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非正規英雄~お金が無くなったので嫌々命を懸けてバイトのヒーロー始めました~  作者: ちょっと黒い筆箱
【第一章】他称ヒーロー バイト始めました
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【第7話】現れる変態とバイトのヒーロー

この世界の何処かのある部屋で、少年が一人窓の外を眺めている。逆光で顔はよく見えない


「主よ···お呼びでしょうか」


「ああ、呼んだよ。君が···人々が呼ぶ所の“見えない変態”君だね? 君はよく頑張っているようだね」


「はっ! このような私には勿体ないお言葉!」


「それでさ······そろそろ名前が売れて活動しにくくなるだろうけど、『山羊』の捜索は順調かい?」


「はっ······『山羊』については···未だ手がかりすら掴めていない状況であります······」


「正直でよろしい······あ、そうそう君の進化の話だけど、刀の神性機械(マギア)には気を付けた方がいい······彼はやたらと動き回っている···なるべく接触は避けて欲しい······君は【オリジン】以来初めてのフェーズ1で高い能力を持つXだ······期待しているよ」


――――変態は動き出す······大き過ぎる欲望と主への渇望を核コアに······空牙との接触2日前の出来事である






「あの……今日パンツこれしか持ってきてないんですけど……」


「いや本当に申し訳ない!!!!!!」


どうやら“見えない変態”ごと斬ったと思ったパンツは依頼人……山崎(やまさき)さんの物だったらしい。下げた頭を上げることが出来ない……何故なら何も解決してないから‼ 


「まあまあ、空牙さんも悪気があった訳ではないのですから、許してあげてください。そしてどんな状況で盗まれたのか、自分と空牙さんに聞かせて頂けませんか?」


ナイスだ柄間君! いやここは柄間さんと呼ばせて貰いたい! おっといけない、今は山崎さんの話を聞かなければ


「はい……私は部活があったので、更衣室で着替えていたんです……私は水泳部なので着替えは全て更衣室にありました。それで部活が終わって更衣室に戻ってきたその時! 私の下着が浮いて……飛び出していったんです!」


「成程……そこで校門から走って出てきた変態を空牙さんが斬ったがパンツだけが切れて逃げられた……と。

 てことは山崎さんは今ノーパ――――!」


「ちゃんと水着着てます!」


あーあ、柄間さん殴られちゃった。中学生にセクハラ発言はせいっさいされて当然だよね。南無


「とゆうかさっきからお二人とも斬った斬ってないって······犯人はそんなに危険な人なんですか?」


山崎さんが不安そうな顔で俺に問いかけて来る。そうかXの存在は俺達喫茶店オービアスの人間と警察の対X特務課の人達しか知らないのか······


「安心してください、ちゃんと捕まえて、罪を償ってもらいます!」


犯人が人間だった場合はな······


「アハハハハ! よぉ空牙! 店長に言われて助けに来てやったぞ!」


「万丈···! お前もう検査とやらは大丈夫なのか?」


「いやもうこれっぽっちも気力が残らぬ程に絞り取られたわ! 結果は後日教えると言われたぞ!」


お、思わぬ助っ人が登場したぞ? 役に立たないと言う意味の。とりあえず今の状況は説明しておこう。多分理解出来ないだろうが


「――――よく分からないが核に当たるまで殴り続ければ良くないのか?」


ほら見ろやっぱりアンサーがバカそのものじゃねーか!


「あのー···空牙さんこちらは?」


おっといけない。柄間さんに万丈を紹介するのを忘れていた


「おい空牙! 犯人はこいつだぞ!」


万丈がいきなり柄間さんを指さして騒ぎ始めた


「おいバカやめろ! すみません柄間さん! ホントこーゆー奴なんです!」


「いえいえ。お気になさらないで下さい、じゃあ自分は一旦パトロールに戻りますね」


「······で? とりあえず理由を聞こうか」


「簡単だ! あいつから死の匂いがする! あいつはお前らの言うXに違いない!」


何?! 確かに万丈はXかどうかが匂いで分かる様子はあった。おまけにメイさん、店長から言われた可能性の中にXが人に化けている事も含まれていた······


「仮に柄間さんがXだったとして、変態が走って飛び出して来た時、俺と、一緒にいたんだぞ? 一体どうやって更衣室から下着を盗み出したんだ――――」


いや違う、前提から間違ってたんだ


「万丈! お前これどうゆう状況に見える?」


俺は万丈に先程の監視カメラの映像を見せた


「これは···パンツが浮いて動いているな」


あの時柄間さんは、確かに走っていると言った!


