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Last Quest 風を求むもの  作者: 山原喜寛
弐章
7/8

2 Ryku's determination リュクの決意

「実はそうはいかないのだよ。」

 リュウキはそう言って2人を見た。

「どうしてですか。」

「だってこられたじゃないですか。」

 まくしたてるリュクとキリアに、リュウキは黙ってうなずいた。

「たしかに、だが無理な理由が2つある。1つは今他国が攻めてきていること。もう1つは、これが一番の問題なんだが、こちらからの扉が動かないということだ。」

「そんな扉が動かないんじゃどうしょうもないじゃないか。」

 リュクは(ひざまず)いてしまった。

「だが君たちにも朗報はある。この戦いが終われば君たちを家に帰してあげよう。」

「本当ですか。」

 キリアの顔が喜びに変わった。

「キリア、まって。戦いって戦争ですよね。何年かかるかわからないじゃないですか。」

 リュクが冷静に答えを返した。

「じゃ、すぐには帰れないの。」

 キリアの顔が急に雲り出した。

「そうだよキリア。今すぐにでも僕達を解放してください。自力で帰ります。」

「残念だが、それは一国の主としてさせられない。」

 リュウキは毅然とした態度で言い放った。

「この国にいる以上、君たちを危険な目に会わすわけにはいかない。わかってくれ。これは君達のためでもあるのだよ。戦いも作戦が上手く行けばそんなに時間もかからないだろう。それまでの辛抱だ。」

 リュキはだまって話を聞いていた。そしておもむろに口をひらいた。

「解りました。では、その戦いに僕を参加させて下さい。」

「なにを言っているの。まともに剣だって振るったことないのに。」

 キリアがとめに入った。

「じゃあここで、何もせず待っていろというの!ソウゴだって、心配してるよ!!」

「ソウゴ?!あの、ソウゴ・トラバスか!」

 リュウキが驚いたように言うと、

「父がどうしたのですか。」

 キリアが、こたえた。

「昔、剣聖と呼ばれていた剣の使い手だ。」

「父が剣聖?まったくそんな感じがしないのですが。」

「ミミリア博士と結婚した後は船乗りをしていたと聞いているのだが。」

「母は死にました。父はその時から船を下りて町で働いています。」

 キリアの顔が少し曇った。リュクがそっとキリアの肩に手を置いた。

「そうかそれはすまなかった。ところでリュク君。ソウゴから剣を習ったことは?」

「はい。毎晩キリアが夕食を作っている間、2時間ほど。」

「2人でこそこそしてたと思ったらそんなことをしてたの?」

 キリアがこまった顔で話をした。

「ならば話は別だ。リュク君、君の腕を確かめさせてもらってもいいかな。」

「はい。」

 リュクは元気よく返事をした。


 リュウキに連れられて、応接室を出ると左へ右へと何度か曲がりその先へ進むと大きな広間に出た。

「おまちしておりましたジャ。」

「ジイヤすまぬな。こんなことをさせてしまって。」

 広間に一人立っていたジイヤに、リュウキが頭をかきながらいった。

「いいえ、戦いの最中、人手不足なのもしかたないですジャよ。」

「(ということはこんなジジイと腕試しするのかよ。)」

 リュクが勝ちを確信していると、

「こうみえても現役の時、剣ではこの国で十本の指に入っていた者だ。心してかかれよ。」

 リュウキがリュクの心を見すかしたように言った。

「わかってますよ。でどうすればみとめてもらえるのですか。」

「そうだな。ジイヤに一撃入れられたら認めてやろう。」

「ちょっとまってください。」

 キリアが声を上げた。

「リュク、本当にできるの。無理しないで戦いが終わるのを待とうよ。」

「キリア、ここに来てから色々ありすぎて忘れてしまっているけど、ぼくはなぜあの時、あの扉が開いたのかが知りたいんだ。」

「ここにはなぜか解らないけどその答えがある気がするんだ。」

「だからここで自分の力を試して自分が何者なのかを知りたいんだ。」

 それを聞いて、キリアは何も答えることができなかった。

「そろそろいいですジャか。」

「はい。よろしくお願します。」

 そう言うと二人は剣を抜き、お互いの剣先を軽く打ち合わせると鞘に戻し、後ろを向いて二歩下がると互いに振り返り正体した。

「ほう、作法は習っているようだね。」

 リュウキが感心していると、リュクが動いた。

 一歩前に出ると同時に剣を抜き、横一文字に切り払った。ジイヤはそれを一歩ひいてかわすと同時に、上段から剣を振り下ろす。仕方なくリュクは両手で剣をあげそれをさえぎった。

「なかなかやるではないですジャ。」

「まだまだこれからですよ。」

 二人は一歩ずつ離れると、今度はジイヤがしかけていった。右上から袈裟懸(けさが)けに切り下ろす。あわててリュクは後ろへよけるが、おくれた上着が、切り裂かれた。

「もう、終わりにしますジャか。」

 そうジイヤが聞くと同時にリュクが動いた。前に突っ込み2,3合、剣を交えるとすぐさま一歩ひき、剣に渾身の力をこめた。すると剣身が光をおび、そのまま横に薙ぎ払うと、光はそのままジイヤの方へと一直線にとんでいき、ジイヤはよけるので精一杯だった。

「なんと、一人前に剣技を使えるジャですと。」

「ならばこちらも久しぶりに力を使わせてもらいますジャ。」

 そう言うと、ジイヤは剣身に力をこめて振り下ろすした。8つの光が、リュクを襲い3つは防ぐが残りを防ぎきれずに体が後ろへとばされた。

「終わったな。」

 リュウキがそう言うと、

「リュク!!」

 キリアがリュクにかけよろうとするが、はっと息を飲んで立ち止まった。リュクの方を見ると、立ち上がり体が光で包まれていたのだ。

「あれは!そんなはずがない。まだ子どもだぞ。」

 リュウキが驚きを隠せないでいると、リュクはそのまま一振り軽く剣を振り下ろした。

 いくつもの光がジイヤを襲う。すべてをうけきれず、ジイヤは倒れた。


 リュクは気が付くと目の前にジイヤが倒れていた。

「(勝ったのか。)」

「リュクくん、君の力はよくわかった。しかしあの力をどうやって身に付けたのだい。」

「なんの話ですか、ところで僕は勝ったんですか。」

「まあいい。勝ちは勝ちだ、君が参戦することを認めよう。」

「リュク、大丈夫。」

 キリアが心配そうに、ただ少し怖そうにリュクを見つめた。

「大丈夫だよ。ところでなにが起きたの。」

「リュクがリュクでなくなったみたいになって・・・」

 キリアはそのまま泣きじゃくってしまった。

 リュクはただキリアの頭をなでるしかなかった。

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