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Last Quest 風を求むもの  作者: 山原喜寛
序章
2/8

2 How should we do ? いったいどうすりゃいいんだよ?

「まだ、見つからないのか、ジイヤよ~。」

「えぇ、まだですジャ。」

 今まで何度この会話を繰り返しただろうか。リュウタもほとほと疲れ果てていた。

「もう6年経ったけど、まだ見つからないとは……」

「そうですジャねぇ。」

 時の力はすごいものである。六年前、急な戦火に襲われたこの王国も、完全に元の姿を取り戻している。ただ一つのことを除いては、

「リュウタ、入るぞ。」

 リュウタは、声のした方へと顔を向けると、扉が少し開き、そこから親父のリュウキが顔を出した。

「何か用。」

「別にこれと行って用はないけど……ところで、どう、見つかったか?」

「まったく。」

 リュウタは顔を振り、

「しかし、……もう6年。あれ以来、いっさいの音沙汰なし。どうなってるんだ。」

「ここまで状況が悪化するとは、全く考えてなかったな。」

 リュウキは椅子に腰をかけそう呟く。

 リュウタは壁を叩くとまくしたてるように言った。

「わかってるさ。くそ、あのときジイヤに任さず俺が行けばこんなことには。」

 そして、そのまま壁にもたれ掛かりうつむいている。

「すみませんですジャ。」

「もういい、ジイヤ。リュウタもいい加減にしろ。お前だけが悲しいんじゃない。それはわかってるだろ。」

 リュウキはそう言い、

「ジイヤ、いつもの所にいるからな。」

 と、部屋を出ていった。

「いつもの所?」

 リュウタは不思議そうにジイヤを見る。

「はい。あの時以来ずっと……リュウタ様、少しはお父上様の事も考えてやってください。あれほど可愛がっていたリュ……」

「リュウキ様、リュウキ様!」

「何事ですジャか。」

 ジイヤは扉の向こうから聞こえてくる声に答えると、兵士が一人部屋に入ってきた。

「はい。実は不振者が侵入しまして。」

「ほう。」

「それがまだ子ども、それも男の子と女の子の二人連れでして、どこから入ったのかと聞くと、洞窟の扉にふれると急に明るくなり、知らない間にここに出たと。」

 兵士が語っているのを聞いていたジイヤは、話の後半になると顔を青くしていた。

「わかりましたジャ。リュウタ様、早くリュウキ様を連れて謁見(えっけん)の間へ。どこですジャか、その子ども達は。」

 ジイヤは兵士と共に部屋を出ていった。

「ジイヤ、ところで親父はどこにいるんだ?」

 一人残されたリュウタの声が、ただ空しくこだましていた。

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