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227 王VS軍師VS武士VS王妃

「どんなクエストかと言うと……ウフフ、クエストカウンターでお話します」


 イベント終了。

 ユッキーは、バディを一瞥して、すぐに視線をストに戻した。


「スト君、どうしたの? 何か悩みがあるなら聞くけど」


 ユッキーは、ストの事をまるでNPCとは思っていないような感じに心配していた。


「いえ、大丈夫です。少し体調が優れないので……」


 イベントが終わって散り散りに解散した面子の中から、ひょっこりとバディがやってきた。


「スト君、念の為にサプリメント飲んだ方がいいかも」


「わかりました」


 バディのセリフに、ユッキーは何か引っかかるような表情。


「サプリメント? それは何かプロテイン的な? 俺も飲めるのか!?」


「これは私達に必要な物なので、ユッキーにはあげられません。いや、ユッキーも具合が悪くなったら必要になるかも」


「あ、そう。いやいやいや、それを聞きたかったんじゃない」


 ユッキーは、再びストの方を見る。

 オジサンとウサギも、ユッキーのやりとりを気にしている。


「オーガはどうしたんだ? 多分最初に出会った時から見かけてないぞ? オーガはストのパートナーじゃないのか?」


「オーガはいなくなりました」


「……? でも、具合が悪いって」


「……ごめんなさい。体調が優れないので部屋で休ませて下さい」


「あ、あぁ……引き留めて悪かった」


「いえ、心配して下さってありがとうございます」


 ストは重い足取りで食事処を去った。


「大丈夫かなー」


「サプリメントを飲めば体調面は大丈夫でしょうが、何方かと言えば精神面のダメージですよね、あの感じは」


「バディ、何か冷たくない? ……てか、オーガがいなくなってたの知ってたのか?」


「本人から聞いた訳じゃないので、何となく予想していた程度ですよ。トリィみたいにひょっこり帰って来るかもしれないですし、そんなに心配しても仕方ないです。それより、次のクエストの受注をクエストカウンターで待ってますからね」


 ユッキーは違和感を持ちつつ、オジサン、ウサギと共に、クエストカウンターへと向かった。定位置に着いたバディに話しかけ、メインクエストを確認。

 クエストの名称は「不貞の四天王」。名探偵痺れのコシロウのイベントを通過しないと発生しない。

 このクエストは「大連続クエスト」というカテゴライズになっている。

 イベントやサブクエなどでは、すでに大連続クエスト等はあったが、ずっとメインクエストのみをやっていたユッキー達にとっては初見のはずだ。


「ん? ……今までのクエストとは趣が違うな。クエストの内容を少し詳しく見てみるか」


 依頼主は第三秘書。


「第三秘書? 誰だっけ」


 オジサン、ユッキーに耳打ち。


「あのゲイの依頼主だ」


「あぁ……あの鯨の依頼主か。何か嫌な予感が」


 「わたくし、軍師と王妃の不倫現場を目撃したザマス! 王はきっと夜しか眠れないザマス。そして、その三つ巴に乗じて武士が暗殺を目論んでいるかもしれないザマス。いや、もしかしたら王妃の別の不倫相手かもしれないザマス! いやいや、王は男色で武士とデキているかもしれないザマス。このままでは仕事に集中できないので、全員ぶっとばして欲しいザマス!」との依頼内容。


「ザマスさんゲイ以外にも興味あったのか……。しかも依頼内容が生々しくて嫌なクエストだな……って、討伐対象おおおおっ!」


 ユッキーは、クエストのクリア条件を見て愕然としていた。

 この「不貞の四天王」は、太陽王フレア・ウォーズ、結晶軍師クリスタル・デューク、武士一閃テイデンスサノオ、太陽王妃フレア・プロミネンスの四体、全員を討伐しなければならない。


「いやいやいや、難易度一気に上がり過ぎだろ。一体でも苦労してたのに」


 ウサギもクエストの情報を確認した。


「もしかして、負けイベントですかね?」


 負けイベントとは。

 RPGなどでよく見られるイベントで、クエストのボス相手に絶対に勝てず、負ける事でイベントが進行する事を指す。

 ちなみに僕は、負けイベントが、大、嫌いダァ!


 バディは、カウンターに肘をかけ手で頬を支えながら語りだした。


「負けイベントって何ですか? そんなものはありませんよ」


 バディは、「負けイベント」というフレーズに反応して、負けイベントが存在しない事を教えてくれる。


「ザッっと調べてみても、Sクラス最難関としか出てこないな。攻略方法は複数あるみたいだけど、情報が多すぎて逆にどうしていいものか。取り敢えず、行ってみよか」


 ユッキーは、恐る恐るクエストを受注した。

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