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Pandora Ark Online.  作者: ミッキー・ハウス
守るための刃編
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第47話

「とりあえず、装備は上等だし、お前が賊の頭目ってことでいいな?」


「ワシは、この村の村長ではあるが……」


ザザンは突然の問いに動揺し、ただ答えることしかできなかった。

だが、黒甲冑の男はまるで宝物を見つけた子供のように、兜の隙間から無邪気な笑みを浮かべていた。

殺気はなく、ただ「見つかってよかった」と疲れの滲んだ笑みだった。


その微笑みにザザンは動きを止めた。

しかし、知り合いの肩に軽く触れるような感覚のまま、左肩から腰にかけて剣が鋭く斬り下ろされた。


「――――ザザンッ!」


唯一、反応し攻撃体勢に入れたのはマーリーだけだった。

ザザンの反応が追いつかぬ速度で男は襲いかかる。

まるで息をするかのように、マーリーは鏃を黒甲冑の男に放った。


すぐさま次の矢を構えたその刹那、ザザンの隣にいたマーリーは目の前に迫った相手に弓ごと握る手を砕かれた。


「ガフッ!」


続く重い蹴りに防御すらままならず、マーリーは地面に叩きつけられた。


マーリーが倒れたわずかな瞬間を見逃さず、村の男たちが怒りに震えながら黒甲冑の男に突進する。

しかし、錆びた剣で歯が立つ相手ではない。

さっきの赤い甲冑の男よりも数段上のレベルだ。


痛みで視界がぼやけ、息も詰まったまま。

マーリーは五年前の惨劇の再来を目の当たりにした。


「賊だって聞いて気合い入れ直したのに……なんだこのチョロさ」


不満げに呟く黒甲冑の男。

白銀に輝く剣を担ぎ、肩をすくめている。


その男の周囲には無残に倒れ伏した村人の姿が散らばる。

一斉に襲いかかった村人たちを、一振りで数人薙ぎ払い、さらに光のような速さで周囲を一周。

気づけばほとんどが地面に伏し、震える者がわずかに数人残るのみ。


斬られた者は呻きながらも辛うじて生きているが、その命脈は風前の灯火だった。

明らかな力の差を前に、ペーターは目を見開きただ呆然と見ているしかなかった。


「こんな弱い賊にやられるって、A級ってどんだけ弱えんだよ。おい、オッサン」


縛られ転がるベルゼに向けて嘲るように視線を向ける黒甲冑の男。

彼の頭を蹴って無理やり起こした。


口から涎を垂らしながら覚醒したベルゼは、寝ぼけ眼で状況を把握すると、黒甲冑の男に「さっさと縄を切れ」と命じた。

男は「はあ?」と呆れ顔で見下すが、ベルゼはいつもの傲慢さで喚く。


「俺様が囮になってやったんだ。手柄を立たせてやったってのに」


そこへ、聖騎士・射手・魔法使いが駆けつけ、状況に愕然とする。


「あ、ああ……やっちまった」

「この馬鹿!状況考えずに飛び込むなって言ったのに!」

「ちょっと!いくら何でも殺し過ぎだよ!」


「俺はさっさと依頼クリアしたかっただけだ。手間を省いたんだよ!」


口論が始まる。


その中で、聖騎士の視線がペーターに向いた。

恐怖がこみ上げ、逃げ出したい気持ちに駆られたが、震える律がしがみつくのを見て踏みとどまる。


倒れた村人を見捨て逃げることは簡単だ。

だが、自分はみんなを守ると誓った。

その誓いを自ら破りたくなかった。


「律、みんなのところに戻って街へ逃げるように伝えてくれ」


「にいちゃんと、かあちゃんは……?」


「あとで行く。必ず」


ペーターは震える律の背中を優しく押し、視線は惨劇を起こした者たちから逸らさなかった。


律の足音が後方に遠ざかるのを聞きながら、心の中で安堵する。


そのとき、聖騎士の甲冑の男が意を決したように声をかけてきた。


「あ、あのさ、俺たちは――」


「人殺しがっ!お前ら、鉄の侵略者の手先かっ!」


五年前の惨劇の記憶がよみがえり、ペーターは咄嗟に懐の短刀の柄を握りしめて叫んだ。


あのときトーマの角を差し出したのに、奴隷にされるのを拒み殺された村人たちがいた。

武装は違えど、殺戮劇は同じだ。


「違うよ。鉄の侵略者なんて知らない。ごめん、手違いなんだ」


戸惑いながら弁解を始める聖騎士に、怒りが込み上げる。

助けに来たのならまだしも、赤い甲冑の男と同じことをしている。

村人は納得しない。謝罪だけでは済まされない。


それを慮ることもできず、聖騎士に続き射手、魔法使いも口を開く。


「本当に悪いと思ってる。ベルゼさんが突っ込んだあと、ロイヤード――ああ、この黒装備の男が話も聞かず突撃した」


「回復薬と蘇生薬を配って弁償するよ。僕は魔法職だけど攻撃寄りで、回復呪文はパーティ用しか使えない。パーティ以外にはアイテム使った方が早いし」


「蘇生?薬?なに言ってんだ、あんたら……」


状況がどうあれ、目の前のパーティーはどこか軽い。

道具を壊したから直すという雰囲気だ。

まるで人命を道具扱いしている。


その時、怒りを滲ませた声が響く。


「弁償なんて馬鹿なこと言ってんじゃねぇぞ!」


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