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113 エピローグ 白銀の壁【6】

 人生には大きな分岐点がある。

 些細な事でもそれが絡み合い大きな変化をもたらす場合がある。

 もし俺がベスト・ワイルド・ジャパンの会場に行っていなかったら、今俺はここにはいなかったし、こんな風にはなっていなかった。様々な偶然が重なって俺はこの場所に立っている。

 世界人口の九分九厘が女性達の時代に来て早一年と一か月。

 未来に飛んで俺と同じ経験をしたエーデルに、この時代に来てからの一年間を時間をかけてゆっくりと全部話した。話す必要があった。

 エーデルは俺の過去を知って、顎髭を触りながら考え込んだ。

 近くで傍観していたフリージオも、俺の全てを知っている訳ではなかったし、暗い表情で黙り込んでしまった。こんな表情を見せるなんて珍しい。

 エーデルに会いに行った理由は話した。

 どう返してくるのだろうか。


「つまり……僕に会いに来たのは愛する女の為か」


「……そうだ。ヴィーナに言われたからだ」


 元々エーデルを助けたいという気持ちは薄かった。

 それ以外に何もできなかったし行動に移せなかった。

 ただヴィーナに言われたからエーデルをここから助けたいと思った。

 でも今は違う。

 長い時間話し続けて親近感が湧いたのを俺自身自覚している。味方がほしいという理由もあったが、心の底からエーデルを救い出したいと思っている。

 だから、出来れば前向きな返答がほしい。


「いや、理由としては悪くない。何て言ったらいいのか……」


「俺に幻滅したかな」


「……いやその逆だ。僕がこの一年何もしていない間に君は大変な思いをしてきたんだな」


 大丈夫だ。エーデルの反応は悪くない。


「何でヴィーナが俺だけにしか救えないと言ったのか……それはわからないけど」


「まだわからないのか?」


「……?」


「君は色んな人と関わってきたんだな。僕は自分のことを他者に詳しく話さないけど、ゆきひとが身を削って自分を晒してくれたんだ。教えるよ……その理由」

 

 エーデルが今までにないほど緊張しているように見える。

 俺まで凄く緊張してしまう。

 独特な緊張感が走っていた。

 エーデルは意を決したように俺を見つめた。


「僕は……ゲイだ!」

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