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非正規英雄~お金が無くなったので嫌々命を懸けてバイトのヒーロー始めました~  作者: ちょっと黒い筆箱
【第一章】他称ヒーロー バイト始めました
14/20

【第14話】原点との邂逅~後編~

前回! 空牙しかいない店に現れた元気の無い青年はなんと最初に確認されたXのオリジンだった! 空牙は一人応戦するも全く刃が立たず殺されかけてしまう! そんな大ピンチの中現れたのは万丈と不破! さぁ3対1! 一気に形勢逆転!


第1章最終話!最後まで読んで頂けると嬉しいです!


「これで3対1、反撃開始だぁ!」


「ちょっと待て九重、幾らオリジンが強敵と言えども初めから数的優位を取ってから戦うのはヒーローじゃない! まずは1対1でやらせろ!」


「そうだぞ空牙! お前ばかりタイマンはずるいぞ! 我も一度一人でやらせろ!」


こ、こいつら······状況分かって言ってんのか!?


「バカかお前ら! 俺手も足も出なかったんだよ死にかけたんだよ見てただろヒーローとかタイマンとか言ってる場合じゃないんだよ!」


「ヒーローは常にピンチで強くなるんだ!」


「我にもタイマンさせろ!」


「あ···あのー、私から良いでしょうか?」


俺達3人の終わりの見えない言い争いを止めたのは他でもない俺達の倒すべき敵、オリジンだ。


「――――先程の九重 空牙と同じように、アナタ方お二人にも2発······一人1発づつハンデを与えましょう。それで私を破壊出来たなら良し、出来なかったら三人で協力······これでいかがでしょうか?」


オリジンはとんでもない提案を俺達にしてきた。絶対に自分が死なない、強者故の自信だろう。


「アッハッハァ!! 良いんだなオリジンとやら。死んでも文句言うなよ?」


「その余裕、俺が撃ち抜いてやろう! 今の俺の最強をぶつける!」


貫通徹甲弾(ガンドラ)!』


まず最初に動いたのは不破だ。前回の戦闘で見せた特殊弾よりも大きく、速い弾丸をオリジンの胸目掛けて撃ち放った。


「成程······外皮が硬いなら内側から爆裂させよう。という事ですか。発想は良いですが、そもそも人間の状態で止められているようじゃアナタもまだまだですね」


しかし不破の全力を込めた弾丸も胸に届く前に手で止められてしまった。


「それに、銃の真似事なら私も出来ますし。ね」


オリジンはそう言うと指で弾を軽くはじいた。すると凄まじい速さで不破の頬を掠め、後ろのビルが音を立てて崩れ始めた。


「うっそだろ······」


「九重、声に出てるぞ······動揺するな······負けるぞ」


俺を宥める不破の声も震えている······そりゃあそうだあんな人智を超えた存在、ビビらない訳が無い。


だが、あんな物を見せられても動揺すらしない人智を超えたバカが一人、ここには存在した。


「ハッハァ!! 次は我の番だな! 行くぞ! ファイトォ! 一発! 死ねぇ!」


嘘である。あのバカは一発と叫びながらあの一瞬で20発は殴っている。


「一発と言ったハズ――――!」


「失礼! もう一発、『衝撃(バン!)』」


オリジンは万丈のマギアの能力で20発分の衝撃をもう一度喰らった。倒れこそしなかったが、(ルール違反とはいえ)よろめかせる事には成功した!


