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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
四月 入学したらさあ迷走
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17/102

17 山に集うは異世界人

「こんにちは」

「あ、こんにちは」

 挨拶返したら、元気そうな爺さんはその辺をぶらぶらし始めた。

 俺はしっかり休んだし、帰るか。

 岳だ。

 なんとなく、理由はねぇけど裏山に登った。今回は一人。

 途中山爺に会った以外は普通に登って、普通に下り始める。……普通じゃない登山の仕方ってどんなんだよ。

 木の根っこを踏んづけて、落ち葉を少し蹴散らして慎重に。じゃないと滑って落っこって足挫く。下手すれば崖から落っこちる。

 …………だってのに、な?

 なんでダッシュで降りて来る奴が居るんだ!?

「イヤッハァアアアアア! 退け退けーイ! 修嵐しゅうらんサマのお通りだヨ!」

 なんかイントネーション変だ。コレ、事実ではあるけど一応現実逃避。

 ポニーテールの、チャイナ服っぽい緑の服着た女の子。俺より身長はでけぇのにめっちゃ子供っぽいことしてる。

 えぇと、どうするべきだ? とりあえずアイツはこっちに向かって突進してきてるから、と言うかもう目の前に来てるから……ギリギリ避けた。あ、木の根っこに足が。あ、盛大にこけやがった。

「いったア! アニキ! 今足掴まれたヨ! きっとタケノコだヨ!」

 は? 筍? つーかコイツ、下の方向かって言ってるけど、誰に話してんだ。兄貴って?

「お前が勝手に木に足引っかけたんだろーが! 筍が足掴むか!」

 なんか新しいの来た……。下の方からダッシュで、わざわざ突っ込み入れに来た……。なんでこいつもチャイナ服?

じん、お前は何も分かって無いナ。タケノコは、すぐ成長するんだゾ! 成長したら手の一本や二本すぐ生えてくるヨ!」

「生えるかぁあああ! 何も分かってねーのはテメーだろ!」

 ……なんだ、こいつ等。あれ、まだもう一人来る。一番背が高くて、やっぱりこいつもチャイナ服。腰には刀。にーちゃん、銃刀法違反って知ってるか。

「コイツ何も分かってねーよ……兄貴も何か言ってくれ」

 あぁ、コイツが兄貴かー。

 真面目な顔して頷くと、そいつは陣とか呼ばれた奴の方を見下ろして……。何の話してたか聞くつもりか? 大声で話してただろ、こいつ等。

「陣、タケノコって……なんだ」

「知らっねーのかよ!」

 うぇええええ!? そこか!?

「筍掘りに行くっつったのアンタだろーが! なのに筍知らなかったのか!?」

「いやもう、食えりゃなんでもいいよ俺は。探すのもめんどくさくなってきた」

「めんどくさがっちゃ駄目だろそこ! お前の未来は餓死か! 食糧調達できずに死ぬのか!?」

 兄貴、お前呼ばわりされてんぞ。

「その辺のキノコでよくね?」

 ……木にびっしりくっ付いてる奴か!? これは食えねぇだろ!

「アニキ、わたしタケノコ食べたいヨ! 櫛にさして焼ク!」

「お前も筍知らねーだろ!」

 そろそろ陣が可哀そうに見えてきたな……。つーかホントに何なんだこいつ等。

「ったく、何なんだよ! 『筍掘りに行く!』つっといて、誰一人として筍知らねーじゃねーか!」

 お前も知らねぇのかよ!

「おい陣、どうするんだ」

 リーダーお前じゃねぇのか。

「そこのガキに聞けばいい話だろ」

 そこのガキ……俺か!?

「流石陣、賢いな!」

「お前等が馬鹿すぎんだよ!」

「流石、頭にしか能がないだけあるナ!」

「頭以外の場所に脳がある奴連れてきてみろ!」

 ……ノウ違い。

「おーい、そこのガキー」

「あん?」

「筍持ってるか?」

 自分で掘る気なしか!

「持ってるわけねぇだろ!」

「じゃ、どこにある?」

 どこにあるって。

「……にーちゃん、まだ筍なんか生えてねぇよ」

『な、なにぃいいい!?』

 こいつ等ホント筍知らねぇのな!

「大体な! 筍は竹藪に生えるもんだろ! ここに竹は一本も生えてねぇんだよ!」

「た、竹藪!? って……なんだ?」

 知らねぇなら驚くな!

