第2話 魔族
調子に乗った挙句文がめちゃくちゃ……だけど反省してません、はい。
2015:1/1
ルフォートの髪が金のはずが銀に変わってたので、修正しました。
「改めまして、私はルフォート・アノマリアと申します。こちらの方は」
「ヴァリー・アブトモングと申します。ルフォート様の秘書をさせていただいております」
「私は、サドリアン・アメミットでございます」
「私は——」
……長い。非常に長い。かれこれ30分は聞き専なんだが。
現在俺は、凝ったもののない、意外にすっきりした食堂にて、これから部下になるという30名程の者たちと食事というなの、自己紹介を受けていた。
何故そんなに時間がかかるのかというと、まあこんな小さな子供の俺に媚びようとする輩からほアプローチがね? ルフォートが威圧(恐らくスキルだろう)をつかって黙らせていた。
ゲンナリとしたオーラが出ていたのだろう、ルフォートたちは簡潔に済ませてくれた……が、名前なんて覚えられないので、恐らくよく絡むだろう者たちの名前と特徴だけ覚えておく。
まずは俺の横で食事しているルフォート。こいつは改めて見ると、金髪は金髪でも、すこし青色を含んだ長髪のようだ。瞳も青く、まさに海外の…スペイン人あたりのイケメンだと思う。身長は俺が135だから、だいたい1人と3分の2ぐらい……か? 額には縦に線が入っている。
彼は白い服に黒い法衣のようなものを身を羽織っている。その服には金色の装飾が施されており、黒い法衣にも同様に施されていた。
なんというか、闇聖教師を思わせる服装だな。俺、あいつら嫌い。
逆側には、銀色のゴブレットに入れた飲み物を味わうように飲んでいるヴァリー・アブトモング。彼は赤色の髪をシャギーにしていて、二本の角を斜めから後ろへと生やしている。
瞳は金色で、鋭さを持った瞳だな。だけど、容姿と相まって怖さがそこまで感じられない。
……なんだよ、思いつかなかったからってジト目で見ないでくれ。
彼も同じく黒の法衣を羽織ってるが、中の服は袖がない青い服——そうだな、中国の服装といえばいいのか? そんな感じの服だ。ゴブレットを持つために出されている手は鍛えられていて、勇者時代の俺でも腕相撲したら負けていただろうな。
それと、バトラーと呼ばれている男と女が、俺の後ろに立っている。
「おにいちゃん。おねえちゃんたちは食べないの?」
と法衣を摘んで聞いてみる。子供がやりそうなことはしとかないとな。怪しまれたくないし。
「彼らは後で食べるんだよ。今は私たちのために給仕をしてくれてるんだよ」
と、代わりに目の前にいるデブっちょいのが答えた。
ヴァリーと同じく赤色の髪をしているが、こちらはオールバックだ。
穏やかな目をしており、肉の所為で輪郭がグニャグニャだ。いや、ブニャブニャか……?
この男は角がない代わりに、耳のうえぶふが垂れ下がっている。他の奴らは外見だけでは分かりづらかったが、彼だけはオークだということがわかった。
タキシードもどきを着ているのだが、ものすごくしっくりくる。主に悪い奴的な意味で。
「ありがとうおじちゃん」
「お、おじ……」
なんか口をパクパクあけながらショックを受けた顔をしている。声出てないよー。だって名前しらないんだもん、こんな呼び方になるのも仕方ないと思ってくれ。
「ククク。おじちゃんだってよオンイッチ」
「う、うるさいラース」
隣にいるラースと呼ばれた少女は、ドリルヘアーのお嬢様みたいな奴だ。ただし、スキンは薄紫色。
瞳は桃色。顔立ちは幼い……が、恐らく彼女が最年長だろう。魔女なら、な。
人は職業に以外に分別するものがない。しかし他の種族はもっと細かに分類されている。
山族には獣人や聖獣や魔獣。海族には人魚や深海。空族なら龍と竜(竜は龍とは違い、知能を持たない)。
天使はどちらかというと階級別に分けられているが、魔族にも分類がある。
オンイッチだっけか? 彼はオーク。それと先代魔王ルシフェルとその息子ルフォートはヤシャ族と呼ばれる。銀髪なのがその特徴だ。
しかし、例外がいる。それが魔女だ。
彼女たちは別名“裏歴史の管理者”と呼ばれていて、真実が残酷な歴史の裏には必ずいるとされている。
人でありながら不老の存在で、殺すには頭と心臓を同時にやらないとダメだ。片方刺してすぐ片方を刺すのもいいが、見切られてしまうだろう。というか、チートだ。
「…オンイッチは17だがな」
そういいながら苦笑いするルフォート。え、マジで?
俺の驚いた顏に若干不満な顔をするが、相手は子供だから仕方がないとつぶやき、意識を食事の方への向ける。うん、いい判断だと思う。
「コタロウ様。私目たちは後でゆっくり食べさせていただきますので、コタロウ様はお食事を」
……子供相手に固い感じがある言葉の男のバトラー。
中分けの白髪に同じ白の髭。キツネ目のため感情が読みづらいが、こいつは今の俺じゃ太刀打ちできないかもな。
「お姉ちゃんたちのことはいいから、コタロウ様はいっぱい食べてくださいね」
そういいながらにっこりと微笑むメイド。紫のポニーテールと赤と緑のオッドアイが特徴的だ。
この二人は魔族としての特徴が出ていない。恐らく俺と同じだが上位互換される擬態スキルを持ってるのだろう。中々だな。
あ、上位互換とはいってもべつに強力ってわけじゃないぞ? 正確には複合スキルだ。あ、結局一緒か。
「ん? アスタロトがいないぞ」
「そういえばそうだな」
「……」
アスタロト? それって確か俺が倒したはずなんだが?
