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190 プラチナフィスト

 「どこから話そうかな」と、苦笑いを交えたフリージオの言葉からスタートした話し合いは「今、頭に浮かんだ事から話していけばいいんじゃないですか?」というクレイの言葉に押された。

 そして「事の発端は……」と、頭を悩ませたフリージオの言葉が続いた。


 約三十年近く前、ヤクザ、マフィア、テロリスト、その他諸々の裏社会の組織に、謎のメールが一斉に送信された。

 「地下深くに眠るパンドラの箱を開けし者、過去に至る技術を与えん」という内容で、わかりやすく言えば、パンドラの箱を開ければ過去に行けるというものだった。怪文風の日本語でフリージオは話したが、実際は英語のメールで、内容は多少拡張したとの事。

 このメール、裏社会において「アンダー・ザ・パンドラボックス」の問題と言われているらしい。

 突拍子のない話に、俺は「このメールの内容を信じたのか?」と言葉を投げた。

 フリージオ曰く、内容云々ではなく、このメールが高度なファイアウォールやセキュリティを突破して投稿された事、それが信憑性を高め、大多数の人間を信用させたのだという。

 でも、おかしい。

 現時点で過去に戻る為のタイムマシン技術は開発されていない。

 そもそもタイムマシンって誰が開発したんだ?


 フリージオの話は続く。

 フランスに、アルセーヌ・ルパンという怪盗の末裔がいた。

 その自称末裔にも「アンダー・ザ・パンドラボックス」のメールが届く。

 その内容を見て面白がった末裔は、王制度が廃止され元王族となったクラリスに話を持ちかけた。

 ちょっと待て、王制度廃止ならフリージオの王子設定はやはり自称なのかとツッコミを入れた。フリージオはノンノンと指を振って返す。廃止されたのは数年で、男達がガイア・ノアで眠りについてから復活させたらしい。

 男達が未来に望みを託して建設された「ガイア・ノア」計画において、世界では様々な法律改正が行われたのだという。王制度廃止もその一つで、一時的にその条件を呑んだ理由に「精子バンク」があった。

 精子バンクの全権は、現在ガイア・ノアに眠っている男達にあり、地上に男がいない世界で精子バンクが利用できないとなると、世界衰退は加速する。その為、男達の出す条件に逆らえない環境が続いた。コールド・スリープ中の男達に何かあれば、精子バンクが凍結されてしまうのではないかといった話もあり、彼らには手が出せない。その為、アメリカでのクローン開発が解禁され、皮膚から精子を作る技術の確立が急がれているといった事情があった。

 そんな様々な事情に不満を持ったフランスの王族と、アルセーヌ・ルパンの末裔が手を組んで出来た組織、それが……。


「プラチナフィストさっ!」


「……さっ! ……って言われても、すぐには理解できないぞ」


「だから、今までユッキーに話さなかったんだよ。今ならギリ理解出来るでしょ?」


「まぁ……」


「プラチナフィスト、その三代目リーダーがこの僕、フリージオ・エトワール。勿論、クレイはそのメンバー」


「他に仲間はいないのか? 先代とか」


「プラチナフィストは代変わりする度にパーティを解散し、新しいリーダーが仲間を集める仕来りなんだ。現時点でのメンバーは四人で、会員ナンバー一番が僕として、二番がクレイ、三番は立場的に明かせないんだけど、四番は後で紹介するね」


 会員ナンバーのクダリにツッコミを入れたい所だが、肝心な話題から話が反れるのでやめておいた。


「ルパンの末裔と手を組んだって言うけど、大丈夫なのか?」


「そもそも僕達は健全な組織じゃないから、どうゆう分類になるのかな? 一番適切なのは……義賊、かな」


「義賊!? ……って何だ?」


 皆がズッコケるというか、体のバランスを崩すモーションが見えた気がした。

 何なら「コケッ」みたいな効果音まで聞こえてきた。

 悪い悪い、自分でググるから……と、体のアクションで伝える。

 義賊。金持ちから金品を盗んで、下級民に与える盗賊。……盗賊!? そもそも、金持ちから金品を盗む以前に、本人が金持ちじゃねーか!

