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235 新ギミックの解説

 Sクラスラストのメインクエスト「氷炎纏いし銀爵」で出現するモンスター、「複合種 氷炎竜サザンクロス・デューク」が、ジュラバスのSクラスにおいてのラスボスとなっている。Sクラスが実装されてからTクラスが実装されるまでの四年間、このゲームの看板を背負ってきた。彼はSクラスの実装当初のメインビジュアルで描かれていたのだが、実際ゲーム内で確認されるまでは、ヒート状態のクリスタル・デュークと思われていた。

 何故、四天王の次鋒であるクリスタル・デュークの進化個体がラスボスに選ばれたのか? ……というのはファンの間で度々話題になるが、C・デュークのモデルは三大ディスコ竜の内の一体であり、そのモデルとなったモンスターには「錆びた」特殊個体が存在し、それを参考にしたと言われている。

 こういった逸話とゲーム設定がある事もあって、C・デュークは四天王の中でも特質した熱狂的ファンがおり、C・デューク及びその進化個体を崇めるサークルが出来る程の人気となっている。


 さて、このクリスタル・デュークの進化個体であるサザンクロス・デューク(以下、SC・デューク)は、Sクラスモンスターの特徴である拡張種から、Tクラスの特徴である複合種へと新化を遂げた。

 複合種の特徴として、状態変化と共に属性が変わる事が挙げられる。

 拡張種は「通常状態」から「ヒート状態」へ移行し、大技を放つことでエリアが増加し、本体はエリアチェンジするというサイクルとなっているが、複合種は「通常状態」から「ヒート状態」になると属性が変わり、その後、時間経過かダウンする事で「クール状態」になり、そこでも属性変化し、時間経過でまた「通常状態」に戻るというサイクルとなる。

 複合種のギミックを簡潔に話したが、細かく解説すると以下の流れになる。

 「通常状態」から「ヒート状態」になると、戦闘エリアに全プレイヤーを強制的に瞬間移動させる。モンスターによってはそのエリアの出入り口を封鎖してプレイヤーを閉じ込めたり、マップ構造を全て書き換える個体もいる。「ヒート」状態時は、モンスターの機動力が「1、5倍」になり、時間経過は「2倍」のスピードで進行する。この「ヒート状態」は敵のダウンを取るか時間経過で解除されるが、ただ待っているとみるみる内に制限時間が経過してしまうので、ダウンを取って「ヒート状態」を解除するのがマストである。「ヒート状態」が解除されると「クール状態」に移行し、いわゆる大ダウンが発生する。この状態の間に高火力で殴るのが複合種戦の肝であり要ではあるのだが、「クール状態」のモンスターがいるエリアは敵味方共々スローモーションとなり、そのスロー状態を幾つかの手段で解除しないと折角の好機を生かせなかったりする。「クール状態」が解除されると「通常状態」となり、その後はそのサイクルが続く。

 複合種の特徴はこれだけではなく、瀕死状態になるとサイクルを無視して「ヒート状態」となり、全てのプレイヤーを自分のいるエリアに集約させた上で、エリアを集約し一つに纏める。初期エリアは無くなり、装備交換、回復、食事が行えなくなるので、戦闘終盤は逃げ隠れのできないヒリヒリとしたバトルとなる。戦闘不能になった場合は、数秒間のクールタイムを経て戦闘エリアに復帰出来るが、復活位置が悪いと、連続乙になってしまうので、その辺りは対策が必要となっている。

 複合種の瀕死状態で展開されるマップは、設定上、亜空間が現実世界に近づいる状態で、外で活動している動植物を目視する事が出来る。複合種のモンスターをプレイヤーであるバスターが亜空間内に抑え込んでいる状況なので、中々熱い展開を味わえるのだ。


 そして今回のクエストのマップは、調査拠点ルアーキャッスルをベースにした「古城」となっている。初期エリアは「10」で夜固定。

 古城マップは、イベントクエストで使われるまでこのラスボス戦限定のマップであった。エリアによっては、大砲やバリスタが設置されており、それで戦うのもアリとなっている。


 初期エリアは古城の宝物庫のような場所で、そこに、ユッキー、オジサン、ハルガ、コシロウが出現した。

 「QUEST START」の表記。

 ハルガは自分のステータスを軽くチェックした。


 ここでTクラスのバスターについての仕様を解説をしておきます。

 Tクラスのプレイヤーは(エネルギーが一番高い戦闘エリアに)瞬間移動が出来ると度々話しましたが、実はコストがかかっており、クエストの制限時間を「1%」消費する仕様となっている。