「ああそうだよな! これは“動いて”いる! “走って”いる訳じゃない! 俺は柄間さん···いや、見えない変態を追う! 万丈はここで待ってろ! 俺一人でケリをつける!」





「あれ、空牙さん···どうしたんですか?」


「柄間······俺は回りくどいのが嫌いだから単刀直入に言うぞ······見えない変態はお前だな」


「············何故分かったんです? いえ、言わなくても私には分かります。アナタ、なにやら執着している事がありますね?」


「······っっ! 何でそんな事お前が知ってるんだ!?」


「私、Xの中でも少々特殊な個体だと主から伺っております···フェーズ1にして人語を話し、生前の姿のままこの世に存在する事ができている······それに···こんな事も出来るんですよねぇ!」


Xがそう叫び手を前に突き出した。すると、俺に向かって少量の金が飛んできた。


「どうですか! 私のチカラは!当たりでしょう!?」


「だからなんだよ!!!!!!」


残念、俺は確かに金欠大学生だったが、今俺が執着しているのは英雄思考の不破とか言ういけ好かないお巡りさんなんだよな


「なっ·····ハズレ!? そんなはずは······っ! 貴様ァッ! 一体どんな小細工をした!? 私の······私の見極めた執着は絶対なのだぞ!!」


「知らねーよ! 違ったんだから、諦めて大人しく斬られろ!」


「認めん······私はまだパンツが欲しいんじゃァァァァ!!!!」


Xの身体が光に包まれる···変態としての覚悟が決まったのだ


「はァ······コレがフェーズ2······今なら空牙君···君を殺せそうです···」


「進化しやがった······女子中学生の下着欲しさに!? キモすぎだろヤバすぎだろやだよこんな奴と戦うの!」


「ホザケ! そう言っていられるのも今のうちだぞ······! 私の能力も進化した! 空牙君に吸い寄せられる物の内なにか一つでも執着がある物に触れてみろ! その瞬間精神が壊れる! 立ち直る事の無い廃人の完成だァ! キャハハハハハ!」


······確かに、俺に向かってくる物が車、女、酒と男が好きそうな物無差別だ、しかも全て幻覚と来たもんだ。しかし······


「俺はこんなモンに! しかも幻覚には全く興味ねぇんだよ!」


悪いな、全て斬って消させて貰った。本物の車をぶつけてきた方が、いくらか効果的だったかもね


「な······なんだとぉ! 空牙ァ! 貴様はなんなんだァ!? 何に執着を持っていると言うのだァ!?」


俺はなんなのか···考えたこと無かったな、不破(アイツ)の言う通りヒーローになるなら、本名とは違う名前が必要だ。不破(夢ヒーロー信者)の考えるヒーローになれば見返せるかもしれない···? いいじゃねぇか、なってやるよ···ヒーローってやつに!


「俺は······バイトのヒーローだ。よく覚えて死ね···変態」


「何故今名乗る必要があったァァァ! もう良い!! この私が! 直接手を下してやろう!!!!」


ようやくご本人様が出るのか···さすが変態でもフェーズ2、身体能力も馬鹿にならない······だが···


「一手遅い」


『じいちゃん流・燈凛火舞踏(とうりんかぶとう)


Xは、突然苦しみ出した。斬られたのに、まるで火の中にいるように苦しみもがいている


「それはお前の欲望だけを燃やす炎だ。大き過ぎる欲望にその身ごと灼かれて死ね」


「チグショウ······チグショウチグショウチグショウ!!!! キザマはいずれ······我らの主から裁きを受けるだろう!! それまで英雄を気取っているがいいさ! キャハ! キャハハハハハ!」


その言葉を最後に見えない変態······柄間は燃え尽きた





「ほんっっとうにありがとうございました!」


「はい、もうこれで学校に下着泥棒は現れないと思いますよ。犯人はちゃんと警察に送り届けました!」


燃えカスを···だけどね


「どうだ! 我、お手柄だっただろう? なにか奢れ!」


「あー、分かった分かった! 俺がよく行くご飯屋さんに連れてってやるから! 今回はありがとう!」





「あーあ······また一人同胞が死んじゃったよ···オリジン君、どうしようか」


少年に呼ばれて影から出てきたのは、黒い鎧を身に纏った生物···否、鎧その者だ


「私からはなんとも···引き続き、『山羊』の捜索に力を尽くすのみです」


「お堅いね〜···もっと肩の力抜いていこうよ」


「ねぇねぇ! そろそろさ!もう一人くらいフェーズ3、お披露目しても良い頃じゃ無いかな? きっとみんな、混乱するぞぉ!」


少年は不敵に嗤う。その目に写るのは夜空か、または遥か遠い過去か

X達が主と呼ぶ人物がちょっとだけ登場しました!もう少しだけ本筋とは別の所で登場します!


ちなみになぜ【オリジン】と言う人間サイドがつけた名前を知っているのかと言うと、そう呼ばれている事を知ったオリジン本人がそう読んで欲しいとお願いしたからなんですよね!



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