「わたし分かっタ! 竹の子供だから竹の子なんだヨ!」

「で、竹藪は何処にあるか知ってるか?」

 女の子は完全スルーか。初めっから陣に話せばよかった。

「竹藪……俺は知らねぇな。この辺には無いんじゃねぇのか?」

『そ、そんな……』

 そんな分かりやすすぎる『ガーン』のポーズすんなよ。四つんばいなってたらズボン汚れんぞ。

 ん、アレ? 金髪青目の男の人が。

「俺知ってるよ、案内してあげようか」

 こいつ知ってる。兄ちゃんの死神友達で、リオンさんだ。

「ほ、本当か!?」

「嘘じゃないよナ! 嘘だったら地平線の彼方に吹っ飛ばすゾ!」

 おーい女の子ー。なんで扇を構えるんだー。

「おい待てよ! そいつ、死神とかいう弱くてねちっこいのの仲間かもしれねーぞ!」

 ねちっこい……。

 つーかお前等、俺に対しては死神とかそういうの全く気にしなかったよな。ひょっとして忘れてたか?

「あっははー。じゅーん、どうしよ、バレたー」

「リオ、それはトドメと言う。おけ?」

 兄ちゃんも来た……。こっち見ようともしねぇけど。

「しらばっくれるくらいしとけよ。ったく」

「お前等、死神か?」

「違いまーす」

「今更しらばっくれても遅ぇよ! アニキも分かってる事わざわざ聞くな!」

 陣、お前は敵方にも突っ込むのか。

「いや陣、これは礼儀として……なんか聞かなきゃ駄目な空気だっただろ?」

「何処の礼儀だ! どんな空気だ!?」

 ……あんた等、雰囲気的に死神に追っかけられてんじゃねぇのか?

 確か、自分の生まれた世界でない所に行ったら、自分の世界に戻れーって死神が来るって。異世界行ったり来たりなんかもっての外だってさ。理由は知らねぇけど。文化の狂いとかだったっけ?

「リオ、強制連行でいいよな」

「はぁー。それでいいよ。俺はもっと平和に連れ戻したかったけどねー」

 平和主義者か。死神の平和主義者。死神のイメージって黒なんだけど。平和主義者のイメージは白なんだけど。リオンさんは灰色か?

「やんのカ! 今まで何百人も追っ払ったのにまだやんのカ!」

「あれ、そんなに送られてたの?」

「いや? せいぜい二十数りょうだな。ボロボロになって帰って来たらしいが」

 霊ってなんだ。死神の数え方か?

「修嵐、そりゃいくらなんでもサバ読みすぎだろ」

「とにかク! アイツ等もズダズダボロボロにして追い返してやるヨ! ……陣、オマエそこで体育座りしてろヨ。『の』の字書いとけヨ」

「なんでだ!? お前俺を悲しい奴にしたいだけだろ!」

 あ、陣も刀持ってたのか……。既に抜いて構えてるし。

 兄ちゃん達は? リオンさんは一歩下がったところに立って……って戦う気無しか! 兄ちゃんはいつの間にか細身の金棒を担いでた。どこで手に入れた!? どこから出した!?

「めんどくせぇけど、名前の確認だけさせてもらいますよ。

 その真ん中の長身が明菩あくぼ我杜がず、女子が龍鬼りゅうき修嵐、悲しい奴があかつき陣。間違いないですね」

「悲しい奴ってなんだよ!」

「……悲しい奴にされかけた、暁……」

「なに『思いついた!』って顔で言ってんだ!」

「ってやり取りもめんどくせぇからもう悲しい奴でいいだろ」

 兄ちゃん、痛い奴ってのを取り消せばいいだけの話じゃねぇのか。……あ、悲しい奴だった。

「そうだそうだ、めんどくせぇからそれでいいだろ、陣?」

「そうだヨ、めんどくさいからそれでいいんだヨ」

「お前等どっちの味方!?」

 やっぱり陣、悲しい奴だ……。

 ん? あの三人の足元に、紐?

「うわっ!?」

「陣がこけたヨ! やっぱりタケノコに足引っ張られテ……」

 ここに筍ねぇっつったよな俺!

 俺がちょっと突っ込んだ間にも、三人が紐で縛られていく。

「なんだよ、リオ。俺金棒出しただけ損じゃねぇか。なんか奢れ」

「やれって言ったの純でしょ! 理不尽にも程があるよ!?」

 いや、こんな訳分からん事態に遭遇して家に帰れないと言う俺の状況の方が理不尽だと思う。

 ……あ、勝手に帰れば良かったのか。

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