 俺が狼狽えている時に、エーデルが「フリージオはルパンの末裔なのか?」と質問。フリージオは「違う違う、僕は王族サイド。初代がルパンの末裔と王族クラリスのダブルリーダーで、二代目は末裔サイドだったね」と答えた。エーデルはそれを聞いて「この時代に来る前の友人が、ルパンに憧れていて、巡り巡って来るようなものが合わさって、何だか少し怖いな」と呟いた。


「プラチナフィストが結成された目的っていうのが、アンダー・ザ・パンドラボックスの謎を解明する事なんだけど、パンドラボックスが何なのかっていうのは、初代達が推理して特定している」


「ふむふむ」


「アンダー・ザ・パンドラボックス、イコール、ガイア・ノアなんじゃないかと。つまり、ガイア・ノアを開けば、過去に行く為のタイムマシン技術が何なのかわかるかもしれない」


「いや、過去に行く為のタイムマシンって完成してないんだろ? 既にあるってどういう事だってばよ」


「そうだね、タイムマシンを開発したとされる人物を話す必要があるね。ストック・ウィッシュ・ホールディングスって、元々、ウィ・ウィッシュ・コーポレーションっていう会社だったんだけど、この会社って美容関係がメインで、タイムマシンなんて物とは無縁だったんだ。ウィ・ウィッシュ・コーポレーションが、メビウスカンパニーを吸収合併する事により、タイムマシン技術を得たんだよね」


「それ……で?」


「タイムマシンを開発したとされる人物っていうのが、メビウスカンパニーに所属していた科学者っていうかマッドサイエンティストで、名前はハーディ・コア。彼は宇宙人、未来人、超能力者と言われるぐらいの天才で、ガイア・ノア建設、ナノマシンネットワーク、精子バンクシステム、人口子宮システムなど、様々な技術を発明してきた。ひねくれ者だったという噂もあるし、未来への一方通行のタイムマシン技術だけを残し、過去へ渡航出来るタイムマシン技術は隠した可能性も十分にある」


「未来行きのタイムマシンを残して、過去行きのタイムマシンを隠す意味ってあるのか?」


「そもそもタイムマシン技術自体が危ない物だし、それ以前に、今あるタイムマシンは、現在使える物だけを利用しているだけで、ストック・ウィッシュ・ホールディングスの人間は製造方法とかわかってないんじゃないかな? システムのわからない状態で運用しているから、たくさんの男性を過去から連れてこれないとも考えられる」


「危ねーじゃねーか!」


「そう、なんだよね。でも、僕は全く違う可能性も見ている」


「違う可能性?」


「そもそもタイムマシン自体、無いんじゃないかと」


 「……?」と俺は固まる。タイムマシンが無い? じゃぁ俺とエーデルは何でここにいるんだ? 「ユッキー、小父様……二人はタイムマシンに乗った時の記憶はある?」とフリージオに言われた時、俺はすぐに言い返せなかった。

 当時、俺はベスト・ワイルド・ジャパンというボディビル的な大会の会場に向かっていて、道に迷った際、謎の小部屋に入った時に意識が落ち、目を覚ますと未来にいた。俺の元々いた時代から、男子減少時代であるこの未来に来るまでの間の記憶は無かった。

 エーデルも「大怪我を負って謎の部屋で意識を失い、気が付いたら未来にいた」と言い、互いにタイムマシンに乗った記憶が無いという共通認識だった。

 

 するとフリージオは「君達、もしかしてクローンなんじゃないの?」と、発言した。俺はパニックになった。えっ、えっ、どういう事だ?

