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ギャルゲ神のてんせい  作者: 碧海
第一章 転生と変生
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掲げる理想像は、己を取り巻く環境により変化する


オリヴィアから、《亡失態(バーナム)》を教わってから数日が過ぎた、鍛錬中のこと。


「壱成。少し聞きたいことがあるんだが……。」


無銘の刀を振りながら、聞いてくるオリヴィア。


「なん、うぉぉっ!あっぶねぇ!死ぬ死ぬ死ぬっ!」


質問をしながらも攻撃の手を緩めないオリヴィアに、答えることが出来ずに、避け続ける俺。


振り下ろしを横に転がり避け、横薙ぎをそのまま転がって避けて立ち上がる。


直ぐに、突きが飛んで来るので刀でそらそうとするが、


「はあっ!?」


直前で曲がり、足を斬りつけてくる。咄嗟に後ろに飛びのき、何とか避けるも、追撃が止まらない。


「しつもんっ……するならっ……うおっ!……もうちょいっ……ゆるめろよっ……!?」


そんな事を言いながら避け続ける。


袈裟懸けに刀を合わせ、後ろに飛び威力を減衰させ……ようとして、威力が強すぎて失敗。後ろに転がり、その勢いで立つ……と目の前に剣の切っ先。


「のわぁっ!!」


首を避けに倒し、突きを避け、刀を振り回し振り払う。


「いや、ちょっと気になっちまったからよ。」


そんな事を宣いながら、突っ込んでくるオリヴィア。


そこに、地面に転がった時に掴んだ土を投げつける。


目を閉じたオリヴィアに、風球(ウィンドボール)を放ち、それを目くらましに、後ろに回り込む。


「私に奇襲は通じんよ。」


そう言って、目を瞑ったまま、風球を刀で斬り裂き、勢いを殺さず後ろに回った俺に振り抜く。


「知ってる。だから……」


振り抜かれた刀を潜り込んで躱し、刀を振りかぶると同時に……


「挟み撃ちだ。」


オリヴィアの後ろに風球が迫る。


風球が当たるタイミングで、俺も刀を振るい完全同時タイミングで攻撃する。


それを……


「良い手だ。」


そう呟いたオリヴィアは、俺の刀を片手で持った刀で受け止め、もう片方の手に魔力を纏わせて風球を逸らして見せた。


「うっそだろ、おい……っ!?」


驚愕し、動きが止まった俺の足を払い倒れさせ、顎先に刀を突きつけるオリヴィア。


「惜しかったな、壱成。」


「どこが惜しかったんだよ。終始余裕だったろ、てめえ。媒体器(デバイス)なしで魔法そらしてんじゃねぇよ、化物が。」


そう、俺の相手をしているオリヴィアは、媒体器を一切使っていない。


純粋な技術のみで、なんでもありの俺を終始圧倒して見せた。


「いや、実際良かったぞ?特に、風球と斬撃での挟み撃ち。あれ、風球の目眩しの時に作ったやつだろ。発想が良い、強くなっても使える手だよ。」


……オリヴィアにやった挟撃、実際には大したことはしていない。


まず、土と風球による目くらましをした後、もう一つ風球を作っておく。


その後に、俺が後ろに回り込むことで意識をコチラに持っていかせ、操作の導体(メモリー)で攻撃を合わせる。


やった事と言えばこれだけだ。


もっと言えば、


「《亡失態》を使えればもっと良かったけど、あれはまだ実用レベルにまで持っていけてねぇからな。」


《亡失態》であれば、その不可視性は風球を超えるためこの不意打ちには最適だった。


しかし、俺の熟練度が足りないため、今回の作戦では使えなかったのだ。


「まだまだ、強くなる余地は残っているということだ。良かったじゃねぇか。」


そう言ってオリヴィアは笑いかける。


「そりゃ、そうだけどさ。」


そうは言われても、現時点での実力に不満は残るもんで、自分が強くなれているのかにさえ、疑問を持ち始める。


「……壱成、聞きたいことがあんだけどよ。」


神妙な面持ちで、そう切り出すオリヴィア。


「なんだ?」


「お前は、なんで強くなりたいんだ?別になんもねぇならいいんだけどよ、お前の強さへの執着は、なんつーか、普通じゃねぇ。」


なぜ強くなりたいか、ね。


あまり人に話すような事じゃないんだけど、まぁ、師匠(オリヴィア)なら……いいか。


「……どうしても、やりたいことがあるんだ。どうしても、守りたいヒロイン(人達)がいるんだ。それは、俺がどうにかしなきゃならない訳でも、俺以外にはできないなんて訳でもないんだけど……、それでも、それを知っている俺が何とかしたいってそう思ったんだ。だから、強くなりたい。」


最初は、死ぬのが嫌だったから、怖かったから強さを求めた。


避けられるか分からないイベントで、死んでしまわないように。何かの間違いで、死が迫ってきた時に、それを回避できるように。


だけど、自分が『楽学』の世界に居るんだって意識すればするほど、あれだけハマったゲームの中で本物のヒロイン達に会えるんだって思った時、彼女達を死なせたくないって心の底から思った。


主人公がハーレムルートにさえ入れば、殆どのヒロインは生き残れる。でも、それ以外のルートだと、死んでしまうヒロインが数多くいるんだ。


そんな結末を知っていて、彼女たちが死ぬことを分かっていて、見て見ぬふりなんか……俺には出来ない。


だから、彼女達を守れるように、死の運命から逃す事ができるようになりたいと、そう思った。


「どんな相手にも負けることがないような強さが、どんな運命もねじ曲げられるような力が、俺は欲しいんだ。」


ハーレムルートであれ、死ぬヒロインはいる。


だから、俺がやるべきは、主人公をハーレムルートにぶち込み、そのルートで死に至るヒロインを救うこと。


そのための力を、今のうちから手にしておきたい。ヒロインが死ぬ、3年の後半までに。



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