194 ゲームマスターによる自己紹介
初めまして、僕の名前は072(セブンツー)。
このゲーム、ジュラシックバスターのゲームマスターをしております。
主な仕事はバグの発見とその修正。
他には実装前のモンスターの難易度調整、テストプレイや、複数ある公式SNSの情報発信の内容に間違いがないかの確認、ゲームに対してのご意見ご感想の情報取集などもやっております。
ジュラシックバスターは二八二〇年三月十二日にβテストを開始し、紆余曲折を経て、その年の九月十二日に正式にサービスを開始致しました。本年、二八二七年一月一日において運営六年目であり、九月に七年目へと突入します。
本作は開発に五十年もの歳月をかけており、サービスを五十年続ける事を目標に制作されました。現在の運営スタッフに当時の開発メンバーは残っておらず、僕の存在を知る者はごくわずかしかおりません。
ジュラシックバスターのジャンルは、フルダイブ型VRハンティングゲームであり、西暦二〇十八年代に全世界で流行ったハンティングゲームを参考に作られています。正確なゲーム名は伏せますが、モンスターを狩る事と、そのゲームが尊くて気持ちがハァンとする事から、ファンの間で「モンハァン」と呼ばれています。
運営開始時にはノーマルクラス(Nクラス)までが実装されており、二年目からスーパークラス(Sクラス・Sky・空の意味も含まれており)、五年目にしてトライクラス(Tクラス・Time・時間の意味も含まれている)までが実装されています。
Nクラスはモンハァンにおいて下位、Sクラスは上位、Tクラスは絶級に相当します。
五十年続けるという事で、一度にコンテンツを放出しないという形式を採った事で、運営開始時はコンテンツの少なさから厳しいスタートとなりました。
そもそも、フルダイブ型のVRゲーム市場はそこまで大きくはなく、営業利益期待値は当初からそれほど高くはありませんせんでした。
そう、このゲームの開発は製作者の夢とロマンで始まったのです。
……とはいえ、利益を出さないと運営を続けられないので、フルダイブ型には月額十ドル、オンラインプレイにも月に十ドルかかります。ただ、課金ユーザーのみだとコンテンツを広げるのは難しいので、運営二年目からPC版をスタートし、コントローラーを握ってプレイするタイプも実装されました。これはSクラス実装と同時期になります。ソロプレイに関しては無料ですが、オンラインではフルダイブ型と同様に月額料金が発生します。
これは仕方のない事ですが、フルダイブ型VRとPC版のクロスプレイは出来ません。……ですが、データ共有は可能なので、その時の好きなプレイスタイルでハンティング可能となります。
試行錯誤を重ね何とか運営六年目に突入したのですが、この先どのように発展させていいのか開発スタッフ達は頭を悩ませておりました。運営五年目でTクラス、モンハァンにおいての絶級というエンドコンテンツを実装した事で、クラスにおいては頭打ち状態。次の大型アップデートは、今まで続いていたメインシナリオのトリを飾るアップデートを残すのみで、それが実装するまでは、グッズ、リアルイベント情報やイベントクエストを小出しにしつつ、季節キャンペーンをローテーションで組み、引き延ばしに引き延ばした状態に陥っておりました。
このゲームのサービス終了は、僕の活動終了に繋がります。
多少不安な気持ちもありますが、オンライン展開しているゲームというものは、いずれサ終するもの。落ち込んだ感情を片隅に抱えつつ、プレイヤーの情報収集をしていた時の事、僕はある特殊なプレイヤーを発見したのです。