  

 精子バンクの仕組みに牽制する為、クローン技術開発が解禁された訳だが、タイムマシン技術があると偽って死んだ男の細胞からクローンを作る為でもあったのではないかと、フリージオは言った。話の筋は……一応通る。

 この話にエーデルが反論した。僕達はメディカルチェックを定期的に受けてきたし、クローンであれば、その時にわかるはずだと。僕達にガイア・ノアに対して興味を持たせ、たきつける為に話を盛っていないかとも言った。

 

「てへぺろ」


「……オイオイ」


「いや、でもクローンである事を隠す事も、タイムマシンを運用出来るほどの科学技術があれば可能でしょ。タイムマシンが有るのか、それとも無いのか、それによって君達がクローンかどうかも判明する。どう? 興味出てきた?」


「この話を聞いて、ガイア・ノアを調べないって感想にはならないかな……」


「要約するとね、僕はガイア・ノアに侵入したいんだ。これが、今のプラチナフィストが目指す目的であり目標でもある」


「侵入? 開くんじゃないのか?」


「ガイア・ノアで眠る男性達が目覚める条件、つまりガイア・ノアが開くのは、世界人口の四割が男性である事らしい。だから僕達が生きている間の通常開通は物理的に無理なのね。だから侵入という選択肢になるという訳。ガイア・ノアで眠っているハーディ・コア博士を叩き起こしてタイムマシンの有無を聞けば任務を達成出来る」


 エーデルが手を上げる。


「さっき僕達がクローンかもしれないと言ったな。……だとすれば、タイムマシンを使わずとも、クローン技術で男性を増やせるのでは?」


「そうなんだよ! 不思議だと思うんだよね。タイムマシン技術より、男性のクローンを増やす、そもそもY染色体の再生技術の方が簡単な気がする。僕は科学者じゃないから、その辺りはわからないけど」


「ふと、疑問に思ったんだが……」


 エーデルがクレイの方を見た。


「性転換手術はどうなっているんだ? 性転換でも男性を増やせるのでは?」


 エーデル、クレイがトランスジェンダーだと薄々気付いているのかな。

 「いい着眼点だねっ!」と、フリージオが言った後、クレイが重い口を開いた。


「ガイア・ノアが稼働してから、トランスジェンダー男性は、法的に男性という扱いではなくなりました。男性人口四割は生まれた時点での体の性を基準にしており、正確にカウントする為だと思われます」


 それはつまり、今まで地上に生きる男性は七十人ほどと教えられてきたけど、実際の所、男性はもっといるという事か……。


「ユッキー、今まで男性の世界人口が百人未満だと思ってたでしょ。固定概念って恐ろしいよね。今のアハ体験を経験した事で、考え方一つで世界が変わるって事を実感出来んじゃない?」


「つまり?」


「分からない事が分かる瞬間、問題が解決する瞬間、固定概念がひっくり返る瞬間、それらは脳内の神経を多角的な幸福感で満たし、強い刺激を与える。細胞を活性化させ、人類の進化を疑似体験させてくれる。僕はね、タイムマシン自体に興味は無いんだ。わからない事、その全てを知りたい。それが僕のアイデンティティなんだ。……わからない事が折り重なる状態って気持ち悪いでしょ?」


「うん、まぁ……」


 モーテルで、謎だらけの肥え溜めに落としたのは、俺にフリージオの考えを理解してもらう為だったのか。


「まだまだ疑問は多々あるけど、要はハーディをシバけばわかる事なんだよね」


「フリージオ、何か発言が過激だな」


「ユッキー、他人事じゃないんだよ。ハーディ・コア博士こそが、僕達や君達の人生を狂わせたと言っても過言じゃないんだ。クレイ、あの音声テープを」


「ゆきひと、エーデルさんに聞いてほしいものがあります」


 クレイが、胸ポケットから録音機器のような物を取り出した。


「この音声は、私の高祖父であるバスタードの元にガイア・ノア開発に携わったメビウスカンパニーのCEOと科学者のハーディ・コア博士が訪ねて来た時の会話を録音した物です」


