表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
六月 梅雨だろうがどんどん迷走
PR
82/102

82 どうやら彼等は洗脳されているようです

「どうですっ! この店の料理、旨いでしょ!」

「うん、美味し~!」

「あぁ、何て可愛いんだ」

「お、コレ旨ぇ。悪いなぁ、奢ってもらって」

「いやいや、とんでもない! 喜んでもらって光栄ですよ!」

「この酒旨いんスよ! どうです!?」

「酒飲んじゃ駄目な年なの」

「じゃあこっちの果汁ジュースは! 手絞りなんだそうで……」

「あの、こっちの酒どうです? ちぃとキツめだけど、これがまった旨いんです!」

「ん、貰う」

 屈強な男達が、十代前半から半ばの小柄な四兄弟をボスのように扱っている。……シュールだなぁ。

 どうしてこうなった。

 俺等がこいつ等を全員倒したからだ。逃げないで昼飯奢ってくれるなんて、しかもおすすめ教えてくれるなんて、真面目だなぁ。ん? 真面目って言うのかこれは。多分違うな。律儀、とか?

 タラッド=タドだ。

 この店の昼飯は旨い。しかもタダだ! 奢ってくれるから。きっと二倍旨いな。

「ジンー……酒飲んでるし」

「少し飲むか?」

「正月に神社で飲む甘酒は不味かった」

 ……シル、甘酒とジンが勧めてる酒は大分違うと思うぞ。

「ダグラス、お前も飲めよ」

 ジンもあっさり対象変えるのな。

「いいのか?」

「どうせ金を払うのは俺じゃない」

「……アンタなぁ」

「トップ命令」

 呆れつつも酒はしっかり貰う、面長の男。多分、年は十代後半から二十代の前半。

 ダグラスって言って、倒れた奴の中で一番早く復活した奴。勿論デカいし、がっちりきっちり筋肉が付いてるけど、縦にもデカいから細身に見える。

 ちなみに、本来のボスはまだ伸びてる。何でコイツがボスやってたんだ?

 わらわらと集まってる時は小物に見えたけど、ダグラスの方がよっぽどボスっぽい。

「ダグラスも大変だねー。あんなのに付いてくとか」

 シルが何か飲んでる。果肉っぽい粒々が入った、薄い黄色の液体。リンゴジュース?

「俺はあいつの仲間じゃない」

「……喧嘩に巻き込まれた哀れな人?」

「椅子は飛んでくるわ、マッチョは飛んでくるわ、酒瓶は飛んでくるわ。全部叩き落とすなりかわすなり、できると思うか?」

「一つ二つ当たっても気絶はしなくない?」

「生憎、その一つ二つの当たり所が悪かった」

 まぁなんだ、ドンマイ、ダグラス! 元凶俺等だけど。

「はう~、お腹いっぱ~い」

 別のテーブルで、ヒアが嬉しい悲鳴を上げてる。

「えっ、もう!? ほとんど食べてないじゃないですかっ!」

「皆と同じにしないでよ~、私女の子だよ~? 子供だよ~?」

「それにしたって、もう少し食べますよ!」

「そうそう、だってこれ、お子様ランチですよ!?」

 酒場にお子様ランチあったのか……。

「色んなメニューが楽しめて、かつ小さなお子様でも全部食べることができる量の、お子様ランチですよ!? 大人になったら食べられない、あれですよ!?」

 ご丁寧になんで説明してくれてんだ。

「そろそろ出るか」

「ジャイズンさんまで!? ほとんど食べてないじゃないですか!」

「酒もあんまり飲んでないじゃないですか!」

「俺等はこれで十分」

「そーそ。食うときゃ食うけど、今は食うときじゃねぇから」

 一回大量に食ったら、しばらくは少しでも満腹になるんだ。むしろ食わなくても良いくらい。

 ……………肉食獣!?

「ごちそうさま」

「よし、行くか」

『へいっ!』

 うん? なんでこいつ等返事した?

「どうやら奴等は付いていくつもりらしいな」

 ボスがまだ気絶してるのにか?

「おいおい……ダグラス一人ならともかく」

「ちょっと待て、誰が付いていくと言った」

「道中銃の扱い方を教えてもらいたくてな」

「知らずに持ってるのか!?」

 それでか! 道理で教えてもらえなかったわけだ!

「ジャイズンさん! 俺等が教えますよ!」

「結構」

 あ、集団んでヘコんだ。

 ……何気に純粋だなコイツ等。

「で、教えてもらえるか?」

「悪いな、俺はちょっと行くところがある。馬だからアンタ等とは行けない」

「そうか」

「ジャイズンさん!」

「結構」

 ジン、早い。断るのが早すぎる。

「……でも、今夜から明後日のいつかにでもまた寄るか」

『ぃやっほぉい!』

「また奢ってくれるか?」

『勿論!』

 ……流石ケチ。

「じゃ、また今度な」

「またな」

「またねー」

「バイバ~イ! また今度~」

 手ぇ振って見送ってくれた。

 ……いい人等だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