「流石は“戦争”の息子······滅茶苦茶しますね······ですが、私はまだここに存在しています! 私も反撃させていただきます!」


遂にオリジンも本気モードだ。後は3人でどう倒すかだが······ぶっちゃけどう頑張っても負ける未来しか見えない。良い感じにどっちか(万丈か不破)が良い感じに作戦出してくれると良いんだけど······


「どうだ見たかぷにぷに野郎! 我の方が強い! 貴様は弾1発でなんとかなると思ったのか? バーカ!」


「うるさい馬鹿! 先に馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ! あと俺の名前はふ! わ! だ! なんでいつもいつも柔らか食感にしたがるんだお前は!」


「なんでそんなくっだらない事で喧嘩するんだよぉ! 世界の危機だぞ!? やばい奴目の前にして一致団結のひとつもできねーのかテメェらは! 見てみろオリジンを! 今にも飛び出しそうな姿勢で止まってるぞ! しかもちょっと涙目だし······可哀想だって思わねぇのかよ!」


「いや······あの、いいです······続けて下さい······」


今にも泣き出しそうな顔で俺に話しかけて来た。本当に不憫でならん。もしこんな立場同士じゃなかったらきっと気が合っただろうに······合う···合体······それだ!


「万丈! 不破! 合体技だ」


「「合体技?」」


「先ずはこれだ! 『形状変化・直剣』」


「刀が剣になった!」


「万丈! 驚いてる所悪いが、俺がよしって言うまで力いっぱいこの剣を殴れ! ·······折るなよ?」


「了解したぞ!」


「不破さん! マギアの力込めるのって銃弾以外でも出来ますか?」


「ああ、射出出来るものなら大体いける。あと大きさによっても込められる特殊能力の数が変わる···だからなんだ?」


「じゃあ不破さん······()()にできるだけ沢山、付与しちゃって下さい!」


「ッッ!!!! 九重、お前正気か?」


「正気なように見えますか?」


「はぁ······狂ってて最高にヒーローだ!」


『特殊付与・速射』『弾道補正』『光化』『剛射』


「この大きさだと4つが限界だが、やれそうか?」


「十分です! ありがとうございます! 万丈! 何回殴れた?」


「500······否! 1000は固いぞ!」


「じゃあ、俺の合図でその衝撃を解放してくれ!」


「――――ってことでオリジン、待たせたな」


暫く気にしていなかったオリジンの方に目を向けると、戦闘開始前に俺が淹れたであろうコーヒーを啜っていた。マジで余裕そう過ぎてなんか腹立ってきた


「ホント、待たせすぎですよ。最後の合体技の準備は完了しましたか?」


「お陰様でな···これでも通用しなかったら、世界は見事お前の物さ」


オリジンには店長も一度マギアを使って仕留め損ねている。もう本当に打つ手がこれしか無いのだ。


「じゃあ、行くぜ······」


「待て九重ッ! まだ技名を考えてな――――!」


「もう遅い! 死ねやオリジンッッ!!!!」


「な······! 剣を投げ――――ッ」


俺の投げた剣は、亜光速で真っ直ぐ飛んでいく。不破のマギアのお陰だ!


「速い! だが、私に防御出来ない速さでは無い!」


そうだろうな。お前なら身体に当たる前に掴むと思ったよ!


「今だ万丈! 一気に解放しろォォォ!」


「おうよ相棒!! 消し炭になれ!『一瞬(サウザー・)千撃(エクスターミネイト)』!!!!」


「あらま――――――!!!!」


オリジンが俺の剣に触れた瞬間、万丈の拳撃が爆撃となって解放される。爆炎はオリジンを飲み込み天高く登り、その衝撃波は辺りを更地へと変貌させた。


「はは······ちとやり過ぎたかもしれん······」


これ店長の反転で街が元に戻らなかったらやばいな······


「あ〜びっくりした······ついつい約束破ってしまいました······」


煙の中から声が聞こえる。考えたくないが、あの中にいるのは奴しかいない······


「今のはすごく良かったです。だって、私が()()()使()()()()()んですから」


「嘘だろ······」


煙が晴れると、オリジンは無傷で立っていた。否、先程までの青年の姿とは違い、右腕だけだった鎧が全身を覆っている。


「さて、本当の本当にボーナスタイムはこれでお終いです。3人纏めて消し去ってあげましょう」


そう言うとオリジンは、両手を前に突き出す。すると、両手の間に暗く、黒い光が集まっていく。今なら逃げる事が出来る。なのに、俺達三人は動く事が出来ない。ただ粛々と、黒い光が集まるのを見る事しか出来なかった。