 最初に物腰柔らかな男性の声から始まり、その柔らかな声に、反発、激高するような声がした。内容から察するに、激高しているのがバスタードだと思う。この二人の会話を遮る形で高笑いが聞こえた。高笑い男は、女性を馬鹿にするような発言を繰り返し、女好きのバスタードはそれに反論する形で言い争いになった。高笑い男は、バスタードの怒りには同調せず、相手の感情を逆なでするだけに終始していた。話がまとまらないので、柔らかな声の男が「日を改めます」と言ったが、バスタードは「二度と来るな!」と激怒し、後から花瓶のような物が割れる音がした。


「何か気になる部分はありますか?」


 クレイが言う。

 気になるというか、高笑い男の口調に覚えがある。

 人を馬鹿にしたような話し方、一人称が「ボク」。


「トージの別人格時の口調に似ている……」


 フリージオが手を叩く。


「そーなんだよね。ハーディとトージの別人格の話し方が全く同じ。トージの別人格は、きっとハーディをベースにしているんだ」


「つまり、どうなんだ?」


「アンドロイドの暴走事件に着目していたのは、ガイア・ノアに関連があると思ったからなんだよね。アンドロイドを多種多様な形で操れる人物は限られる。ハーディ・コアか、それに近い知識を持った人物にしかできない犯行だから」


「ちょっと待ってくれ、ハーディ・コアは、ガイア・ノアでコールドスリープ状態じゃないのか?」


「ねぇ、ユッキー。コールドフリーズ、すなわち寝る行為ってどう思う?」


「熟睡してたら無防備だと思う」


「そうだよね。自分達の身を守る為に精子バンクを盾にするだけでは足りない。彼らの全ては寝てないんじゃないかと推察している。絶対に監視役は置いている」


「それがトージの別人格?」


「彼は恐らく、ハーディ・コアの人格のコピー……もしくは、それに近い存在じゃないかな。彼はニュージーランドで量産型アンドロイドを襲い、オーストラリアのソルを破壊した主犯だと考えている」


「ニューヨークの事件が最初じゃないのか?」


「違う。トージの別人格をハーディAとして、ハーディAは自分の居場所を隠す為に、初犯と二回目の犯行を隠した。多分、最初の二件は衝動的だったんだ。しかし、三件目以降はオープンにしてるから、それ以降は実行犯が違う」


 それって仲間がいるって事か? でもそれはおかしいぞ。ハーディAは俺を襲った時、仲間はいらないと言っていた。


「ゆきひと、貴殿の携帯端末を貸してくれないか? モーテルで襲われた時、近くにあったならその時の会話が録音されているはずだ」


「え、そんな機能があるの? それ、早く行ってくれよぉ」


 俺のマスターBが録音されているのか?

 震える俺。


「男の生理現象は把握しているつもりだ。今更、そんな事気にするな」


「き、き、き、気にするわ! 間違っても再生するなよ!」


「問題無い」


「小父様、間違えろって思ってない?」


「そ、そんな事は一ミリも考えていない」


 俺がモーテルでハーディAに襲われた時の音声が流された。ベットのそばに置いてあったからか、かなり聞き取りやすい形で録音されていた。俺の怯える声、ハーディAのダミ声が部屋に響いた。


「ハーディAは仲間はいらないと言っていて、手駒が欲しいと言っていた……のに、アンドロイド暴走事件のニューヨークの犯行は共犯者……なのか? 仲間はいらないのに、仲間がいる? どうゆうことだ……?」


 疑問に思っている俺に対して、フリージオはもう解答がわかっている感じだ。


「ハーディAの共犯者は、多分、自分だよね。彼は自分の人格のコピーを量産している」


「……!? でも、何でニューヨークの事件以降はオープンにしているんだ?」


「ハーディB以降は、絶対に見つからない場所にいるのか、もしくはハーディAがオリジナルに近い貴重な存在で、B以降はデリートされても問題ないからなのか……。アンドロイドの暴走事件の犯人が誰なのかをまとめると、主犯がハーディAで、三件目以降は、別のハーディのコピー人格、だね」


