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ギャルゲ神のてんせい  作者: 碧海
第一章 転生と変生
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スライムの適応性の高さは、プロのぼっちにも勝る


進化。


それは、生きることができない環境や現状維持では打破できないような壁にぶち当たった時に、魔物が一つ上の段階に踏み込むための成長のようなものだ。


まぁ、見てる分には急に変化したようにしか見えないから、進化と呼ばれているんだが。


要するに、魔物の進化とは適応だ。自身が置かれている環境や、状況に則して変化する。


それさえわかっていれば、進化の方向を誘導する事など容易い。


『君らの群体は、何匹ぐらいいるの?』


そう聞くと、スライムは考えるような仕草(勝手な推測)をした後で答える。


『多。』


……まだ細かい意思の疎通は無理か。


『オーケー、よくわかった。先ずは言葉を覚えようか。次いでに、隠密の練習もしよう。』


『何故?』


『情報収集は言葉が分からないとやりようがない。後、俺との意思疎通ももっと簡単にできるようになっときたい。これが言葉を覚えてもらう理由。』


『……了。契約、合致。』


……契約内容以外のことは、してくれなそうね。まぁいいか。


『隠密の練習してもらう理由は、こっちも情報収集2必要だからかな。一応君ら魔物だし、見つかったら面倒だ。何より、簡単に見つかる密偵なんぞ信用出来んしな。』


『……了。即、行。』


『やる気になってくれて嬉しいよ。』


じゃあ、とりあえず屋敷に戻るか。


『俺の服の中に隠れれる?君だけでいいんだけど……。』


『可。』


そう言ってスライムくんは、俺の服の中に入ってくる。


「おぉー、器用だね。あんま違和感ないわ。」


するすると入ってきて、体を薄く伸ばし服で隠れている部分に覆いかぶさって来るスライム。ひんやりしてて気持ちいい。


……帰るか。


媒体器(デバイス)を握り、身体強化を発動する。効果が現れたのを確認し、俺は走り出した。





シャワーを浴び、汗を流したあとは、自分の部屋に行き、スライムくんにこれからしてもらうことを話していく。


『分裂はできる?』


『可。』


そう言ってスライムは、2匹に分裂した。


「初めて見るけど、これ恐ろしく便利だよな。」


スライムの主さえ捕まえれば、あとは魔力さえあれば無限にスライムを創れる。


そして、分裂したスライムも同一個体として認識されるためか、全ての経験が共有される。


つまり、増やせば増やすほど成長スピードは早くなるという事だ。


……まぁ、どう頑張っても戦闘方向では成長しないのだが。


さておき、


『とりあえず、あと十匹増やしてくれる?魔力は送るから。』


『是。』


こうして、スライムは11匹になった。


『じゃあ、やること言ってくぞ。

ここにラジオがあります。そこの5匹には、このラジオをずっと聞いて貰います。

あとの5匹には、影のある場所に隠れてもらいます。成る可く気配を消すことを意識して。

本体の子は、俺に着いてきてもらう。基本は服の下だけど、周りに誰もいなかったら出てきてもらうこともあるかも。問題は?』


『無。』


『じゃあ、早速やってくれ。』


スライム達がそれぞれ行動を始める。3日後ぐらいには、いい感じに育ってるだろ。


ってことで、


『スライムくん、今日の魔力ね。』


スライムに、俺の魔力の3割を渡す。心做しか、嬉しそうに体を震わして居る様に見える。


……魔力って美味いのかな。思考が固まったら、聞いてみよ。




早朝5時からスライムを体に纏わせて走り込み、終わったら一日分の魔力をスライムに譲渡。


訓練所に行き、媒体器(デバイス)で刀をつくり、いくつかの型をゆっくりなぞる。


それが終わった後は、これからの行動に思考を巡らせる。


……一つ思いついたことがある。スライムに、スマホを持たせたらどうなるのだろう?


スライムは全魔物の中で最も進化しやすい、つまりは適応性の高い魔物だ。どんな状況、どんな環境にも適応し、殺される以外ではまず死ぬ事が無い優秀生物でもある。


そんなスライムだが、【科学】には、適応できるのだろうか。


……もし、もしだが。スライムが、携帯の機能を使えるようになれば、情報の確度は大幅に向上するはずだ。


今、スマホを大量に買う訳には行かない。


東青家に監視されているであろう俺が、不振な行動を起こせば一発で終わる。


だから、買えて1台。それでも今の俺にとってはでかい出費だ。


東青家に見張られている以上、派手な行動は出来ねぇ。


ダンジョンは金になるが、雑魚である壱成が急に稼げるはずもない。まず間違いなく疑われる。


……だから、これはある種の賭けだ。金をドブに捨てる結果になりかねねぇ。


だけど、もし成功すれば、そのアドバンテージは必ず役に立つ。


「……決めた、やろうか。」


俺は直ぐに支度をし、スマホを買いに出かける。


店に着くまでに、スライムに事情を説明し納得してもらった。


スライムにスマホを買い与え、分裂させて一体に持たせる。


『そいつを使い続けること。出来ればメカニズムも理解してくれ。それと、その機能を自分たちが使えるようになるのを想像しながら使ってくれ。』


……あとは、結果次第だな。


「あぁ、タバコ吸いてぇ。」





そうして数日を過ごし……スライムが進化した。


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