第3話 魔法のおさら……あれ?
ほんのちょっとだけ、話が動きます。
あと説明回を描くと言いながら出来ていない現状。解せぬ……←
「火魔法はその名の通り、火を扱う魔法です。これは主に攻撃系として知られ、また上手く使えば囲まれた敵を一掃することも可能です。まぁ、パーティー組んでるのに使ったら、もれなく追い出されるでしょうけど。それで——」
あれから、2ヶ月が経ち、現在俺は魔法を勉強という名のおさらいをしている。
この世界では4歳で使えるのが当たり前なの。だから早めに覚えて損はない!
というフィーシちゃんの訴えによって、学ばさせてもらうことになりました。
召喚当初はこの世界の魔力に体が馴染んでる可能性が低いため、
「ど、どうして私まで……」
フィーシちゃんもね。彼女は今回メイドから服を拝借した罰として一緒に学ぶことになったのが不満なようだな。
というよりも、俺に教えたかったのだろう、魔法を。自分は凄いんだぞって思われたいのだろうな。ちいさなこどもに好かれる自分……それを想像してたのだろうけど、残念だったな。
今俺たちを教えてるのは女の魔族——ではなく、人間だ。名前は忘れた、反省はしていない。
「先生、フィー姉ちゃんが前使ってた温かい光も、火魔法なの?」
「うん? アスタロト、お前は何を使ってたんだ」
「はい、灯です」
「ふむ……確かに間違えるのは仕方ないな。灯は四属性どれにも入らない、生活魔法と呼ばれるものに分類されるんだよ」
「火と、どう違うの?」
「大丈夫、触ってみて」
恐る恐るてを出す。そして触れた時、燃え上がるように熱い炎の熱が——ではなく、コタツに入ってるかのような温かな温もりを感じる。
「あつく…ない」
「そうです。これが最大の違いでして、風を扱う生活魔法も、微風程度しかないのです。
光や闇の生活魔法は他と違って、魔法陣を書かないと発動しないのですが」
ん? おかしいな。俺はできたぞ。光の生活魔法の起床と闇の生活魔法の就寝。
俺がおかしいのか? いや、勇者補正か。
「生活魔法はとても曖昧でな、灯を例に述べると、これは憎き光魔法だの、ただの火魔法だのという話があるんだが……未だに答えはでてない」
「へー……?」
「……まだこの話は早かったようね。それじゃー。そろそろ実技に移って貰おうかしら。フィーシ。お手本をお願い」
突然振られたフィーシは目を一度大きく開き、嬉しそうな顔で「はいっ!」と答えた。
「————灯」
彼女の手から温かな光の球が出現する。どうよと言った顔をする彼女だが、先生はアホかと頭を叩いた。
「アスタロト、早口で言ってどうするのよ。コタロウ様が分かるように詠唱しなさい」
あれ早口だったんだ。通りで勇者だったの時、密かに魔法の詠唱がどんなのか気になってお忍びで来たことあるんだよな、ここに。兵士が訓練している現場に遭遇してよっしゃと思ったのはいいんだが、何を言ってるのかさっぱり分からなかったのだ。早口でつかってたんなら仕方ないよな。
「うー……。『我に光を、忍び寄る闇を消せ』灯」
ほー、なるほどそんな開元なんだ。
「……端折り過ぎよ。まだ間にあるでしょ」
え?
「灯の本当の詠唱は、『我が心に光を、忍び寄る闇、我を汚すそれを打ち消せ』……これが本当の詠唱で、上手い人は無詠唱。もしくは『闇を消せ』済ませる人もいるのよね」
長いんだね、魔族の詠唱って。人間には魔術や魔法を扱えるものが少ないから分からなかったけども。
あ、でも基本的に一人一言ずつ言って作る合体詠唱だったなそういえば。
「よし、それじゃあコタロウ様もやってみて下さい」
「うん!」
元気よく答えながら目を瞑った俺は、どうしようかと考えた。
なんせ昔から出来てたものを初めてするかのようにしないといけないのだ、詠唱付きで。
え? 無詠唱が基本ですけどなにか? だってそんな暇ないでしょ?
