21 初日です、中学生
水中の制服は学ラン。冬暖かそうでいいなーとか思ってた。
春暑いなコレ! 黒だから熱吸収するし!
しかも兄ちゃんのお下がり。でけぇ。
母さん曰く、兄ちゃんの時も大きかったってさ。すぐ丁度になるって言ってたけど、すぐってどれくらいだ。
岳だー。
今日は入学式。中学校のーって買ってもらったスポーツバック肩から下げて、家を出た。
しばらく進んだところで修也、翔と待ち合わせ。奈那子さんは家が遠いから、別の子と行くってさ。
修也は居た。翔は基本的に遅刻する奴だ。
「お早よ」
「あぁ、岳。お早う」
「……学ランだ」
「制服なんだから当たり前だろ! 岳だって学ランだろうが」
なんだろ。自分と同じ服を他の人も来てると何と言うか、変な気分?
「ぶかぶかじゃん」
「お前が言うか?」
修也『も』ぶかぶかじゃん。これで満足か!
「修也ぁ、待ち合わせって何時だったっけ?」
「十二時半」
一時十五分に集合だからなー。
中学の入学式は午後から。午前は従弟の神谷が小学校に入学した。小中学校が同じ日に入学式やるからか?
「で、今何時だと思う?」
「……さぁ?」
「十二時三十二分は過ぎてるぜ。さっき来る途中で見た時計がそうだったから」
「…………お前遅刻して来たのかよ!」
「どうせ翔は遅刻するからな!」
「威張るな!」
無駄に待つの嫌だし。
「どうする。翔ほっぽって行くか? っつーか待つより行った方がいいと思う」
「……そうだな。行くか」
よし。
翔、お前は一人寂しく来い。迷子になっても俺は知らねぇぞっと。
「たぁああけぇええるぅうう! しゅぅううやぁああ!」
……怖いの来た。
学ランで、何か怒って叫んでる、地味に怖いの来た。
「修也? コレって逃げるべき?」
「うん」
よし、せーのでダッシュ! 来るなぁ! 既にすぐ後ろまで来てるけどな!
……このまま迷子になったりしねぇよな? こないだ行ったところだもんな?
この道曲がって、ここはしばらく真っ直ぐで……!
……疲れた……。まだ翔来てるか?
後ろを振り返ってみた。大分後ろに翔が居た。修也がとり付かれてた。足の速さに大差は無かったか。
まぁ良かった。休める。疲れたぁあああ!
休んだ。疲れは取れた。復活。しばらくしてから、修也と翔が来た。
「遅ぇよ」
『速ぇよ!』
……本気で走ったからな。
「で、翔、何にとり付かれてあんな事に?」
「岳と修也の裏切り行為にとり付かれてあんな事に……」
裏切り行為ってとり付くモンか?
「岳の学ランだー。純さんかと思った」
「似てるだろ」
無表情!
「うん」
「え、そこ頷くか?」
俺、兄ちゃんほど怖くねぇぞ。絶対! これは自信持って言える。
「でも髪型違うからあんまり似てない」
髪型の違いでけぇな。
「……修也ー? あれ? 修也が喋らなくなった」
「翔の恨みでとり付かれたんだろ」
「えぇ!? どうしよう!? 俺捕まる? 警察に連れてかれる?」
「んな訳ねぇだろ!」
聞いた事ねぇよそんな話!
「修也、どした?」
「……眠い」
「あぁ! 修也ってひょっして、昼寝する人か?」
「違う! 花粉症の薬で……」
「んじゃもっと弱い薬にしろよ」
「効かない」
「……大変だな」
としか言えねぇよ。
そんなこんなで学校に着いた。
色んな人が来てるな。水小と第二水小、第三水小から来るはず。知ってる人もちらほら。
「クラス、何組だろ。四クラスあるよ」
高山、高山っと。あ、あった。
『高山俊』
誰だ!
……あぁ、その下にあった。ややこしくね? 同じ名前ならクラス別にしろよ。
「岳、何組ー?」
「四組」
「あぁっ!? 俺二組だ……」
え。
「修也は?」
「さぁ?」
「修也、何組だ?」
「三組」
「奈那子さんは」
「一組」
なんでここまでばらっばらだ!?




