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短編集

お狐様と三井くん

作者: 秋川千夏

これも評価よければ不定期で連載版出します

ゆさゆさ…ゆさゆさゆさ…ゆさゆさゆさゆさゆさ


「起きて〜おーい」


ゆさゆさゆさ…


「おーきーろー!!」


ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ


「起きろって言ってんでしょ!!」


バシーン!!!


「いったぁ!!!」

「やっと起きましたか…おはようございます、九さん」


「へっ、へっ、変態だぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「誰が変態ですか!!」


◆◇◆◇◆



えっーと、まず状況を整理しよう。

俺は一人暮らしの高校生、三井九(みついここの)。あだ名は「住友くん」とか「銀行」だ。

そして、今日は三連休の2日目の土曜日だから、昼まで寝るつもりだった。


なのにいきなり起こされた。

見知らぬ狐みたいな耳と尻尾つけた変態に…どういうこと???


「って!誰が変態ですか!!」

「えぇ!?頭ん中読んだのお前!!?」

「違いますさっき朝起こしてあげたのにいきなり変態呼ばわりされた…って!もしかして頭の中でまた変態って思っていたんですか!?失礼すぎます!こんな綺麗で可愛い女の子の私を変態呼ばわりするなんてぇ!!!」

「いやいや、だって狐っぽい耳と尻尾つけて人の家に不法侵入してくるコスプレイヤーってただの変態でしょ」


いや、やばいやつか?とりあえず、通報??


そう思ってスマホを手に取り110番して

「もしもし警察ですか?朝起きたら耳と尻尾つけた変態レイヤーが不法侵入してたんですけど」


「NO!!!!私変態じゃない!これコスプレじゃない!!本物の耳と尻尾!ほら動く!!」


そう言って尻尾をパタパタ、耳をぴこぴこ動かす変態。

凝ってるなぁ。とか思いながらも、機敏に動くもふもふをみると触りたくなる衝動を抑えられず思いっきり耳を鷲掴みしてしまった。

その瞬間そいつはビクッと体を振るわした。

やっちゃったなぁとか思いつつも手に伝わってくる温もりともふもふには抗うこともできずにめちゃくちゃモフってしまう。


「あっ、やんっ♡だめっ、そこ感じちゃぅっ」


とか色っぽい声を出してきた。

正直興奮したけど、知り合っていきなり押し倒すのは純愛厨の俺にはできないから、モフモフで我慢した。俺偉い。


「うん、でも、理解した。これは本物の狐耳だ。おそらく尻尾もそうだろう」

「わかってくれましたかっ!!わかったなら今すぐそのスマホ?ってやつを置いてください!!」

「だが、不法侵入には変わらないから通報する」

「だめぇぇぇ!!!!」




◆◇◆◇◆




「で、あなたは誰なんですか?」

「コホンッ。説明しましょう。私は君の家の近くの神社に祀られてる狐の神様の分身体です!」

「はぁ」

「なぜここにいるかというと、私の生みの親でもある狐の神様が、あなたを溺愛してるんですけど、生憎神様実は男の子なんですよ」


えぇ!?神様に性別あるの!?てかそれくらい変えれると思ってた!?


「で、いくら好きでも男の子同士で愛する趣味はないから女の子の分身体である私を通してあなたを愛すんですって。で、私は神様に自我をもらう代わりに君と結婚しにきたのだ!!っていうことで、はい。婚姻届。サインして?」


そう言ってこの人は婚姻届を差し出してきた。


「ねぇちょっとタンマ!!!」

「はい?どうされました?」

「なんでいきなり結婚!?しかも俺まだ未成年!結婚できない!てかなんであんたは神様の命令従ってんの!?自我あるなら嫌でしょふつう!あと異種族との結婚って婚姻届でオッケーなの!?というか、俺神様に好かれる様なことしたっけ!?」


驚きのあまり物凄いハイスピードでしゃべってしまった。

普段割と滑舌悪いのになんでこういう時だけ…


俺の質問にこの人は耳をピクピクさせてすこし悩んでからハッとした。


「とりあえず、未成年だろうがなんだろうが結婚はできますけど、神様界では一度結婚すると離婚できません。あと、ハンコではなく血でサインしてもらはなきゃいけないです。

それで、私があなたとの結婚が嫌ではない理由は簡単です。それは…」


ゴクッと生唾を飲み、俺たち2人の間に緊張が走る。


「神様の分身体だから神様の好意が遺伝したみたい!」

「なんだよそれ!?」


ほんとになんだよそれ!あれか!?子は親に似るってやつか!?


「そんなわけで結婚しますよ!ほらっ!名前書いてください!!」

「どんなわけで!?いやだよ!まだ結婚とか考えたことないもん!」

「いいから書けー!!」

「うわぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


この日から俺の人生は神様に迫られる人生に変わってしまったらしいです。

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