第14話 体重測定と新発明のドリンク、レモンソーダ
研究室に戻ると、丁度エラリーが『体重計』の試験中だったわ。
片方にはアルフォンス…ちょっと沈んでいるけれど。
「はい、そのまま我慢してね…っと」
エラリーが分銅を調整。斜めになっていたアルフォンスが水平に戻ったわ。
「えっと、140リブラね」
「あれ? ちょっと太ったかな…?」
「服のせいじゃない?」
「好調みたいね」
「お、お疲れフランソワ。さっき実家から届いたところなの。シーソー型天秤だよ」
天秤って大きく二つあるの。
一つが、イメージ通りの吊り下げ型。
もう一つが、今エラリーが試験していた、シーソー型よ。シーソーの片方に人が乗って、もう片方で分銅を調整すれば重さが分かる、という仕組み。
エラリー、金融業者の娘だけあって、重さを測るのは得意みたい。
「あとは魔力測定器を用意すればおしまい!」
「測定は問題ないわ。来週には届くと思うの。あとはノベルティだけれど」
「そこは専門家を用意したよ。こちらがメイドのリンダ」
クラシックなメイド服に包んだ、私より少し年上くらいのお姉さまだったわ。
そうよね、こういう世界にはメイドが必須だものね。
「普段は食堂で調理を担当しているんだ」
「お初にお目にかかります、フランソワ様。お会いできて光栄ですわ」
さすが、教育もばっちり。
「ここでは気楽にしてもらって大丈夫よ。魔法大会、よろしくね」
「恐れ入ります」
しっかりと握手。
「それで、リンダはなにを作ってくれるの?」
「そうですね。夏場ですし、トニックウォーターを使ったレモネードなどを」
「さっぱりしそう! でも、レモネードと言えば冷たくないと…どうするの?」
そこでハンスがそっ、と手を挙げたわ。
「僕が…多少、氷魔法が使えるので…」
魔法で冷やすのね。素敵だわ。久しぶりにキンキンに冷えたレモネードを楽しめそう!
「でも、炭酸水って高価なんでしょ? アリアにも炭酸泉があるとは聞いたことがあるけれど…」
「そこは僕の伝手でさ。格安で仕入れる予定だよ」
「なら、いいけど…」
あのぉ、と今度はマルタ。
「炭酸泉でなくても、人工的に炭酸は作れるでやす」
「そうなの?」
「な、なんだってー!」
アルフォンス、どこかで聞いたことがあるような台詞を言うのね。
「へい、姫さま。炭酸水は要するに二酸化炭素を溶かせばいいでやす。石灰と炭酸ソーダ(重曹)、それから酸味の強いビネガーを調合すりゃ、炭酸ができるはずでやす」
「それなら…」
研究室を探してみたわ。
「ありやすね」
「セドリック先生なら常備していると思っていたわ!」
「ただ、水に溶かすのが一苦労でやす。圧力をかけりゃ、溶けるらしいでやすが」
「ほんなら、アレはどうや? 遠心力を使うんや」
「瓶か何かに入れて、思い切り回転させるのね?」
「せや。車輪を改造して、瓶を何本か置けるようにするやろ。真ん中で炭酸を調合して、管で供給すればええんちゃうか?」
「それ、採用! そしたら、マルタと二人でお願いできる? 私も手伝うわ」
ニコラスのタスクが多いけれど…。
「大丈夫や、こんなんちょちょいのちょい、やで!」
なら、お願いしちゃいましょ。
「あと、決めておくことはあるかしら?」
「ネーミングだね。炭酸レモネード、でもいいけれど…なにか目を引く名前にしたいな」
「そしたら、『レモンソーダ』ってのは?」
「エラリー、採用! リンダさんも大丈夫?」
「構いませんよ、炭酸水さえあれば。あとはレモネードと作り方は同じですから」
これで準備は万端ね!
魔法大会、準備完了! 次回から魔法大会編です。
ぜひお楽しみください!
【追記】3月11日、改訂してます!
※本作は「カクヨム」および「アルファポリス」にも掲載しております。




