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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
三月 春休みからもう迷走
9/102

9 お祭り! ……の約束をした

「今晩は」

「わ~っ! お菊姉さま~!」

 ……一瞬『ヤクザ?』と思ってしまった俺って一体。

「お久しぶり、光ちゃん」

「お久しぶりです~」

 岳だ。

 菊の模様の黄色い着物、舞妓さんみたいに結われた黒髪、優しい微笑み……の、お化けが家にやって来た。光の料理をまともなものにしてくれた人、もといお化けのお菊さん。皿屋敷のアレ。

 多分、『良くできた人』って言うのはこの人、じゃなくてお化けのためにあるんだなー。と言うのが第一印象。

 今の印象? どんな『良くできた人』でも、多少の欠点はあるんだな。お皿の扱いにすげぇ五月蠅ぇんだ、この人……じゃなかった、お化け。

 …………もう、人って言っていいか? いちいち直すのめんどくせぇ!

 ちなみに、お化けと幽霊の違い。母さん曰く、お化けは生まれた時からお化けで、幽霊は何かが死んだモノ。

「元気してた?」

「元気ですよ~。お菊姉さまは~?」

「もちろん、元気だったわよ。こないだもお祭りで踊ってきたところ」

 お化けの祭り。なんか、怖っ!?

 いや、きっと騒がしくて楽しかったんだろうけどさー。

「お祭り? 楽しかった~?」

「もちろん! お化けも、冥界行特急を待ってる幽霊も、死神も一緒のお祭りよ」

 お化けと幽霊と死神のお祭り。カオスなだけでやっぱ怖ぇな、おい。

「いいなあ~。私もお祭り行きたかったです~」

「ふふ、死んでからいらっしゃいな。私と一緒に行きましょう?」

「わぁ~い! お菊姉さまと一緒にお祭り~! 約束ですよ~」

 何十年後の約束だよ。お化けだからお菊さんは光が死ぬ頃にもまだ健在なのか。

 目の前に、お化けと指切りをする少女が居る。うーん、どっかにこんな絵がありそうだ。

「死ぬ前に、生きることを十分に楽しむのよ。死んでからは短いのだから」

「は~い!」

「死神になるなら別だけどね」

 あぁ、兄ちゃんは死神になったもんな。でも、なるまでも大変らしいし、仕事も大変らしいぞー。ここ半月、全く見てねぇし……あれ? 中学校の卒業前は一日一回は家に居たのにな。

「おぉー、お菊さんじゃん。久しぶりだー」

 あ、姉ちゃん。

「姉ちゃん、二階うえで何してたんだ?」

「宿題」

 しゅっ!? くだい!? 姉ちゃんが!? 真面目に!? ……あ、宿題はちゃんとやる人か。

 俺は全く手ぇ付けてねぇのになー。……兄弟で一番ズボラなの、俺?

「あら、お久しぶり、忍ちゃん。まあまあ、少し見ないうちに綺麗になったわねぇ」

 ……お菊さんがすごくおばさんっぽくなった。見た目は若いのに!

「変わんないよ」

「もう、そんな事言ってー。鏡見るの楽しいでしょ?」

 美人だからなー。美人だけど、彼氏いない歴=年齢。本人曰く『要らない』。タイプを聞いても『特になし』。

「鏡なんか、朝しか見ないんだけど」

 顔洗うときと髪くくるとき? 家の風呂には鏡ねぇもんなー。

「ね~、お姉ちゃん、お祭り好き~?」

 突然話変えたな、光。

「まぁ、好きっちゃ好きだけど。それがどしたの?」

「じゃあお姉ちゃんも、死んだらお菊姉さまと一緒に霊界のお祭り行こ~。お化けと幽霊と死神が居るんだって~!」

「おぉー。楽しそうじゃん。でも、焼そばがミミズなんてことは無いよね?」

 姉ちゃん、そりゃ魔女や妖怪だ。

 ……お化けと妖怪って似たようなもんか。

「やぁね、普通の食べ物よ。この世界の物もあるし、別の世界の物もあるわ。霊界はすべての世界の物があるから」

「おぉー、異世界の食べ物! どんなんだろ」

 興味津々じゃん。俺も気になるけどさ。

「ふふ、美味しいわよ。楽しみにね。岳くんも来る?」

「そりゃもちろん!」

 姉ちゃんも光も行くんだから。

 リンゴ飴もあんのかなー。一回もアレ食った事ねぇんだ。

 え、ズレてる?

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