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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
五月 GWにもレッツ迷走
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60/102

60 そう言えよ!

「ジン、霊界って意外と近いんだな」

「だろ」

「コンビニより近ぇぞ」

「そうだな」

 タラッドだ。

 家の裏に、霊界に続く穴が開いた。

 家の裏。家の裏だ。何度も言うが、家の裏だぜ?

「近すぎだろ!」

「便利だからいいだろ。行くぞ」

 畳一枚分くらいの、長方形の穴。紫色の細い筋が蠢いてる。

 で、他は真っ黒だ。これがホントの一寸先は闇。何処に続いてるかも全然見えねぇし。

「まっすぐ進めばいい。そのまま歩けば大丈夫だ」

 そう言って、ジンはその中に入ってった。

 入ってった瞬間、消えたように見えた。

「うわっ、待てよ!」

 慌てて追いかける。紫の筋以外、本当に何も見えなくなった。

 二、三歩歩いたら……。

「……ここが霊界?」

「そう」

「道、短ぁ!?」

「そういうモンだ」

 いや、だからって短すぎるだろ……。立ち幅跳びで飛べる長さより短ぇぞ。個人差はあるけど。

「ここは、霊界のどの辺だ?」

「右端の方」

「分かるかっ!」

「地図じゃ右上あたりかな」

「分かるかっつに!」

「俺の住んでるトコの近く」

「最初っからそう言えよ!」

 結局どの辺なのかはわかんねぇけど。

「北の方、とか。荒地の近く、とかもあるけど。まぁ、何でもいいだろ。マーリさんとこ行くぞ」

「分かんのか?」

「仕事に行ってなかったら、お化け辺りと談笑してると思う。多分、きっと、そうであったらいいな」

「滅茶苦茶不安だな!」

「マーリさんの行動パターンなんか読めるわけねぇだろ」

「俺が知るわけねぇだろ!」

 さっさと歩くジンの後ろをついて行く。

 何にもねぇな、この辺。少し空気も冷てぇし。

「取り敢えず、仕事に行ってるかそうでないかだけでも確認しとくか」

「……兄ちゃん、これ何?」

「隊舎。俺の住んでるトコその二。駄弁ったり仕事したり雑談したり泊まったりゲームしたり仕事貰ったりもする所」

「半分は遊んでるくね?」

「なにか悪いか?」

 開き直んな。

「で、なんでそういう所が日本風の家なんだ?」

「建てた人の趣味じゃねぇのか。俺が知ってるわけねぇだろ」

「中はやっぱ畳なのか?」

「あぁ。部屋によっては土間もある。調理場は何故か最新式のシステムキッチン入ってるけど」

「バランス悪いなおい!」

「俺に言うなって」

 ジンが言いながら引き戸を開けて、中に入る。慌てて追いかけたら、何かが入った皿をのせたお盆持った、優しそうな女の人が板張りの廊下を歩いていた。

「あら。ジンちゃん、お帰りなさい」

「…………ただいま戻りました。タド、良かったな。探す手間が省けたぞ」

 この人がマーリさんか。分かりやすいな。

 三十は超えてそうだけど、でも何か若い。そこそこ美人。声優しい。しかも裏に黒いモノが見えない。

「その子は? 弟ちゃん?」

「はい。タラッド‐タドと言います」

「え、あ、初めまして」

 視線で促されて、慌てて挨拶をする。

「ふふ、初めまして。クッカ・マーリア・アハティラ‐マーリです。どうぞ愛称で呼んでくださいな」

 うっわぁ、雰囲気優しっ。今まで見た事ねぇよこんな人!

「タドちゃんは、ピリレン玉お好きかしら?」

「食わせてみれば分かりますよ」

「ピリレン玉?」

「菓子。食感が面白れぇぞ。食ってみろ」

 ふぅん?

 中に上がらせてもらって、部屋の一つに入れてもらった。畳の匂い……。霊界で嗅ぐとは思わなかった。

 座卓の上に置かれたのは、ビー玉そっくりのカラフルなナニか。菓子ってことは、食えるんだよな。

「どうぞ、召し上がれ」

 お言葉に甘えて、一つ口に入れてみる。

 冷たいな。

 硬いな。

 味、しねぇな……って、

「ビー玉っすよねこれ!」

「あら、ガラス玉を食べたのですか? 危ないから止めた方がいいですよ」

「いや、なんでそれとピリレン玉とを同じ皿に入れてるんですか!」

「コレはそういう風に盛り付けるモンだそうだ。まぁ、ガラス玉には気を付けろよ」

 …………えぇー。

「見分け方とかねぇのかよ?」

「光にすかして見ると、中に粒がある。みかんみたいな」

「先に言ってくれよ!」

 青いのを一個とって、光にすかして見ると、……あぁ、たしかに。みかんの粒っぽいモノがぎっしり詰まってた。

 食ってみたら、初めは普通の飴みたいにころころ行ってるんだけど、だんだん解けて来て……。舌で押し潰したら、中の粒々が一気に出てきた!

 みかんをバラバラにして食ったらこんな感じなのか? 口の中に粒々がいっぱい……。潰したら、何とも言えない不思議な味の汁が出て来る。旨いとも不味いとも言えない……。

「な、食感()面白れぇだろ」

「すげぇ不思議な味するんだけど」

「な。俺もあんまり食わねぇや」

 んだから、先に言えってのに!

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