「それでは皆さん、ごきげんよう。あ、私空牙さんに一つ嘘つきました。本当は殺して来いなんて頼まれてません。でも、ここまで来たら殺します。すみません」


罰天(ばってん)


オリジンは極大の光線を放つと同時に消えた。「殺すつもりはなかった」オリジンの言葉が、今日2回目の死を目の前にする俺に深く突き刺さる。


「ここまでされたら我等の完敗だな! ガッハッハ!」


「そうだな······英雄の1人として、潔く負けを認めるとしよう!」


えっ!? もしかして死にたくない未練タラタラなの、俺だけ!? こちとら何回か死にかけてるとはいえまだ死にたくないんですけど!?


「安心してください······皆さんは死にませんよ?」


! この聞き馴染みのあるリラックスボイスは!


「光線と言うのは要はあらゆるエネルギーを持った光。エネルギーの無い状態に『反転』させれば良いんですよ」


無光化(フォース)


店長が俺達と光線の間に立ち、軽く円を描く。するとその円に吸い込まれるように超破壊的エネルギーを持った光線は掻き消えた。


「て、店長ォォォォォ!」


「マジで死んだかと思った······」


「わ、我は初めから店長が現れるのを知っておったぞ!」


完敗武人ムードだった2人が何か言ってるが半分無視しとこう。


「皆さん無事で何よりです。······ですが、安心してばかりもいられません。私が街を復元したら、緊急作戦会議に入ります」





◇◇◇◇


私が部屋に帰ると、私の主は“げーむ”と呼ばれる物をしていた。お願いでWiFiとやらをこの部屋に引かせたのはこれが目的だったのだろう。


「あ! オリジン君おかえり! 随分と長くかかったね! 見てたよ〜?」


「主よ······お待たせして申し訳ありません。私の働きぶりは如何でしたでしょうか」


「うん! 良い感じに匂わせられたと思うよ! でもさ〜、『罰天』まで使うこと無かったんじゃない? 店長来てなかったら3人まとめて死んじゃってたよ?」


······主は恐らく全て見越した上で私に質問している。何やらげーむでダメージを受けて破壊されたらしく、再出撃するまでの暇潰しだろう。


「彼らに“店長”と呼ばれている人物が接近しているのが分かったため、力の差を分からせる為にも大技のようにそれらしく溜めて発動しました。店長なら、簡単に無効化出来るでしょうし、あの判断は妥当だったかと」


「流石はオリジン君! これで人間達も僕たちのおおよその目的に気が付いて『山羊』の捜索を始めるだろうし、ヤギが見つかるまでX(エクス)は出さなくていいか! 戦力の温存温存!」


主は今嘘を吐いている。戦力の温存は建前で本来の目的はコチラだろう。


「ご自身が“げーむ”、したいだけでは?」


「あ、バレちゃった? 楽しいよオリジンもやる?」


「私はそういう類の物は······」


「良いじゃん良いじゃんこのゲームなら同じチームでできるし!」





「あ······死んでしまいました······」


「ドンマイドンマイ! 次裏取りして相手の陣地の旗()りに行こ!これで一発逆転のチャンス!」


「·······楽しいですね」


「デッショーッ! 次はさ、色塗って陣地取るゲームなんだけどさ、新作なの! やらない?」


「良いですね。やりましょう――――――――――」


夜の明けぬ世界でも夜は昏れる。怪物たちはしばらくお休み。次は何をしようかと、少年と原点(オリジン)は常に夜更かし。


これで1章は終わりです。はい、最後に少年とオリジンがゲームして終わりです。まあこんな締め方もぽくて良いんじゃない!?悪くないよね?悪い言わないで!


という事で話自体は2章3章と続く訳ですが、幕間と言うものをやってみたいので、普段あんまり出てこないキャラクターにフォーカスした話をいくつかやった後、第2章『修行と覚醒』編をやりたいなと思ってます!次回の更新をお待ちください!


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