夢日記「生物記録装置」
私と男女一人ずつがいた。会議室のようなカーペット張りの部屋にいる。
一枚の作文用紙が、目の前のテーブルに置かれていた。
はっきりとは覚えていないが、夏休みの男の子と宿題の話が書かれていた気がする。
「まもなく飼育員が来ますので、それまでにこの用紙の内容を記憶し、みなさんに劇をしていただきます」
五百字詰の作文用紙半分ほどの長さだったが、急に言われたので私は焦った。
ビーバーの子供のような小動物を抱いて、飼育員の女は部屋に入ってきた。この小動物が「記録装置」であり、これから始める劇は、その記録装置を使った実験のようだ。
小動物(以下ビーバー)は茶色のふわりとした毛に覆われ、黒いつぶらな瞳をしている。鼻をひくひくと動かすだけで非常に大人しく抱かれていた。
私たちは黙ってテーブルを避けてドア付近のスペースへ移動した。その時、私は用紙を一緒に持っていった。見てはいけなかったら注意されるだろうし、見ても良いなら安心だと思ったからだ。
女は劇を始める前から「ちょっと見せてもらいましょうか」としきりにビーバーの記録を見ようとした。
こめかみをギュッと押すと、目の前にオセロの盤面のような図が浮かび、そこに白い丸と数式のようなものが並んでいた。
読み解くことはできないが、これがビーバーの記録のようだ。
いよいよ劇をはじめる。女は私たちに静かにするようなジェスチャーをすると、黙って床に座るように促した。
「まず、はじめに全員で唱和する場面があるのですが……私が、ハイ、ハイ、ハイハイハイハイハイハイはいはいはいはいはい………「ハイハイハイ、ギャランドゥ」のタイミングになります。」
「わかりました」各々でタイミングの確認をし合う。この時、私は異様に眠くなっていて、タイミングを思い出すことに必死だったが、全員で唱和する場面など用紙のどこにも書かれていなかった。