202 睡眠 麻痺 MIX
クエストは砂漠マップ。
草原マップよりも少し難易度が高いという位置付けの2マップ目である。
初出は火猫ファイニャで、疾風イーエンもこのマップだ。
草原マップのエリア数が「3~7」なのに対して、砂漠マップは「4~8」で、草原マップよりも少々エリア数が多い。他、ランダム生成マップにおいても、広範囲に及ぶ砂漠エリアが必ず一つあり、砂地獄などモンスターをハメる事の出来るギミックなども存在する。
エリア数が増えるとボスモンスターを発見し辛くなるが、ハスキルーに先行させてボスを発見し、ミニマップに表示させる事も可能。
採取クエストなども一度クリアしてしまえば、二回目からはハスキルーがオートでクリアしてくれる。
ユッキー達のプレイスタイルを見ると、採取クエストはやらなそうではあるが。
今回ユッキー達が、受注したクエストの砂漠マップのエリア数は「7」で、やや多い方だ。セカンドが先行し、標的のフリャフリャのいるエリアまで走って行った。一度討伐していれば、クエストが始まった時点でミニマップに表示されるが、まだなので未表示となっている。
セカンドがフリャフリャのいるエリア番号「7」に辿り着きサインを送る。
ユッキーとオジサンはエリア「7」まで走るが、その途中、広大な砂漠のあるエリア「5」を通過する必要があった。このエリア「5」は、蜘蛛の胴体のように他エリアの中心となっていた。
ユッキーとオジサンがエリア「5」に入ると、砂嵐状態で遠くの方がよく見えなかった。そんな中でも遠方で動く巨体が目視出来、ユッキーが一瞥すると、すぐ別のエリアに行ってしまった。
「ん? ……今なんかいたよな」
「ユッキー、早くエリア7に行こう」
「そうだな、オジサン」
エリア「7」は洞窟内部のような構造で、その中心に睡麻蝸牛フリャフリャがいた。フリャフリャは巨大な蝸牛のような見た目で、殻に籠っていた。
そのフリャフリャの近くにいたセカンドが、ユッキー達をチラ見してから毒煙玉を撒いていた。
「セカンド、何してるんだ?」
「こういう肉質の固いモンスターは毒が有効なんだ」
「へぇ、今罠貼っておくか」
「ご主人、わかっていると思うが、麻痺系モンスターだからパラライズネットは利かないぞ?」
「……あぁ、そうだったな」
「やれやれだワン」
「セカンドがいればこのクエスト楽勝かな。……敵、静止してるし、溜め切りの練習台になってもらおうか」
ユッキーは大剣を振りかざし溜め切りを放った。それは硬い甲殻に阻まれ、ガキンと弾かれた。
「これ、また俺が役に立たないパターンですか?」
Nランクで作れる武器の切れ味では、殻が固すぎて弾かれてしまう。
切れ味は「グリーン」が普通で、「イエロー」「レッド」の順で切れ味が悪い武器となり、Sランクになると普通よりも切れ味のいい「ブルー」「ホワイト」が登場する。本作は、戦闘中に切れ味が落ちる事はなく固定で、武器を研ぐ必要が無い。これは、クエストで使用した武器にクールタイムがあり、人手間が必要になる為、含まれなかった要素なのだろう。
この殻を貫通するには「ブルー」以上の切れ味か、切れ味の悪い武器でも弾かれない「貫通」スキルをつける必要がある。
……ンゴゴゴゴ。
フリャフリャは殻から顔を出した。
「ヒョェエエエエエエエエエェエェェエェ!」
フリャフリャの顔はミミズに口が生えたような見た目で、世にも恐ろしい叫びを見たユッキーとオジサンは固まってしまった。
「こ、こえぇぇぇえ」
叫んだと思ったら、フリャフリャはシュッっと顔を引っ込めた。
「今まで可愛いアニマルが多かったのに、コイツだけ異質すぎるだろ。……てか戦闘に入ったのに、BGMが鳴らないな」
フリャフリャは戦闘中、無音になる。
「ご主人、あの顔を出した瞬間に攻撃を与えるんだぞ」
「それ難しいよ……」
「ユッキー、爆弾で固定ダメージを与えたらどうか」
「それもそうだな」
ユッキー達は、フリャフリャの周囲に爆弾を設置。
武器で攻撃しなくても爆弾を何回か当てれば殻を破壊出来、肉質の柔らかい表面が露わになったりもする。
「よしっ!」
フリャフリャの近くに二人と一匹がいると、フリャフリャはもぞもぞと動いて睡眠ガスを周囲に噴射した。
「なんじゃこりゃぁあああ! ……スヤァ」
一早くフリャフリャから離れたセカンド以外、眠りについた。
「ヒョェエエエエエエエエエェエェェエェ!」
顔を出したフリャフリャは、噴水の如く麻痺液をばら撒いていく。
「シ・ビ・レ・ビ・レェ」
ユッキーとオジサンは睡眠状態から麻痺状態に移行した。状態異常は重複するが、麻痺攻撃で睡眠状態が回復した為、二人は麻痺状態のみになっていた。
「ふむ、どうしたものか」
セカンドは、二人の体力が七割残っているのを見て、まだ大丈夫であるのを確認しつつ冷静な分析をしていた。
そんな中フリャフリャは、麻痺中の二人に自身の顔から首の部位を鞭のように使って攻撃し、じわじわと体力を削っていた。
そこで爆弾が爆発して、吹っ飛ぶ二人。その辺りで二人の体力は三割ほどになっていた。麻痺が解除された二人は、ゴクゴクと回復薬を飲む。
「これ、また近接が不利じゃんか!」
「ユッキー、頭上に麻痺液が……!」
「えっ……」
フリャフリャの見事なホーミングで麻痺液がヒットし、ユッキーは再び麻痺状態に。そのユッキーに、フリャフリャの顔面鞭の連打。
「シ・ビ・イヤッ……レ・ビ・ブへッ……レ」
「ユッキーが戦闘不能になりました」という表示と共に、ユッキーはエリア「7」から消えて、スタート時点のエリア「1」に飛ばされた。
セカンドは、ヒジカタイラストのドンマイスタンプを押し、オジサンも固定チャットの「ドンマイ」を入れた。
このクエはオーソドックスに戦闘不能「3回」でクエスト失敗となり、今ユッキーが戦闘不能になったので、後二回プレイヤーが戦闘不能になるとクエスト失敗となる。戦闘不能になった場合、エリア「1」に犬ぞりで戻され、体力は全回復するが、飯のステータスUPが消失し制限時間が半分になる。……なので、初期時間の1時間40分から10分経過し制限時間が半減なので、残りタイムは45分。そこから、プレイヤーが二人なので倍速で時間経過する。
一分後。
「ツエェじゃねーか!」
急いで、戻ってきたユッキー。
息切れしていた。
「ご主人、飯食ってこなかったのか?」
「フリャフリャの見た目で食欲が……これを第七秘書は食いたいのか」
「ご主人、そんな事言わないで、ステータスが上がるんだから食べてきなさい」
「セカンド、俺のお母さんみたいになってきたな」
「私はお母さんではない。犬だ」
「案外気に入ってるだな、犬状態」
「早く行くワン」
一分後。
「はぁ、はぁ、これ制限時間危ないじゃないか?」
フリャフリャのいる洞窟に再び二人と一匹が揃うと、ノシッノシッっと、○ジラのような音楽が鳴り響いてきた。