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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編ホラー

てきめり

作者: 壱原 一

「てきめり」は自己啓発グループエクササイズです。□□大学人□□学部の学生□□□□さんが集中講義「発展人□□学概論」に感動し、学んだ知見を取り入れて卒業制作として上梓しました。


誰もが気づかずにいるところを教え示して、より高い認識・理解に導いてくれる、とても有意義なエクササイズです。


比較的シンプルなエクササイズです。踏切の警報音をループ再生し、かん、かん、かん、かん…の拍に合わせて手拍子を打ちます。進行役に続けて、特定の語を唱じます。


用いる語は「てきめり」「ぺきえら」の2語です。


1語を8拍で3回唱じます。最初の4拍で、1拍につき1字ずつ1回。次の4拍で、1拍につき2字ずつ2回唱じます。


文字に起こすと下記の通りです。


*


進行役:


てーきーめーり!  てきめり!  てきめり!


かん かん かん かん  かん かん  かん かん(警報音)


ぱん ぱん ぱん ぱん  ぱん ぱん  ぱん ぱん(手拍子)



参加者達:(繰り返し。復唱)



進行役:


ぺーきーえーら!  ぺきえら!  ぺきえら!


かん かん かん かん  かん かん  かん かん(警報音)


ぱん ぱん ぱん ぱん  ぱん ぱん  ぱん ぱん(手拍子)



参加者達:(繰り返し。復唱)



(最初に戻る)



*


進行役と参加者達とが交互に唱じる形式上、8拍と8拍の間に休みの拍はありません。「てきめり」と「ぺきえら」を、警報音と手拍子に合わせて次々に唱じます。


繰り返す回数は指定されません。ついつい続けてしまう不思議な魅力があって、最初は照れたり小馬鹿にしたりする参加者達も、一旦はじめさえすれば知らないうちに病み付きになります。


発展人□□学の知見を取り入れているからです。


穏やかなエクササイズなので休憩の必要がなく、相応の運動を伴うので盛り下がらずに継続できます。安全にはじゅうぶん留意して、エクササイズの終了後に徒歩で移動できる余力が残る程度に続けると良いでしょう。


夢中で続けて手足が浮腫み、頭がぼんやりしてくると、「てきめり」の効果が表われ始めます。発展人□□学の真髄です。


警報音がくわん、くわんと真ん中で窪み間延びして聞こえだし、まるで音の中に包まれているような心地になってきます。


そこへ自らや進行役や他の参加者達の手拍子が加わり、くわん、くわんの音の中へより深く押し込まれてゆきます。


仕上げに「てきめり」と「ぺきえら」の斉唱が覆い被さって、その場に居る全員にそれぞれ蓋をするのです。


参加者達が全員このような状態になったら、進行役は空かさず終わりの合図を発します。タイミングは自ずと分かりますから心配いりません。


発し方はとても簡単です。


参加者達が最後の「ぺきえら」を唱じ終えた次の拍で、「どぉーーん!!!!」と叫びます。


轟々と空間を揺るがせて、壁や天井を壊してやる位の気構えで、お腹の底から元気よく大声で叫びましょう。


参加者達はたちまち合図を覚って解散し、各人が最も親しみのある踏切へ向かいます。


誰もが気づかずにいたところを教え示して、より高い認識・理解に導いてくれる、とても有意義なエクササイズです。


あなたの役目も終わりですから、本稿を次の人へ渡したら踏切へ向かってください。


お疲れ様でした。



終.

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