結構ムキムキで強かったんだよな、あいつ。俺が覚醒してないときに来られていたらまず、死んでたな。勝てないではなく、間違いなくだ。
つーことは次代目か? 一体どんな子なんだろうか。
ノックが二回鳴り、この部屋に一つしかない扉が開く。
「皆様、お待たせしました」
「おぉ、やっときたか。遅いぞアスタロト」
「はい、申し訳ありません」
……えぇ。お前かよメイドさん。
そこには、召喚された俺を部屋まで連れて行ってくれたメイドが白いドレスに身を包み、裾をあげ頭を下げる姿があった。
「おねえちゃん、エラい人だったんだね」
「えへへ、どう。すごいでしょぅ」
そういいながらくるくると回るアスタロトことフィーシ・アンギィッシュちゃん。
先ほどの食事会では能面が如く、一切表情が無かったのだが、今の彼女は心から楽しそうというかなんというか。
してやったり!という感じなのだろう。
ちなみにこっそりルフォートから聞いたのだが、今年で10歳なのだそうだ。正確には100歳前後。本人に聞かないのって? 俺、まだ死にたくないっす。魔族の女は変にそういうところ気にするからさ。戦闘時もそっちを気にし過ぎた結果、自身の使役する魔物のブレス喰らって山の向こうへと吹っ飛んだ奴もいるし。
「そういえば、コタロウ君は“魔法”って知ってますか?」
「まほう?」
……なんか唐突だな。
「まほうって、ないんだよ?」
「ふふ、それがですね…——灯」
そう唱えた彼女の掌から、柔らかい方のドッジボール程の大きさを持つ黄色い光る球が現れた。
お、初級魔法で使い幅の広い灯か。冬の寒さもこれで凌げるんだよねー。
「コタロウ君のいた世界には、魔法はないかもしれですが、この世界にはあるの。それでね、その魔法も沢山の種類があって、人それぞれで得意不得意があるの。まぁ、例外もあるんだけど」
付加魔法と神酔魔法、それと転移魔法に召喚魔法のことだろうな。
神酔魔法以外はその名の通りだが、こいつは別名宗教魔法。崇めている神を心酔することによって発動可能とする魔法だ。
一応説明すると、付加魔法は味方のステータス上昇、もしくは逆に相手のステータスを下げる魔法がある。
転移魔法はテレポート系だな。空間魔法の派生型と言われている。アイテムボックスが使えるようになる。
そして、召喚魔法。使役魔法とも呼ばれていて、魔物や英霊を扱う魔法とされている。
他にも皆さんご存知4属性やらなんやらがある。
「そうですね、多分おじさんたちは早いとかなんとかいいますでしょうけど……早めに教えた方がてっとりばや「何がかな、アスタロト」サドリアンさん!?」
突如現れたのは、黒髪の男だった。その髪は胸あたりまであり、後ろにやられている。
目は包帯でグルグル巻きにされてるため、どんなふうになってるのかはわからない。
こいつはサドリアン…たしかアメミットだっけか? 影から登場したってことは、つまり尾行してたな。
「アスタロト、お前が調子に乗ってるかもしれないという話があったのでな。様子を見に来たのだが……案の定だな」
「ちちちちちがうんですサドリアンさんこここれは」
「ほう、何が違うのかな?」
口だけ見れば笑ってるようにも見えるだろうけど、なんか黒いオーラが幻視してるんだが。包帯なかったら笑ってない瞳が見えただろう。
「えっとその、この世界に来たばかりだからあんまり分かってないでしょ? だからお姉さんが手取り足取りおしえてててててっ! いひゃいですしゃどりぁんしゃん!!」
「問答無用だバカタレ。お前も教育中だろうが。あとごひゃ……五年は待て」
「え、そんなに短かったでし……あひゃっ!?」
うわぁ、今の拳骨は痛いぞ絶対。『ゴスッ』だったからな音が。『ゴッ』じゃなくて『ゴスッ』。後、アスタロトよ。俺がいる事忘れんなよ。サドリアンは五百年って言いたかったけど何も知らない子供である俺がいるから言えなかったんだよ。
「ったく。……コタロウ様、これをお渡ししておきますね」
そういいながら彼は法衣の裏にポケットがあるようで、そこから一つの鈴を取り出し、チリンッと鳴らす。部屋の中で鳴らしても外には聞こえなさそうなんだが。
「これは魔法具できて、これを鳴らすと、登録された魔力を、もつ相手に信号を送り、尚且つすぐにコタロウ様の元へと駆けつける事が出来るというものです。 これさえあれば、私はいつでも助けに来ますので、常にお持ちください」
そういって俺の掌において、しっかり握らせるサドリアン。
「おまもり?」
「そう……ですね。貴方様を守るための、大切なお守りです。絶対に手放してはいけませんよ」
「うん! ありがとサドリアン!」
ふふっ、と笑うとサドリアンは扉の前でこちらにお辞儀してから、部屋を出て行った。
もう一度鈴を見る。紅色のこれには、日本人がみれば意味がわからないような文字が書いてあるが、魔法陣の類だな。恐らく中にも書いてあるのだろう。
音が鳴らないような、静かにポケットにしまう。
……守るため、か。初めてだな、これは。
「うぅ……サドリアンちゃんのバカァ」
……あ、忘れてたこいつのこと。
横に目を向ければ、フィーシが頭を抑えながら蹲っていた。
お姉ちゃん、大丈夫? とかいいながらゆっくり背中を撫でてやると、ギューッと抱きしめてきた。可愛いなこいつ。
説明回……じゃない気がするけど。まだ細かく設定は決まってませんので、ご了承ください。