5話 氷結のファーストコンタクト
仕事のごたつきとやる気のなさで投稿が遅れましたすみません
(見てる人いないと思うけど)
待機すると決めたは良いが特にやる事がない
庭でも眺めようかと思ったが足枷のせいで窓まで体を運べない
「暇だ...」
窓には届かないと分かっていても体を窓の方へ寄せようとする
するとテーブルの上に紙が置いてあることに気がつく
あれ?前はテーブルこの位置だったかな?などと考えながら紙を持ち上げようと手を伸ばすと...
ガシャン!
足枷の可動範囲を超えたらしく手が直前で止まる
何処か引っかかって長さが足りない訳ではなく最短距離でこれなのだ
「ほほーん、さてはここの主おっちょこちょいだな?アレ?でもテーブルの位置昨日(?)より動いて...」
届かないと分かっていてもどうにか取れないか奮闘していると
トントン
ガチャ
「入りますよ。」
突然のノックの後直ぐにドアの開閉音、その後入りますよコール
いやノックの意味...と言うかドア開けてから言うものじゃねぇな!?
当然突然のコールに対応出来なかった俺は、テーブル上に置いてある紙を取ろうともがいている場面をしっかりと相手に見られる、しかしその相手は特に言葉を発するわけでもなく思考が停止した訳でもない
まるでこうなる事が予め予測出来ていたかのような反応だ、だけど俺はそんな事に気をかける程余裕がなく...
「あっ、えっと、おっおはようございます。私は株式会社○○の鈴尾有葉と申します。
この度は命の危機を救って頂きありがとうございます。」
突然の来訪者に慌ただしく姿勢を正してから仕事で言い慣れた挨拶
助けてもらった感謝のところがなんかよくわからなくなってるなと反省しつつ頭を上げる
そこには黒髪ストレートのメイド姿の女性が立っていた
彼女は手に持っていた水の入ったボウルとタオルをテーブルの上に置き
スカートの裾を摘み軽く頭を下げる
「私はレグルス家に仕えるレーゼと申します、以後お見知りおきを」
よく見ると左側しか裾を上げていない、それもそのはず彼女には右腕が無いのだ、それほど目立つ問題なのに一目で気が付かなかったのは彼女の洗礼された動き故だろう
レーゼ「目が覚めましたらお嬢様の元に来るよう言い付けられておりますのでご同行お願いします。」
有葉「は、はぁそれではこの足枷を外していたただけると嬉しいのですが...あれ!?外れてる!?」
恐ろしく早い解錠、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
いや全く見えてなかったんだけどども
あ!足枷が外れたって事は置き手紙が見れるってことじゃん
ガチャ
レーゼさんが部屋の扉を開け部屋の外で言葉には出さないがはよ出ろと催促している
あっはいお預けですね分かります
ベットの横に置いてあったスリッパを履き廊下に出る
そう言えばレーゼさんはお嬢様って言ってたな医院長の娘とかかな?
長い廊下を数回曲がりとある部屋で立ち止まる
レーゼ「この扉の先にお嬢様が居られます。
失礼の無いよう言葉使いにはお気をつけ下さい。」
コンコン
「はーい入っていいわよー」
レーゼがノックした直後気の抜けたような声が返ってくる
扉を開ける、いの一番に目に入ったものは赤色
いや正確には赤色の髪の毛だ
アニメのコスプレとかで赤髪の人をよく見かける、しかしどこか不自然さが残ってしまう、だが彼女にはそれが無いむしろ赤色以外が不自然と思えるほど綺麗に収まっている
彼女は乱雑にものの置かれた机で何かの書類を書いているようだ
このご時世、手描きの書類とは珍しい
彼女は手を止めずに語りかける
「どうしたの?お昼ご飯の準備にはまだ早いと思うけど」
「いえ、彼が目覚めましたので連れて参りました。」
レーゼさんの言葉を聞き彼女はガバッと顔を上げ俺の顔を見る
彼女はワタワタと服装やら机の整え始める突然ハッとし部屋の整理を止めると「フー」と一呼吸をし
「少しだけ席を外してもらってよろしいかしら?」
彼女は笑顔の圧を向けて此方に話しかけてくる
かっ可愛い何だこの女の子
「ね?」彼女は一層圧を強めてくる
「アッはい失礼します!」
俺は圧から逃げるように部屋を後にする
...なんか一気に緊張が解けたな
扉の奥でレーゼさんと赤髪の少女とが何やら言い争ってる
「アンタ!連れて来るなら部屋に入る前に言いなさいよ!!」
「すみません」
「しかもアンタ私が整理してる時に笑いながら突っ立ってたでしょ!?バレないように聴こえないように声を殺しても分かるんだからね!?」
「すみませブッフ」
「あ!また笑ったわね!?アンタはいつもいつも私の事馬鹿にして...」
...言い争ってると言うより一方的にレーゼさんが怒られてるだけな気もするけど
あれからどれぐらい時間がたったであろうか言い争いも終わり部屋の中は静寂が訪れる
...少しだけって言ってたけど具体的な時間はどのぐらいなんだろうな
部屋の中に入ろうかと思いドアノブに手を伸ばす、しかしまだ準備中かもしれないと思いドアノブから手を離す、ドアノブに触れる、離す、触れる、離す、触れる、離す、触れる、離す、触れる、離す、触れる、離す、触れる、離す、触れーーー
「さっさと入りなさいよ!!」
赤髪の少女が勢いよく扉を開ける
部屋の奥ではレーゼさんが笑いを堪えて震えている
「もう!ドアノブがさっきからガチャガチャと気になるでしょ!?入って良いか心配ならノックぐらいしなさいよもー!」
めっちゃ怒ってる、レーゼさんへの説教で疲れてるんだろうな
だけどすまねぇ彼女いない歴イコール年齢の童貞野郎には美女2人を相手した時に正常な判断が出来ないんだ
仕方ないここは俺の知ってる限り最上級の言葉で彼女の美しさを褒めてあげよう
俺は小さく息を吸い込みある言葉を発する
「おっふ」
その場の空気が凍りついた