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「時間が巻き戻った瞬間に、
それまでの記憶は消えるけど、
携帯に書いた日記だけは残る。
この予言メールも、
予言と言うより日記みたいに見える」
「うん、確かに文面は、
私が書いたような感じだとは思ってたけど」
「最初に僕に相談に来た時に不思議に思ったんだ。
暴力的な相談なら、僕より大場君の方が
喧嘩なれしてそうだし」
大場 悟。
素行は良くないが、腕力には定評がある人物。
「そうなんだけど、なんか急にあの人、
生理的に嫌な感じがして」
「それだよ。
きっと君は一度あの人に相談して
酷い目にあったんじゃないかな。
そして時間をリセットして全ての記憶が無くなったけど、
その感覚だけが残っているとしたら」
「そうなの?」
「それに相談するなら、
僕なら生徒会長とか、
他にも頼りになりそうな人はまだいるけど」
「あの人、私には頼りなく見えるけど。
でもそう言えばこのメールが届く様になるまでは、
確かに頼りになりそうな気がしてたかも」
「君は既に何人にも相談し、
その全てにおいて失敗して、
時間を巻き戻っている可能性がある。
いやそもそも、その未来を選択しないという
選択をしていると言うか 」
「でもそれだと予言と何か違いがあるの?」
「そこなんだけど、失敗を繰り返さない為には、
その違いが重要な気がするんだ。
この予言メールはその重要度によらず気まぐれに、
ほとんど必要ないような予言も多いし、
必要な事でも送られてない事もある。
予言の精度がバラバラであまり役にたってない」
「確かにそうかも」
「そこでだ、これからは出来るだけ重要な事に限り、
正確に簡潔に日記に書いていくんだ。
それでこの未来の予言が役にたつようになる。
僕の予測が当たってればだけど。
僕の予想が当たっているかどうかも、
そのメールの予言の文章の変化で確かめられる」
「うん」
「君は携帯に日記を残すときメールで日記を書いて、
自分宛にメールを送り、届いたメールを保存するんだよね」
「うん」
「これからはそのメールの件名に、
未来レポートと書いて日記を残すんだ。
とにかくこの予想が当たってるか確かめる為に、
今日一日だけは、重要でない事も事細かに日記に書いて。
今日一日だけでいい。
それでこのメールが、
未来の君が書いものかどうかを判断する。
それが解れば後は重要な事だけを書くようにする」
「うんわかった」