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ダンジョンを破壊せよ  作者: ゆず胡椒
第一ダンジョン
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第一のダンジョンへ・8

第一ゴブリン発見

あとグロ回かも

ナビからレクチャーを受けながら移動していると何か争っているような物音が聞こえた。

ここから5~6メートルくらい離れた崖みたいになっているところ。

多分その下からだ。

俺は自分の姿をさらさないように気をつけながら寝そべって崖下をのぞきこんだ。

高さは10メートルも無いだろうか。

なかなかの傾斜だ。


崖下には……おお!

コボルトだ!

ゴブリンだ!

モンスターなんてはじめて見た。


いや正式名称はわからないが崖下の少し平らになったところでそれらしき二種類のモンスター同士が争っていた。

ナビも俺から降りて崖下の戦いを観察した。


「コボルトとゴブリンやな。ウィル、見つからんようにするんやで?いま、あの数に一気に襲われたら死ねるで」


うん、全裸だし、武器もないしね。

俺はナビにうなずくと改めて戦いの様子をよく見てみた。


コボルトは犬の頭をした小柄なモンスターだ。

身長は110cmくらいだろうか?

一匹はメスらしい。

少し胸がふくらんでいる。

彼女は背後にさらに小さなコボルト2匹をかばって座りこんでゴブリンを睨み付けていた。

その片方の足には木の棒でできた矢が刺さっているようだ。


そしてその前には太めの木の枝をこん棒みたいに振り回しているコボルトが、三匹をかばうように立って戦っていた

あれが旦那かな?


一方のゴブリンは身長は130cmくらいの醜い亜人だ。 

髪のない頭部には短い角が一本生えている。

こっちは三匹で三匹とも武器が違う。


一匹は錆びが浮いた長さ60センチくらいの剣をふるっていた。

もう一匹はお手製なのかやけに粗末な石斧。

その少しはなれた後方にこれまた粗末な弓矢を構えたゴブリンがいた。


これで全部のようだ。

魔物同士で仲間割れだろうか?


5分くらいみていたろうか?

戦いにも決着がつきそうだ。

コボルト旦那の動きが目に見えて鈍ってきたのだ。

そりゃあ体格も全然ちがうし3対1だし相手には飛び道具まである。

だが嫁さん子供をかばってよくやったよキミは立派だった。

飛び出していって助けたりはしないけど。


やがて疲れきったコボルト旦那が石斧で頭をぶち割られると戦いは終わった。

コボルト妻は剣で切られてコボルト子供たちは石斧で頭をぶち割られて殺された。

慈悲はない。


一方ゴブリンも無傷とはいかない。


石斧持ちは左腕の小手の位置をぶったたかれて右手しか使えないようだし、剣持ちは左目の辺りを殴られて流血してる。

一番厄介な弓持ちゴブリンは無傷か……。


ゴブリンの前衛2匹は石斧の一撃で頭が潰された子コボルトを一匹ずつ拾い上げるとそのまま丸かじりで食べはじめた。

うぇ、グロい。


弓持ちゴブリンは2匹をちょっと恨みがましくみていたようだが旦那コボルトの死体に近づくと持っていたダガーナイフに持ちかえて、死体の腹を裂いて中身を食べはじめた。

肝臓の生食は危ないよー。

うーん、まさに『弱肉強食』。


しかし折角のチャンスだ。こいつらは全員始末しておきたい。

え、なんでかって?

だってこいつら全員、腰布を巻いてるんだよ。

全裸脱出のチャンスだ。

俺はゴブリンたちに見つからないように今いる所に手ごろなサイズの石ころを集めはじめた。

適当な数を集めてからナビに話しかける。


「ナビ、あいつらも手傷を負ったようだし不意討ちをかけてみようと思う」

「大丈夫か?戦いは数やって偉い人がゆうてたで?」

「ああ、まず火魔法で3匹を攻撃する。その後はまず弓持ちを始末する。残ったやつらは……肉弾戦で何とかなるだろ」

「雑っ!まあでも勝算はあるんやな?せやったらやってみたらええがな。ただ、わかってると思うけど崖下まで降りたら私とのリンクは切れる。魔法は使えなくなるで?」

「ああ」


ん、はじめて出てきた設定だって?

ほらナビがいないと魔法は使えないって話だったろ?

