表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
四月 入学したらさあ迷走
PR
19/102

19 車の中で

「ぬぁっ」

「ん? どした、姉ちゃん」

「美術館行くの忘れてた」

「美術館? なんか用事あったのか?」

「無いよ。でもあそこ、中学生まではタダなんだよ……。タダの内に行っとこうと思ってたのになー」

 美術品には興味無しか!?

 岳だ。

 光は明日から学校、姉ちゃんは明日高校の入学式。俺は明後日が入学式。

 要るモン揃えてなかったから買いに行こうってことで、車に揺られてどんぶらこー……は違うか。まあとにかく車に乗ってる。

 線路沿いの道を走ってる時に、姉ちゃんがあんまり残念そうじゃねぇ顔で、美術館の話をし始めた。

「あーあ。あっこ、高校生になった途端、中学生以下の一億倍してもまだ足りないくらいのお金取るんだよー」

 そりゃ、ゼロの一億倍はゼロだからな。確か高校生以上四百円だったっけ。

「じゃあ私が行って写真撮ってきてあげようか~?」

「美術館で写真撮るのは駄目だろ」

「子供の過ちって見逃してくれるよ~」

「無理じゃね?」

 こんな腹黒い子供見逃してくれるわけねぇじゃん。あ、でも猫かぶれば……。いやいや。

「そうよ~、光~」

 あ、母さんが入って来た。

「どうせ撮るなら、気付かれないように撮りなさ~い」

「は~い!」

 いい返事だけど『は~い』じゃねぇよ!

「いやいや」

 良かった、父さんは常識人か。

「どうせなら黒装束で忍び込んでだな」

「それ犯罪!」

「忍、まだ忍び込むとしか言ってないぞ」

 いや、それ十分犯罪じゃね? 入口って書いてあるところ以外から入っちゃ駄目だろ。

「…………続きは」

「忍び込んでだな、ル○ンのごとく鮮やかな手つきで警備をかいくぐり」

 泥棒の名前出てきてるし。完全に犯罪じゃねぇかよ。

「で、写真を撮ってくるんだ」

「そんだけ大げさな事やっといて結局写真!?」

「黒い服来て普通に入って普通に写真撮るだけだ」

「普通に写真撮るの駄目なんだってば!」

「あ」

 あ? どした、父さん。

「もー、忍が大きな声出すから踏切が閉まっちゃったじゃないか」

「あたしのせいか!?」

 違うだろ。

 目の前にはでっかい踏切。線路が四本通ってる。一旦閉まるとなっかなか開かないし、開いてもすぐ閉まるから『開かずの踏切』……って、少なくとも家の中じゃ呼ばれてる。

「あら~、誰か亡くなったのかしら~……。お花」

 ん? ほんとだ。踏切の側に小さい花束が。

「ここ、よく人死んでるからね。気を付けろよ、子供等」

『はーい』

 ……いや『よく』ではねぇだろ。少なくとも俺はここで死んだ人の話聞いた事ねぇぞ。

「あ~! あそこに幽霊居る~!」

「あら、本当~」

 光が指してる方は……? 踏切のど真ん中、黒いセーラー服の女学生? この変にセーラー服が制服の学校あったっけ。

 あ、電車が来た。あれ? なんで女の子走り出して……。

「電車と駆けっこしてる……」

 やっぱり? 父さんも同じ意見?

「負けたよ」

「がっかりしてる~」

 二本目、三本目の電車とも同じことして、全敗。そりゃそうだろ!

 踏切が開いて、幽霊の側をすり抜けて踏切挟んだ反対側へ。幽霊ー、成仏しろよー。

「前の車、呪われでもしてるのかな。お札だらけ」

 父さんに言われて前の黒い車を見てみた。黄色いお札のステッカーが大量にペタペタ貼ってある。

 怖ぇなおい!

「あれ、ホントに呪われてない? ぼろっぼろの服着た幽霊とりついてない? ほら、屋根の上」

 ……居たー。姉ちゃんに言われて気が付いた。屋根の上、腰から上だけ突き出た格好で酒喰らってる。

「あっ! 純が来た」

『えっ!?』

 ホントだ。屋根の上の幽霊に何か話しかけてる。けど、幽霊の方は手振りを見る限りそれを遮ったか? 兄ちゃんに座るよう促して、素直に座った兄ちゃんにお猪口出して酒を注ぐ。……家か! 自分家か! そこ、車の上だからな!? しかも走行中の!

「あら~、親の前でお酒飲もうなんていい度胸じゃな~い」

「お母さん、純兄まだ一口も飲んでないよ」

「いいなー、酒」

「お父さん!? 飲酒運転は駄目だよ」

 姉ちゃん、父さんは『いいなー』っつっただけで飲もうとすらしてねぇよ。

 兄ちゃんはどうしたかな……あ、酒の瓶ひっくり返して、中身全部ぶちまけてる。怒って何か怒鳴ってる幽霊の頭を空になった瓶で殴って……って、酷ぇなおい。

 さらに支持出して、幽霊はどっかに行った。……あれ、お札効果無し?

 幽霊はすぐに戻って来て、兄ちゃんに何か渡す。

「あ~! アイス~! いいな~」

 パ○コいいなー。

「ちゃっかりしてるなあ」

 開封してそれを食いながら幽霊とちょっとだけ会話して、二人そろってこっちに向かって跳んで来た!? そのままどっかに去ってった。

「ちゃんと仕事してるみたいね~」

「安心安心」

 いや、なんか安心しちゃダメな行動してなかったか? 酒瓶で人……もとい幽霊殴ってただろ? パシってアイス持ってこさせたりしてただろ? どこがちゃんと仕事してる!? どこが安心!?

「あ~! 見てみて~! 空を一反木綿が飛んでるよ~!」

「あら、こんな真昼間から~?」

 どこだどこだ? っつーか、今日やたら幽霊だのお化けだの見るな。

「……光~、アレはシーツって言うのよ~」

「あはは~、間違えた~」

 一反木綿とシーツ。

 ……いや、長さ全然違うだろ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