表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Last Quest 風を求むもの  作者: 山原喜寛
序章
1/8

1 The God in Earth ?! 地上界の神?!

  「汝は風を求む者か……

   汝は風を追求する者か……

   汝は風に想いを馳せる者か……

   汝は……


   かつて風は世界を征した

   しかし

   人の世に成り

   今や

   風を恐る者なし


   汝は……

   汝は風を見い出す者か」

 何もない大地。花も動物も、ただ、重苦しい空と茶色く焦げた地面、あとはその二つを分ける地平線。

 ここは昔、地上界と呼ばれていた。この世界には大きく分けて天界と地界とがある。そしてこの地上界はその中間、狭間(はざま)に位置していた。

「……」

 ふと気付くと、いつの間に現れたのだろうか一人子どもが立っていた。ちょうど幼稚園を出た頃だと思われるが……

「親父が来るはずだったのに……何で僕にこんな役が回ってきたんだろ。」

 リュウキ、そう彼はリュウキと呼ばれていた。だが名前などどうでも良かった。この大地に、この子の名を呼ぶものは誰一人いないのだから。

「しかし、普通僕を選ぶ?上の考えていることは分からないよな。そもそも、あの時に親父があんなことにさえならなければ、僕はこんなことしなくても良かったのに。」

 あの時、そう何もかもあの大戦がこの世界のすべてを変えた。


 この時より(さかのぼ)ること約千年、地上界は花々が咲き乱れ妖精が暮らす穏やかな楽園であった。誰もがこの楽園を永遠不滅、未来永劫(えいごう)だと思い、疑わなかった。しかし、永遠に平和が続く訳はなく、この平和にもやはり終わりを告げるときがきた。

 それは、本当に些細(ささい)なことであった。本当に……、しかしこの出来事により天界と地界の均衡(きんこう)が崩れ、至上最大、最悪の大戦へと変化させていった。天を焦がし地を裂き……、この大戦によって各々の死者は数億を数えた。

 そう、これが後の世に長く語り継がれることになる神魔大戦である。

 だが、この大戦でもっとも被害が大きかったのは天界でも、地界でもなかった。両方の中間にあった地上界、ただ狭間にあったというだけで、今まで楽園であった地上界は、妖精達の住む世界が妖精界として分離し、残った地上界は植物も枯れ果て何も育たない死の大地となってしまった。

 しかし天界と地界は考えた。このまま大戦を続ければいずれこの世界は消えてしまうと。そして、天界と地界は休戦条約を結ぶことにより長い大戦に終止符を打つことにした。


 休戦条約にはこう書かれている。

「……地上界については、

 双方から代理人を出し、均衡を保つよう努力すること。

   以上、この条約は天、地どちらかが

     地上に関与しない限り永遠に有効とする。」


 そしてリュウキがこの地上界に送られた。天界の代理人として、

「しかし、聞いていたけど、本当に何もないとこだよね……まっ、この方が良いんだけどね。」


 天界が代理人としてリュウキを選んだのは、ある意味、選択を誤っていたかも知れない。

 しかしこの時、リュウキの父以外でこの仕事をできる者は天界ではただ一人、リュウキだけだった。

 だが、もしもこの時、天界がリュウキではなく他の誰かを選んでいたとすれば、一万年もの後、こんなことにはならなかっただろう。そうこんなことには……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