「犯人がハーディAで確定したとして、動機は……?」


「そこなんだよね、今までよくわからなかったのは。人間らしいアンドロイドは、全てストック・ウィッシュ・ホールディングス社で生産されていて、かつ特殊な技術が施されたオーダーメイド。予想では、ハーディのコピー達が作ったと思ってるんだけど、それだと自分達で作ったアンドロイドを自分達で破壊して回ってる事になる。ちょっと混乱するけど、さっきの音声を聞いて何となく動機がわかった」


「……うん?」


「仲間はいらないって思考に至るって事は、どういう精神状態だと思う?」


「……人を信用していない状態かな」


「そう。……人間らしいアンドロイドにモデルが存在するっていうのは、ネネさんの話を聞いてわかってるでしょ?」


「話は聞いた……。俺も、人間らしいアンドロイドは、実際にいた人物をモデルにしていると思う」


「そのモデルになった人物、全員を把握している訳じゃないけど、クリス・ラット、シュー・キングスは、現在ガイア・ノアでコールドフリーズされている。人間らしいアンドロイドは、ガイア・ノアで眠っている男達をモデルに制作されていると考えられ、それら現身のアンドロイドをハーディ達は壊している……憎しみを込めて」


「えっ、今コールドフリーズされている人達って仲がいいんじゃないのか?」


「本当は……仲が悪かったんじゃないかな? 例えば、仕事現場とかって傍から見ると仲良さそうに見えるけど、中に入ってみるとギスギスしてたとか、あるあるじゃない? 皆が皆、仲が良い現場なんてそうそう無いよ」


「そうすると、ストックさんの側近、執事長バロンや、パステルと一緒にいる……名前忘れたけど、あのアンドロイドも狙われるんじゃないのか?」


「そうだね。あぁそうそう、バロンについてだけど、彼はメビウスカンパニーCEOをモデルにしている。CEOの名前は、セヴィス・トルゲス」


「セヴィス・トル……ゲス!?」


「珍しいラストネームだからわかるよね。セヴィス・トルゲスは、カリス・トルゲス、ヴィーナ・トルゲス、ソフィア・トルゲス、ビリーヴ・トルゲス、フォーシア・トルゲス、ギフティ・トルゲス、トルゲス六姉妹の父親で、ストック・トルゲスの夫。ストックは自分の夫の若かりし頃を模したアンドロイドを傍に置いていたんだ」


「……バロンは、ヴィーナさんの父親、みたいなものだったのか」


「メビウスカンパニーの科学者ハーディは、CEOセヴィスの右腕ではあったけど、親友のような関係でもあったらしい。仲間はいらないなんて発言するあたり、二人の関係にも、きっと……何かあったんだね」


「ごめん、今は感情に整理がつかない」


「興味は湧いたでしょ?」


 俺は、フリージオの曇り無き眼に吸い寄せられた。


「ガイア・ノアに侵入すれば、タイムマシンの有無がわかり、君達を過去に帰せるかもしれないし、クローンなのか、オリジナルなのかもわかる。アンドロイドの一件を解明してハーディの技術を使えば、駆け落ち騒動のリーク者を特定するのも容易。改めて聞くよ、ユッキー。僕達、プラチナフィストの仲間にならないかい?」


 彼らは義賊であり、盗賊のようなもの。

 そしてガイア・ノアに侵入だなんて、怪盗みたいじゃんか。

 そこにまっさらな正義はない。

 でも、選択に迷いは無かった。


「フリージオ、俺を仲間にしてくれっ!」


「んんんんぅぅぅぅ、やったぁ!!」


 今一番の勢いで、フリージオにジャンピングハグされた。


「小父様はどうする?」


「ゆきひとが入るなら、僕も……」


「僕も?」


「僕も、仲間に入れてください」


「じゃぁ、ユッキーは会員ナンバー五番で、小父様は六番ね」


 そこは会員ナンバーなのね。

 フリージオは俺から離れてクルリと回った。


「ユッキー、小父様、ようこそっ! プラチナフィストへ!」

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