を目安に三日感覚で投稿していきたいです。