「え、えっと……『わがこころにひかりを』……それと、えっと」
「ふふ、『忍び寄る闇、我を汚すそれを打ち消せ』です」
ちっ、メンドクセー。顔文字つかったらあのぐてーんとしてる奴だわ。そんな心境です。はい。
「あ、そうだった。『わがこころにひかりを、しのびよるやみ、われをけがす? それをうちけせ』灯」
「え?」
お、初めてにしては上手いぐらいを演じることできたかな? そう思って瞑っていた目を開ける。しかし、すぐに目の前は闇に染まる。それと共に顔に柔らかい感触と重み、それと暖かい温度が伝わる。
あ、これ女の子お胸——。
「危ない!」
その言葉と共に、俺の意識はちょっとした心地いい感触につつまれながら、飛んでしまった。
目が覚めた時、俺は寝ていた。
あぁ、素材は何を使ってるんだろうか。とても寝心地がいい。また眠ってしまいたい。そう思ったが、横に気配を感じて顔をそちらへと向ける。
「あ、目が覚めましたか。コタロウ様」
まだ目に入る景色がぼやけており、シルエットからして男だろうということ以外分からない。
「ん……ここは?」
「ここはコタロウ様の部屋です」
なんも考えずボーっと数秒。意識が途絶える前に起こったことを思い出し、はっとなる。
「フィーシは!? 先生は!?」
さらにハッとなる。いかんいかん、つい素ひ戻ってしまった。
「お二人なら、大丈夫です。貴方が言ってる先生……リコリス・ラズベルクは自身の結界を使い、さらにコタロウ様の使った魔法の威力を最小限にまで弱めた為、少し部屋が壊れ、アスタロトとコタロウ様が壁にぶつかり意識を失うだけど済みました」
ん? 今聞き捨てならない言葉があったんだが。
「ぼくの、まほう?」
「はい。灯を使用したとの事ですが、どうやらイメージを間違えてしまったようですね」
イメージを間違えた? どういう意味だ。
「魔法を唱える時、どんなイメージを想像しましたか?」
「え、えっと……」
そりゃ昔と同じように……あー、そういうことか。
俺が勇者だった頃、生活魔法をどういう扱い方してたのかを思い出す。
そうだな、現代で言えば音のないフラッシュグレネードだろうか。そんな感じに使うことが多々あったから、それが原因だろう。魔効率がいいから、バンバン使っちゃてたのが、今になって響いたようだ。
「魔力によるダメージは結界で防ぐことができましたが、それによって起こる衝撃波まで手が行かず、申し訳ないとリコリスが言ってました」
「ううん、ぼくのせいでこうなったんだし、先生は悪くないもん」
「優しいですね、勇者は」
……ん?
「ゆうしゃ?」
「……惚けないで頂きたい。私のことをお忘れですか?」
そう言われても、まだ霧のようになっているから見えない。
「ごめん、まえがボヤけてみえないの」
「……否定はしないんですね」
そういいながら彼は何かを唱え出した。すると、霧が晴れたかのように視界がスッキリした。
そして、目の前にいる男の顔を見て目を見開く。
つるっとハゲ上がった頭をもち、鋭い目はそれだけで相手を殺せるかのよう。
顎から下には鱗があり、彼が龍人族だということを示している。
藍色のタキシードのようなものを着たその姿は、帽子を被れば紳士。
しかし、こいつの二つ名を知るものなら、無我夢中になって逃げるだろう。
「やはり、私のことを知ってるんですね。さあ、そんな子供の振りなんかやめて、素で会話をしましょう。勇者【デューク】よ」
彼の名前は、ガゼル・シュナイザー。またの名を。
「————【暴食王:ベルゼ】」
不定期といいながらも3日連続更新できるとは。不幸中の幸いといった所でしょうか。
また明日も投稿できるかなー(汗