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Last Quest 風を求むもの  作者: 山原喜寛
壱章
5/8

2 The 3rd War in Heygas Wise Country ! 第3次ヘイガス賢国大戦!

「いったいどうなっているんだ。」

 謁見の間から駆けてきたリュウキの声が作戦室を駆け巡った。

「敵数19万5300、対するわが軍は15万6700です。敵の現在地は、西約16km、ホルヨック高原辺りを時速4kmでこちらに向かっています。」

「わかった。それでは作戦会議を始める。」


 1137年に制定された中央大陸友好条約も141年も経つと形骸化していた。今や中央大陸で20ある国の内7つの国がこの条約から離脱している。

 中でもヘイガス賢国の西にある力ロ大帝国は国土が小さく近年になって人口が増大したため、食糧不足が大きな問題になっていた。この問題に対して当時の帝王カロ13世は、何とか資源確保に奔走(ほんそう)していたが、それもむなしく、国民の怒りはピークに達していた。そんなときロウエル将軍を中心とする一派が国家転覆を狙ったのだ。これに対して、カロ13世は首長国のヘイガス賢国に助けを求めるが間に合わず、ロウエル将軍に打たれてしまう。初代皇帝と名を改めたロウエルは中央大陸友好条約を破棄し、領土拡大とカロ13世に助けを出したヘイガス賢国に進軍を開始したのだ。これが、1272年の第二回ヘイガス賢国大戦である。この大戦で、領土こそとられなかったが、ヘイガス賢国は、多大なる被害を受けた。その6年後にまた、ロウエルがやってきたのである。


「以上を作戦とする。司令官はリュウタ、すぐさま実行に移せ。」

「は。」

 リュウタがそう返事すると、リュウキは作戦室を出た。


「(しかし、タイミングが良すぎる気がする。)」

 地下のヘイガスシティに移動しながらリュウキは考えていた。

「(ロウエルが進軍してきたこのときに、あの少年と少女が、契約の門から現れた。前回の大戦の時といい、今回の時といいどうもなにかが引っかかる。)」

 エレベーターの下ボタンを押しで下の世界に移動する。

「(どちらにしろあの少年と少女にもう少し話を聞いてからでないと詳しいことは解らないか)」

 エレベーターのドアが開き、ヘイガスシティの離宮(りきゅう)へと足を進めた。


 離宮では大混乱をしている少年少女がいた。

「ねえリュク。ここ地下のはずよね。」

「ねえ。なんで降りてきたのに空があるの。」

「ねえ。なんでこんなに大きな建物があるの。」

「ねえ。私たちこれからどうなるの。」

「ねえ。ねえってば!」

 キリアは地下?に降りてからずっとこんな感じだ。リュクは黙ってジイヤと呼ばれていた人について行く。

「リュク!聞いてるの!!」

「キリア、落ち着いて聞いて。僕たちは今とんでもないことに巻き込まれたのかもしれない。」

 できるだけ、穏やかに話をする。

「今はあの人について行くしかないんだ。何か解れば、家に帰る方法も解るはずだよ。」

「確かにそうね。そうするしかなさそうね。」

 キリアはやっと落ち着きを取り戻し、静かに付いて行くことにした。

「ここでお待ち下さいジャ。」

 大きな、50人は一気に食事ができる食卓がある部屋に通され、待つように促される。

 15分程待っただろうか。謁見の間であったリュウキが、姿を現した。

「お待たせしたようだね。申し訳ない。ちょっと小競り合いがあってね。」

「一つ聞いてもいいですか。」

 意を決したようにリュクが口を開く。

「僕たちは何でここにいるんですか。」

 唐突な質問にリュウキが口を詰まらせた。

「それは難しい質問だ。その答えを話すには、いくつか君たちのことを聞いておかないといけない。」

 そう言うとリュウキはいくつかの質問をリュクとキリアにした。

「そうか、リュクくんは6年前にキリアちゃんの家にお父さんが連れてきたんだね。そのときは、名前も年も住所もなにも覚えていなかったと。」

「はいそうです。」

 リュクはそう答えた。

「(契約の門の件といい、6年前に突然現れたことといい、ほぼあの子に間違いないのだが、でも確証がない。どうしたものか)」

「リュクくん。君に一つ確認したいことがある。」

「なんですか」

「この6年間で身の回りで何か変なことが起きなかったか。」

「変なことといっても、ねえ、キリア」

 考え込みながらリュクはキリアに顔を向ける。

「いつもそばにわたしもいましたが、そんな感じはなかったとおもいます。」

「そうか、ではいい。そうだ、君の質問に答えていなかったね。」

 リュウキは、考え込むのをやめて2人の顔を見た。

「君たちがここにいる理由だが、君たちは大きな門を見なかったか。」

「見ました。」

「それにどちらが触れたのかな。」

「僕です。」

「その門は『契約の門』と呼ばれるものだ。簡単に言うとある場所とある場所をつなげる門と言っていい。」

「その門に。触れたからここに来たのですか。」

 リュクはゴクリとつばを飲み込みながら聞いた。

「そうゆうことになる。」

 リュクとキリアは顔を見合わせて同時に

「「じゃ、その門から帰れるのですね。」」

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