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ダンジョンを破壊せよ  作者: ゆず胡椒
はじまり
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プロローグ・2

迷宮(ダンジョン)を破壊してください」


と、女神様は言った。


ダンジョン?

ダンジョンってあのダンジョン?

宝箱があってモンスターの出るあのダンジョン?


「はい、その理解で良いと思います」


俺がイメージしたのは○ラ○エとか○フエフとか○ィザード○ィみたいなダンジョンだ。

あんなもん現実にあるのかよ?

それを…破壊する…?


「この世界、いえ、あなたがいた世界ではありませんが…」


そして女神は教えてくれた。

女神の願い、ダンジョンを破壊しなくてはならない理由を。


いわく。


全ての世界を維持、運営していく上で必要となる魔力(マナ)

その魔力を停滞させ、死蔵するダンジョンが増えすぎたため、世界の運営に支障が出つつあること。

このままでは全ての世界がやがて崩壊に至ること。

ダンジョン、正確にはその実体であるダンジョンコアと呼ばれる鉱石を破壊して欲しいこと。


「あの、そんなに沢山あるなら全部壊すのはとても無理なんじゃ…?」

「全てでなくとも良いのです。さきに話しました通り、可能性のある全ての方に同じお願いをしておりますし…。あなたはあなたにできる範囲で対処していただければ」


可能性を上げたいってことか。過剰な期待はしてないし強制でもない、と。


ふむ。


気楽な立場でダンジョン攻略か……。


どうせ死んだ身だし、またあの世界に生まれ変わるのも御免だな……。


あ、そういえば。


「あの、俺は死んだってさっき言ってましたけど身体は……どうなるんですか?それに、俺は特に強いわけじゃないですよ?」

いやまあ、いま見てさわった限りでは別に何とも無さげだけど。


ねえ?


あるでしょ?

この手のお話の『御約束』。

チートで俺TUEEEEE!して奴隷でハーレムができて美女をpr(ryな展開が!


そう、俺は現金な性格だった。


すると女神は困り顔で言った。


「あの…先ほども申し上げましたが魔力の循環を促すのが目的ですので、あまり過剰な魔力(マナ)の譲渡は出来ないんですよ。沢山の方に働いていただかなくてはなりませんし。あなたお一人に肩入れすることは神々の取り決めを破る行為ですし」


……ですよねー……そんな都合のいい話は無いですよねー……。


……チート無しかー……ハズレひいたな……さすが俺。


運の悪さは死んだあとでも発揮されているのであった。

いやそれとも、イケメンだったら結果は違ってたのかな。

俺なんかごくごく平均的なフツメンだし。

本当だよ。



「もちろん、既に出来上がったダンジョンに挑むのは危険ですからある程度の優遇措置(しえんせいど)はありますよ?ですがあくまである程度、です。俺TUEEEEE、ですか?そういうことがしたい場合はご自分でダンジョン内の魔力を奪うしかありません」

「ああ、それは別に禁止じゃないんですかね?」

「ダンジョンが破壊されれば循環が再開されて魔力の流動が再開されますので、全体で見れば調和(バランス)がとれることになります。これは最高神様の定められた大世界の(ルール)でもあります」


神様が極端な能力ブーストかけちゃ駄目よって一番エライ(ひと)が決めたってことか?

まあ確かに俺以外にもおんなじことやってるやつがいるなら俺だけ優遇する意味は無いか。


でもダンジョンを破壊して魔力を奪えばそれだけ俺は強化される、と。


「はあ、わかりました」

「それと、優一さんの身体ですが…」


「あなたの身体は既に再使用不可能なレベルで壊れています。ダンジョン攻略に行かれる場合、こちらで送り込む世界に合った適切な身体を用意させていただくことになります」


それは聞きたくなかったかな。

まあでも別に不満はないかな。

特別扱いでもなく公平なルールで、こんな美神(びじん)に頼まれて世界を救う。


まるでゲームの勇者じゃん。


俺みたいなつまらん人間が勇者になれるならやってみない手はないな。

駄目なら駄目で良さそうだし、その場合は迷宮(ダンジョン)でお宝あさりでもして暮らそう。

そういうののほうが趣味だし。


「……手伝ってくださるのですね?」

「はい。微力ですけど」


いいんですよ、と女神はこれまでで一番の笑顔で言った。


あー、これだけでもうなんか報われた感があるな。

裏も表も無いまっとうな人同士のやりとり。

相手は神様だけど。

結婚してくれんかな。


「それで、あなたの身体ですが」


女神リーガイルは立ち上がると、自分の横に手を差しのべる。

大きな胸が揺れた。

すぐに女神の差しのべた手の先に人間サイズの白い光が集まりだした。

少し経って光が消えると、そこには目を閉じた金髪の少年が立っていた。


「この身体を使ってもらいます」

「え、あの、この人は?」

「いえ、これはあくまであなたの命を納める器として作りだされた身体。これまでどこかの世界で生きていた人間などではありません」


「はあ…それで、どうすれば?」

「あなたの手をこの身体の胸に当てて目を閉じてください。そして迷宮(ダンジョン)を破壊しにいく、と念じてください。あなたの魂がこの肉体にいきわたったとき、新たな力とともにあなたの使命が始まります。その力がどんなものかは、あなたの内なる願いが定めるでしょう」


つまりチート(?)能力は自分次第である程度選択できるってことね。

話聞いた限りではそこまで強力じゃないみたいだが。

それにしてもこれで俺も勇者として転生するわけだな。


人生何があるかわからないなあ。


いや、やっぱりちょっと待って欲しいなあ。

どんな力になるかよく考えたほうが


「頭で考えても意味がありませんよ?具現化するのはもっと本能に近い部分で望んでいることになりますから…」


そうか。

まあそれなら納得できる能力が身につく…かな?


俺は覚悟を決めて新しい身体にふれ、目を閉じた。

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