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霧の中から  作者: こま
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 昨日までと何一つ変わらない日が続いてくんだと思ってた。

 だけど、訪れたのは昨日とは全く違った日々だった。

 きっかけを作ったのは、もしかしたら俺だったのかもしれない。もしあの日に戻れるならば、あの時余計な事を言わなければ未来は変わっていたのだろうか――




 小さかった時に親の仕事の都合で小さな田舎町に引っ越して来て、隣に住んでいたお姉さんを好きになった。

 今思えば多分一目惚れだったんだと思う。

 だけど、お姉さんは中学生。小学生しかも二年の中でも小さな背丈でクラスの奴らからからかわれていつも半泣きになってたいたような奴から好かれても嬉しくもなかったと思う。

 多分お姉さんからしたら弟が出来たようなものだったんだろうけれど、俺からしたらそれでも良かった。毎日毎日学校が終われば、お姉さんの家に行ってはくだらない話をしたり遊んでもらっていた。

 ある時、学校の休み時間に誰だったかが、この町の七不思議だったかを話していたのを聞いて、お姉さんとの話題になりそうだとそいつらに詳しく話を聞いて意気揚々とお姉さんに話したんだ。

『あのね、あの湖にはね魔法使いが居る場所と繋がってるんだって、霧の出る朝に湖の中に足を浸してると魔法使いの街から迎えが来るんだって』お姉さんはもちろんその時は笑い飛ばしたんだ。『足を浸してるだけなら誰だって行き放題だ』って、だけどその時妙に寂しげだったのは覚えてる。




 それからしばらくしてお姉さんは居なくなった。

 お姉さんが居なくなってから俺のまわりはかなり忙しくなってしまった。『仲良くしてただろ?』と猫なで声での警察の人たちからの質問に隣から聞こえてくるヒステリックな叫び声に近所の人たちの噂話まで飛び込んできて正直パニックになりそうだった。

 お姉さんの家は旦那さんの浮気で相手に子どもが出来たとかで離婚するとか、奥さんは旦那さんからの暴力に耐えきれずに出て行こうとしていたが、娘さんが居るからと我慢してたのにも関わらず娘さんは学校でいじめられて逃げ出してしまってヒステリー起こしてるんだと隣近所で面白おかしく噂していてかなり胸糞悪かった。

 そんな噂がたってお姉さんが居なくなったのが信じられず、お姉さんの通ってた中学にも行ってみた。


『何このガキ』

『知らねー』

『あ、あの、お姉さん、お姉さん知りませんか?お隣の**って名前の!』

『は?知ってる?』

『3組の子じゃない?全校集会で行方不明になったとか言ってたじゃん』

『ああ、あの?まだ見つかってないんだ』

『ごめん俺ら知らねーわ』

『そういや、あの子ってあいつらにいじめられてたんじゃなかった?』

『マジ?』

『あ、ほら、あいつらじゃね?』

『え、マジ?うわーショック』

『ああ、お前あの中の一人好きだったもんな』


 一人の男子生徒が教えてくれた先に居たのは数人の派手な女子。


 お姉さんをいじめていた奴らだと分かった途端どうしようもない怒りがこみ上げてそいつらのところに走ってった。後ろでさっきの男子が何事か叫んでいたが、気にしてられなかった。


『おいっ!』

『何このガキ?どっから来たの』

『ボクお家はここじゃないよ』

『ほら、かえりなよ』

『お前らが**お姉さんをいじめてたって本当か?!』

『は?こいつあいつの知り合い?』

『キモ女の?じゃあ、こいつもキモいの?マジありえなーい!』

『あのさ、あたし等は友達が居ないあいつに優しくしてやったの。分かる?』

『そうそう。それなのにあたし等がいじめてたとか言われてマジクソムカついてんだよね』

『しかも、行方不明とか意味わかんねえつーの。どっかで野垂れ死んでくれねえかな』


 初めはこいつらが言ってる事が理解出来なかった。だけど、時間が経ちじわじわとその言葉が脳に浸透していく。キモ女?野垂れ死ね?


『ふざけんな!』


 お姉さんの事悪く言うなと叫んでた気がする。

 その時の事はあんまり覚えてないんだ。ただ、我に返った時夕日の中で母さんが、先生に頭を下げてた事だけは覚えてる。

 それからは中学校に殴りこみに行った奴とレッテルを貼られせっかく出来た友達からも遠巻きにされた。

 そんな中とある噂が流行り出した。あの湖の七不思議だ。

 多分、お姉さんが行方不明になったのが原因なのだろうが、その時の俺には藁にもすがる思いで噂してる奴らにその話を聞こうとしたが、避けられてる俺が近付いて行っただけでそいつらに逃げられてしまった。逃げられた事に少なからずショックを受けたが、自分がやらかした事だとそいつらに聞くのを諦めて大人に聞いて回ったが『知らない』『小学校ではそんな噂が?』と眉をひそめられてしまって情報なんて集められなかった。

 仕方なく自分で七不思議を調べに行こうとしたけど、悲しいかな当時の俺は小学二年生。

 霧がいつ発生するかなんて分からなかったし、どうやって調べればいいのか分からなかった。

 親に聞こうとしても、先に七不思議の事やお姉さんの事を色々と尋ねていたせいか、忘れなさいと言われるだけで、教えてくれなかった。

 大きくなるにつれて霧の発生条件が分かり、雨の日や冬の寒い朝は必ず湖に行くようにしたが、霧はなかなか発生しなかった。

次回更新まで間が空きますm(_ _)m

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