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229 ハルガ見参!

 ハルガのキャラクターは東洋人風の黒い髪の青年で、少し影のある主人公っぽい見た目をしている。僕と出会った時から何度か転身をして現在の形に収まった。最低でも百ドル分はキャラクリに課金している。……ていうか、もう本人だなこれ。

 このクエストでの使用武器は刀で、TクラスのF・ウォーズの素材で生産可能な「太陽王の太刀・極」を装備。

 防具はオーパーツシリーズに、コラボ装備のスターサファイアシリーズのスキンを被せていた。スターサファイア装備は蒼色に輝く軽装甲冑となっている。

 現在のジュラバスのエンドコンテンツは、サークルクエストで入手可能なオーパーツウエポン、またはオーパーツアーマーの入手であり、オーパーツシリーズは通称発掘装備と呼ばれている。どういった性能かはランダムだが、レアリティが高い物のほとんどが生産装備の性能を上回っている。

 今回ハルガの使用武器は生産武器だが、「太陽王の太刀・極」には「太陽王の威厳」というスキルが付与されており、対C・デュークのみ火力が「1、2倍」になり、C・デューク戦においては、太陽王極シリーズを上回る火力の武器は現時点では存在しない。この辺りは生産と発掘の差別化が図られている。

 攻撃力は「1100」、防御力は「901」。ユッキー、オジサン、ウサギの装備の数値を全部足しても、ハルガの装備ステータスの方が上である。

 武器と防具のスキルをまとめると、「攻撃7」「見切り7」「火属性強化7」「見切り会心5」「属性会心5」「心眼強化3」「太陽王の威厳」となり、細かい説明は省くが、ハルガのプレイヤースキルと併せると、SクラスのC・デュークを一分以内にクッキング出来る装備構成となっている。


「よろしく」


 ハルガは低い声を発し敵を見据えると、見事な太刀筋で合計「1050」ものダメージを僅か十秒で叩き出した。C・デュークがダウンすると、ハルガは刀を鞘に納め「攻撃したらどうだ?」とユッキー達に促した。ユッキーとオジサンは頷き合い、ウサギも加わってC・デュークに猛攻を加えた。

 それからハルガは、エリアの端に行って戦いには参加せず、ユッキー達の狩りの様子を眺めていた。

 ハルガの火力貢献のお蔭か、前回までよりも三分早いタイムでC・デュークを討伐出来た。戦闘が終わったので、ハルガはクエストから離脱した。


 何だったんだ今のは。

 ただのSクエストの素材周回だと言うのに無駄に緊張した。


 拠点に戻ったユッキーは、オジサンと話しながら、残りのクリスタル防具を生産していた。二人の会話の中で、「あれ、ハルガさんだった?」という小声が聞こえた気がした。

 もしかして、ユッキー達はハルガが個人ランキング一位のプレイヤーだと認知している?

 ウサギはというと、拠点の真ん中で胸を抱いて座り込んでいた。

 傍から見ると具合が悪そうに見えた。

 大丈夫かな?


 ウサギはシュッと立ち上がると、ユッキーの方を見た。


「ユッキー! オジサン! ……驚かないで下さいね。ハルガさんから、フレンド申請がきました!」


 ???????


「えっ、ウサギちゃん凄いな! 俺には何もなかったけど。オジサンは?」


「僕も特には」


 ……え? ハルガが自ら率先してフレンド申請した……だと!?

 世界一位になってからは、有名プレイヤーのフレンド申請すら拒否していたハルガが??


「ど、どうしましょうか」


「俺達だけだと判断が難しいな、王子とセカンドに相談しよう」


 ユッキー達は相談しに行ったのかログアウト。

 一時間ほどで新たなルームを作り戻ってきた。


 ウサギは屈んで設定を弄っているようで、ユッキーとオジサンはウサギを囲んで様子を見ていた。

 褐色美少女を、マッチョ竜人と筋肉ワーウルフが囲んでいる。

 何とも不思議な光景だ。


「フレンドのハルガさんに、招待を送ってみました」


 いやいやいや。いくらなんでも、さっきフレンドになったばかりで、ランキング一位のハルガが来るわけが……。


「クエストに行くのか?」


 キタァァァァアア!

 ハルガが招待に来たぁ!


「ハルガさん初めまして、さっきはありがとうございました!」


「ウサギさん初めまして。こちらこそどうも」


「あの、私達どうしてもSクラスをクリアしたいんですけど、手伝って頂けませんか?」


「それくらい構いませんが、アイツらも……ですか?」


 ハルガの視線の先にユッキーとオジサン。

 ユッキーはハルガに近づいてお辞儀。


「先程は救援ありがとうございました!」


「オレに……」


 「えっ?」っと言って顔を上げるユッキー。


「オレに気安く話しかけてんじゃねーよ」


「……態度が全然ちがーう」


 ハルガ……どうしたんだ?

 僕達RISING SCOPEのメンバーにはこんな態度しないのに。

 現在のハルガのプレイヤースキルは僕やオートマよりも上だが、プレイ歴に関して言えば僕とオートマの方がハルガよりも長くて上回っている。

 僕とオートマに対してはプレイ歴において先輩だから謙虚に振る舞っているだけで、プレイ歴が浅いプレイヤーに対してはこんな態度なのか?

 

 オジサン、ユッキーとハルガに接近。


「君、初対面相手に失礼じゃないか?」


「黙れよ豆鉄砲の犬っころ。ウゼェんだよ」


「わおーん」


 オジサン、ユッキーに抱き付く。


「オジサン、ウザいって言われた。オジサン、ウザくないよねぇ。くぅーん」


「ウザくないよ。オジサンはウザくない」


 ユッキー、オジサンのもふもふ頭をよしよしした。

 それに反応して、オジサンのボリューミーな尻尾がフリフリ揺れた。

 ハルガ、ウサギの方を向く。


「ウサギさん、俺達だけでクエスト行かない?」


 プレイ歴が浅いプレイヤーに対してと言ったが、ウサギもプレイ歴は浅いはず。これは……ウサギが可愛すぎるからか?

 日本円にして百万もキャラクリに課金してるから、ビジュアルは確実に目を引く。フレンド申請したくなる気持ちもわかるし、僕もウサギと一緒に狩りをしたいかもしれない。でも僕は、ユッキーやオジサンとも狩りをしたいぞ!

 ……見た目が可愛いからフレンド申請したなんて、そんなの嘘だよなハルガ。嘘だと言ってくれ……。


 ウサギ、ハルガの手を握る。


「私、皆と一緒に狩りがしたいんですっ!」


 少し照れているように見えるハルガ。

 この感じ……見た事あるぞ。オートマと話した時、こんなんだった。

 もしかして、ハルガはウサギにちょっと気があるのか?

 そんな馬鹿な……!


「うーん……」


「お願いっ!」


「……仕方ないな」


 ハルガはユッキーの方を向く。


「おい、トカゲ」


「俺はトカゲじゃネェ!」


 ハルガ、舌打ち。


「オレがクエスト手伝ってやろうって所に、そんな口を効くのか?」


「あっ、すみません……。トカゲと言われて、つい反射的に」


 ユッキーがトカゲに見えてオジサンが犬に見えるって事は、ハルガはスキン非表示設定にはしてないな。


「多分四天王のクエストで詰んでんだろ?」


「仰る通りです」


「クエストをクリアしたいのか?」


「はいっ!」


「なら、トカゲと犬っころは、初期エリアで待機してろ」

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