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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
五月 GWにもレッツ迷走
51/102

51 地図を見つつ

「あれ、兄ちゃん何やってんだ?」

「見てから聞け。今忙しい」

 返事する余裕はあるんだな。

 岳だ。

 ……もしくは、タドことタラッド。どう名乗るべきだ?

 学校から帰ってきて自分と兄ちゃんの部屋に入ったら、兄ちゃんが机に向かって何かしてた。

 机に向かって……とは言っても、何故か立ってるけど。

 机の上を覗き込んでみた。

 デカい地図が一枚と、小さい地図が一枚広げられてる。右奥には畳まれた地図が何枚かと、黒いカバーがかかった本が二冊。

「何処の地図だよ、これ?」

 見た事の無い大陸が浮かんだ、多分世界地図。書かれてる字もさっぱり読めない。というか見た事すらねぇ。

「異世界」

「わかってんだよ、そんくらい」

「トートン界」

「何処だよ」

「キキワ界属界」

「わかんねぇよ」

「じゃ聞くな」

「えぇー。そりゃねぇだろ」

 ………………何の反応も無かった。俺の言葉は左耳から右耳へ流れてるらしい。流すな。

 とりあえず兄ちゃんの左手にあるペンと、地図との接点を見ておく。……見にくかった。左側から見たらな、そりゃそうだよな。右側に移動。

 ちょうど兄ちゃんの手が動いた。蛍光ペンで、地図に書かれた文字上からなぞる。

 なぞられたのは島の名前か? もう一本。こっちは海。さらにもう一本……は、ちょんって大陸の隅っこに点を打っただけだった。

「……あれ、兄ちゃん、左利きだったか?」

「文字を書くための物は両利き」

「ふーん? そうだったっけ」

「頑張った」

「納得した」

 俺もやった。小学んとき、両利きってかっけー、とか思ってやった。書けるけど字が汚くなるな、流石に。

 線と点とを書いた後、兄ちゃんはなにか考え込む。

「……で、そこが何?」

「今忙しい。自分で考えろ」

 考えて分かるモンか!?

 兄ちゃん何もしてねぇじゃん……とか言いてぇけど、頭ん中が忙しいんだろうな。

 地図に書かれた文字は読めねぇからなぁ……どう考えろと。自分で考えろっつったって事は考えりゃ分かるんだろうけど。

 島と、地図上ではその右側に広がる海。そのさらに右側には大陸。

 島と、海と、大陸。

 ひいが三つ付く祖母ちゃん人魚の住んでた海と、ひいが三つ付く祖父ちゃん鬼の住んでた島か? で、この大陸が、ひいの二つ付く祖父ちゃん化物の出身地……と言っていいのかはともかく、生まれた場所。

 そういや、父さん達に先祖の話するよう頼んだのって、兄ちゃんだったっけ。

 ……あれ、兄ちゃん、前に父さんは八分の一、母さんは十六分の一、色んな血が混ざってるのなんの言ってなかったっけ。あの時は出まかせだーって言ってたから別もんなのか? 悪魔の血ぃなんてどっこにも入って無かったもんな。

 母さんに至っては、霊体の生物達をごちゃ混ぜにした新たな生き物ー……らしいし。うわー、ホント滅茶苦茶に混ざってんな。

 で、兄ちゃんが線引いて目立たせたのがご先祖さんの居た……かもしれない場所って事は、前言ってたみたいにご先祖に会おう旅本当にするつもりなのか?

「兄ちゃん、そこ、ご先祖さんの人魚が居たとこか?」

「ん。多分」

「……多分?」

「父さんの話しか情報がねぇから」

 あぁー。そっか。情報少なすぎるな。

「人魚の住む海、額と脳天の間に二本の角がある鬼が住む島、その近くには大陸」

 意外に多くね?

「人魚が居るって時点で世界はそれなりに絞れた」

「鬼については?」

「それもある程度」

「ちなみに、それが居るって事が分かってたのはなんでだ?」

「前この世界に行ったときに会った人に聞いた」

 うわぁ。そんなん覚えてたのか。

「鬼が最低でも三種類以上生息してる世界だから、二つは外れて、鬼と人魚がすぐ近くに居て、地形も話に合う所を探したらここに着いた。それっぽい所が他にもあるんだけどな……」

 めんどくせぇな……。

「これ以上調べられないとこまで行ったら、しらみつぶしに行ってみるか」

 ……何十個もあったらどうするんだ?

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