【タタカマの世界】
此処はとある温泉施設です。
アナタは此処で4日間過ごさなければなりません。
アナタは温泉施設を全て無料でお使いできます。
此処にはアナタ以外の人間は居ません。
細長く真っ黒いヒトガタのナニかが施設内を徘徊していますが、アナタを襲う事はありません。
ゆっくりと温泉に浸かり日頃の疲れをお癒し下さい。
食料はフードコーナーで温かな蕎麦やうどんが食べられるので、アナタは飢える事はありません。
ロビーにはふかふかなソファーが置いて有り、其処で充分な睡眠を取ることが出来ます。
アナタはとても優雅な4日間を過ごすでしょう。
4日が経ちました。
特に問題が起こる事なく、アナタは無事4日間を過ごす事が出来ました。
温泉施設内に放送が流れます。
お疲れ様でした、扉が出現したのでお客様は正面玄関までお越しください。
アナタはその放送に従い、正面玄関へと向かいます。
正面玄関には見覚えが有る「二分の一」と書かれた扉が有りました。
おめでとうございます、その扉は正真正銘の外へ出られる扉です。
アナタは喜びいさんで扉を潜ろうとしましたが、何故か体が動しません。
アナタが不思議に思い戸惑って居ると、アナタのすぐ横を細長く真っ黒いヒトガタのナニかが通り過ぎます。
細長く真っ黒いヒトガタのナニかは此方に振り向きニタリと笑うと、ゴキゴキと体を歪ませ姿が変わります。
驚くことに、それはアナタの姿でした。
アナタは驚き目を見開くと、有ることに気付きます。
いつの間にか、アナタの姿が細長く真っ黒いヒトガタのナニかに変わっていたのです。
驚愕と恐怖に絶句しているアナタを他所に、アナタの姿をしたナニかが外へと出られる扉を潜ってしまいました。
アナタの姿をしたナニかは、アナタの代わりに外の世界へと帰り。
そして、アナタの代わりに、アナタの人生を送るでしょう。
アナタは愕然とし、己を失った虚無感を抱え無気力に温泉施設内を把握し始めました。
次の身代わりがこの温泉施設に来るまで、アナタはこの温泉施設の唯一のお客様としてこの施設から出る事は叶いません。
アナタは待ち続けます。
アナタの身代わりになる、アナタの新たな人生をくれる誰かが訪れるまで、永遠に。




