196 旅の始まり 大地の竜ティラオス
気が付いたのがキャラクリ後だったので、彼らがプロローグを開始してから、リアルタイムで観戦出来たのは運がよかったです。
フルダイブ型ゲーム、ジュラシックバスターの世界において、今まさに彼らは、オゾン層の滲んだ空からスカイダイビングをしている最中でした。
彼らの目には、地平線と水平線が連なる壮大な景色が映っている事でしょう。
「……!?」
驚きの表情を浮かべて空気抵抗を受けながら落ちている剣士装備のユッキー。続いてガンナー装備のオジサン。表示が薄いですがハスキルーのセカンドも落下してます。二人同時という事は、バディモードでのプレイを選択したみたいですね。
ジュラシックバスターにはシングルモードとバディモードがあり、バディモードを選択するとBPがメインクエストでも取得出来たり、メインシナリオに多少の変化があったりします。EASYやHARDのような難易度の差はありませんが、Nランクまでは敵モンスターの体力が固定な為、シングルモードよりもバディモードの方が有利になります。
パラシュートを装着しないで落下している彼らですが、瞬きをした瞬間、謎の空気の絨毯とふんわりとした冷気によって、乾燥した地表に激突せずに着地出来ました。その刹那、周囲に風の壁が出現。中からはそういった感じに見えますが、外部から見ると竜巻が発生しています。彼らは今、竜巻の中にいるのです。
「何だ何だ何だ?」
テンパるユッキー。
「ティャアアアアアアアアアアアアゴゴ!!」
彼らに立はだかるは、大地の竜ティラオス。
大地を蹴り、インド象並みの体躯をゆらし、猛牛の如く唸っています。
ティラオスは、サービス当初にメインビジュアルを飾ったモンスターで、Nランクにおいてのキーパーソンとなるメインモンスターです。
ここでボス戦……ではなく、操作練習のチュートリアル戦になります。
戦闘に入ったので、BGM「大地と空の共振」が流れてきました。
作曲者が酔っぱらっている時に出来たという、あの曲のアレンジですね。
「思い描いたように、モンスターの攻撃を避けましょう」という説明が入る。勿論PC版とは操作感や説明が異なります。
「いや、武器は、武器?」
「ユッキー落ち着くんだ、ここは避けていこう」
ユッキーを落ち着かせるオジサン。
「ご主人ら、奴が来るぞ」
セカンドがそう言うと、ティラオスは男達目がけて突進した。
男達はローリングで躱していく。
通常の回避をしようとすると現時点ではローリングになります。
「アイツ、突進してくるだけだな」
ティラオスは好戦的ではないという設定は置いといて、数分間ティラオスを交わしていくと、重機が通るような振動で大地が揺れました。
「皆さん、これを!」
少年の声がしたと思ったら、彼らのいるエリアに武器種「大剣」と「ライトライフル」の序盤装備が投げ込まれ、ユッキーは大剣を、オジサンはライトライフルを手に取りました。
この初期装備は、キャラクリ設定で好きな武器種を選択した物になります。防具もこの選択で剣士用かガンナー用かに決まります。
ユッキーとオジサンで武器種が異なる為、違う説明が入りました。大剣はガードと溜め切り、ライトライフルは射的や本格的な扱い方の説明になります。
フルダイブ型VR版は、プレイヤーのナノマシンと連動しており、ガードや当たり判定などはリアルな形で反映されますが、溜め切りなどの固有技は本人が意識的に思考しないと技が発動しません。
つまり、思考停止周回でのクリアは難しくなっています。
「どこから武器を!?」
ユッキーのするどいツッコミは後々わかるとして、彼らは武器を構えました。
「すげぇ、重量を感じる。オジサンはどうだ?」
「普通に銃を扱うのと変わらないな、確かにこれは驚きだ」
ライトライフルを扱うオジサンも興味津々だった。
それでは武器を使って攻撃してみましょう。
ユッキーは溜め切りを、オジサンはエイムを合わせます。
「ご主人ら、私は何を?」
小尾をフリフリしているセカンド。
AI犬ハスキルーにもが説明が入りました。
サポートキャラ、ハスキルーにはプレイヤーを補助する機能が沢山あり、標的のモンスターへの案内や、道具の使用、ヘイトを集めたり出来ます。武器による火力はありませんが、戦闘不能になっても時間経過で復活する為、サポートスペックはかなり高いです。
セカンドの道具袋にはスタート時点で「回復薬」「光の粉」「火力爆弾」がそれぞれ五個入っています。回復薬は小回復、光の粉はエリア内のキャラ全員に小回復、火力爆弾は「100」の固定ダメージを与えます。
一方でオジサンは射的に苦戦していました。
「狙っている間に相手の突進が来てしまう」
攻撃を一番当てているプレイヤーにモンスターのヘイトがいきます。
現時点でユッキーの溜め切りは一発も当たっておらず、オジサンしかダメージを与えていませんでした。
「ユッキー、今は溜め切りに拘らず、普通に殴ったらどうだ?」
「そうだな、オジサン」
「ご主人ら、私が爆弾を設置しながら回復をばらばら撒いてヘイトを溜めるから、その間に攻撃してくれ」
「回復をばら撒くとは?」
セカンドは、ネット検索で回復がヘイトを溜める事を理解したようだった。その反面、ユッキーは回復をばら撒くの意味を理解できていなかった。
内容を理解したっぽいのはオジサンだった。
「ヘイトを稼いでくれるのは助かる。その間に攻撃しようユッキー」
「お、おう」
セカンドが乾燥した地表を駆けまわり、その間にオジサンがライトライフルで銃撃し、コンスタントにダメージを与えていった。
「アイツ、速すぎて追いつけないんだけど!?」
大剣を構えたり戻したりして行動しているユッキーは、駆け回るティラオスに追いつけなかった。構え中の大剣は、機動力が極端に落ちるのだ。
そうこうしている内に、ティラオスが一定以上のダメージを受けた為、イベントが進行。戦闘チュートリアルの終了だ。
「ディイイイイイゴオオオオオオオ!」と、咆哮を放ったティラオスは、風の障壁を突き破って何処かへと去って行った。
ティラオスがいなくなった瞬間、空間が中心に向かって収縮し、眩しい光を放つのであった。