あれってあんまり距離が離れてても駄目で、ナビが弱ってる今は特にその距離が短くなってしまったのだ。


「わかってる。それに高いところから現れるのはすごく勇者らしいしな」

「うん、不意討ちでそれはどうかと思うけどな。私は隠れてるけどええな?」

「ああ、お前がやられたら困るどころじゃないしな」


俺のことを知ってるやつがいなくなっちまうしな。

ナビが漬け物石くらいの小岩に隠れたあと、俺は深呼吸して自分に気合いを入れた。

すーはー。

よし。


「それじゃいくぜ!」


俺は立ち上がると火魔法1のファイアボルトを3発同時に発射した。

魔法はMPを余分に使えば威力、射程、持続時間、対象数もしくは範囲を増やせる。

初の実戦でいきなり応用編だが問題なく効果を発揮したようだ。


3匹ともこの魔法の射程内なので対象数を三倍にして発動された火の矢がコボルトを食っていたゴブリンたちに命中する。

お食事中に失礼しますね!っと。


続けて弓持ちにだけもう一発火の矢を放つ。

だめ押しというやつだ。

こいつだけは先に始末しておきたい。

あのボロ弓の射程がどこまであるか知らないがここまで矢が届く可能性はかなりあるし。

そうなったら『作戦』が成り立たない。


立て続けに火魔法を食らった弓ゴブはのけぞって倒れ、転げまわっている。

MPは残り1/3くらいのようだ。

魔法はとりあえずとっておこう。

少し気分が悪くなってきた。

あとは弓ゴブリンが立ち上がってこないことを祈るか。

もちろんもう1~2発ファイアボルトはうてるだろうが、なるべく温存したい。


ゴブリンの前衛2匹は一発目の魔法を食らったあと、意外に素早く立て直すと怒りに燃えた目で俺を見上げながら走りよってこちらに来ようとしていた。

奇声をあげて気勢をあげている。

うるさいよ。

お前らゲームじゃともかくリアルで見ると嫌悪感しかわかないんだよ。

存在自体を規制してやる。

やだ、ラッパーみたい。

どちらかと言うとパーみたいだが。

知力の話はよせ。


俺はさっき集めておいた石ころを拾い上げながらゴブリンたちが崖を登り始めるのを少しだけ待った。

チラリと弓ゴブのほうを見るとヤツは火魔法2発で完全に死んだようだ。

全く動かない。

誰だ水魔法の方がいいとか言った奴は。


そんな奴はいなかったがゴブリン2匹はすでに自分たちの身長分くらいは崖を登ったようだ。

来い来い来い。

俺はとにかく全力で2匹に石を投げ降ろした。


宮本武蔵も戦場では石投げてくるヤツのほうが怖かったと涙目で語ったそうだがこれは確かになかなか威力がある。


さっきまで奇声を上げて俺を威嚇していた2匹は石ころにぶち当たると少しひるんだようだ。

奇声が止んだ。

しかも狙い通り、片腕が使えない奴は崖を登るのに苦労している。

これで1対1と1だ。

やつらはどうしても俺を殺したいのか崖登りはやめないようだ。

よろしい。

ならば虐殺だ。

俺はとりあえず剣を持ったほうに投石を集中した。

奴は片目をやられたせいであまり上手く石をかわせないようだ。


食らえ!怒りと愛と悲しみの……ただの石ころを!


俺は全力投球で石ころを投げおろした。

とどめの一投を食らったヤツは悲鳴を上げて崖の真ん中くらいから転がり落ちていった。

とりあえずこいつはほうっておいて良い。


次だ。


石斧ゴブはあと1メートルくらいのところまで登ってきていた。

一方こちらも石ころはあと一つ。

しかもそんなに大きくはない。

この一発では確実には殺せないだろう。


俺は今度は足元の砂を掴むと奴の顔面に投げつけた。

食らえ、この砂の目潰しを!

勝った!

いやもちろんこれで勝てる訳はないが石斧ゴブの視界は奪えたようだ。


奴が目の砂を払おうとしてわずかな時間が稼げた。

俺は近場にあった漬け物石(くらいの小さな岩)を頭の上まで持ち上げていた。

ナビが陰に隠れてたヤツだ。


俺の全力(こんしん)石魔法(いちげき)を食らうがいい。




―――――――――――――――――――――――――――――――




俺はナビを連れて崖下に降りていた。


剣持ちゴブリンがまだもがいていたので先に拾っていた石斧でとどめをさしておく。


一応弓ゴブリンも確認したら、虫の息だが実は生きてたのでこいつも始末しておく。

なかなかしぶといんだな。

火傷のショック症状で動けなくなったようだが、無力化できたのはラッキーだったな。

無傷から火魔法2発では殺せない、か。


そして弓ゴブリンを倒すとレベルが1上がった。

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