 制限時間の元になっているのは武器の覚醒状態の維持時間であり、それを消費する要素がTクラスにおいて一気に増える為、Tクラスにおいての制限時間は、エネルギー源という認識に変わっていきます。

 武器についても制限時間を消費する要素があります。

 Tクラスの武器にはメイン属性とサブ属性の二種類以上の属性が備わっており、戦闘中に属性を切り替える事が出来ます。その属性変換時にも制限時間を「1%」消費します。属性変換を行うと、敵のクール状態時のスローモーションを解除(本人のみ)するので、タイミングを合わせれば敵に大ダメージを与える事が可能となっています。

 Tクラスでは属性相性が重要で、多少火力が上がったり抑えられたりするSクラスの属性関係とは異なり、Tクラスの複合種は、不利属性のダメージを無効化し、同属性は敵の体力を回復させてしまうという要素があるため、武器の属性選びが特に重要となっています。そして更に重要となる要素が、有利属性で敵を攻撃すると「制限時間が増加」するという戦闘システム。それ故に、有利属性ではなく不利属性の武器を担ぐと地雷バスターという扱いになります。敵が無属性、もしくは状態異常系のモンスターだった場合は、どの属性の武器でも「制限時間が増加」します。こういった戦闘システムになるので、全員が歴戦のバスターだった場合、初期の制限時間よりも討伐時間が増えるケースなども発生します。


 ハルガの使用武器を見てみましょう。

 今回、ハルガの使用する武器種は「ツイスター」で、オーパーツウエポンの「ヴァルフレアフランツ」となっています。赤と青の獅子が装飾された双剣で、この獅子はF・ウォーズとF・プロミネンスではないかと言われている。

 基礎攻撃力は「440」。クリティカル率「50%」。切れ味は「ホワイト」。

 メイン属性は「火・麻痺」で、サブ属性は「酸・水」となっている。ツイスターのみ左の剣と右の剣で個別に属性変換する事が可能で、相性を突きながらも麻痺を付与出来、酸の状態異常で麻痺の状態異常時間を伸ばすという破格正能の双剣となっている。双肩特有の基礎火力の低さを(Sクラスの武器からしたら高いが)多彩な属性とクリ率で補っており、この性能の武器を主有しているプレイヤーはあまりいないと思われる。

 SC・デュークの属性は、通常状態が氷属性で、ヒート状態が火属性、クール状態で再び氷属性となる為、「ヴァルフレアフランツ」は全ての状態で弱点を突ける。追記すると、今回のラスボス個体は、ウィーク個体と呼ばれ、体力は抑えられており瀕死になるまでヒート状態にはならない。

 防具も全てオーパーツシリーズで防御力は「871」。

 この装備セットには忍スキンを被せている。

 スキルは「攻撃7」「見切り5」「見切り会心5」「属性吸収3」「回避性能3」「変換速度共有」となっている。

 一部をピックアップして見ていく。

 「見切り5」についてだが、最大レベルの「7」にしてない理由は、「5」の状態でも確定クリティカルになるからだ。「ヴァルフレアフランツ」自体にクリ率「50%」があり、「見切り5」でクリ率「30%」が加算される。このゲームには、公式で説明の無い隠し設定がいくつかあり、敵の弱点を突けばクリ率「10%」が加算され、属性変換してからの一分間もクリ率「10%」が加算される。つまりほとんど戦っている間、クリティカル率「100%」を維持出来るので、見切りをあえて「5」までにしている。このように、Tクラスのトッププレイヤーのほとんどが、確定クリティカルになるように意識して編成を組んでいる。

 「属性吸収」は弱点属性で攻撃するとプレイヤーの体力が回復するスキル。

 「変換速度共有」は属性変換出来ないSクラスプレイヤーに対しての救済スキルで、このスキル持ちのプレイヤーがスロー状態に属性変換を行うと、エリア内のプレイヤー全員のスロー状態が解除される。属性変換による時間消費を抑える運用も出来るが、大ダウン中にTクラス武器の有利属性でポコパンにすれば、ゴリゴリ制限時間が増えていくので、消費軽減での運用はあまりされる事がない。

 

 準備万端のハルガは、ユッキーを見た。


「オレが一人で奴を追い詰めてくるから、トカゲと犬っころは、大人しくここで待ってな」


 その言葉にユッキーは返答できなかった。

 ハルガは、トッププレイヤーの頼れる背中を見せつけて初期エリアから出発。

 ユッキーとオジサンは、それを黙って見送るしかなかった。

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