悲劇への幸福~ヴァルドナーツ編~
不穏を抱く一人、不精髭の男、ヴァルドナーツのネタバレ過去編その1です。
遥か昔の獅貴族の王国が舞台です。
「ふあぁぁ……、平和だねぇ」
右手に持ったジョウロで花壇に水を遣りながら、獅貴族の魔術師団を率いるその男、ヴァルドナーツはニンマリと微笑んでいる。
団長室の執務机に大量の書類が積み重なって山となっている事も、今だけは忘れたい。
暖かなお日様の光を浴びて、心の栄養をとる事も大切なのだから。
「元気に育つんだよ~」
秘密の庭園と称して通っている王宮内の一角で、彼は自分が種を植えて育てている花達に声をかけ続ける。……そろそろ、激怒した補佐官が怒鳴り込んできそうな気もするが、それで慌てるヴァルドナーツではない。
ちょいっとジョウロの滴を切ってそれを手放すと、近くに生えている大きな木の陰にへばりつく。
「ヴァルドナーツ!! ヴァルドナァアアアアアアアアアアアツ!!」
(来た来た)
ゼクレシアウォード魔術師団を束ねる団長様の秘密の庭園に駆け込んできた女性が、柔らかな光を受けて眩い煌めきを見せる黄金の長い髪を振り乱し、魔神も裸足で逃げ出しそうな形相で庭園内を見回している。ドス……、ドス……、ドス!!
「ヴァルド、ナ~ツ……!!」
緑の生い茂る木の裏にまわってきた魔術師団長補佐官の女性、レフェナが、わざとらしくも恐ろしい笑みで太い幹に虫のようにへばりついているヴァルドナーツの後ろ襟首を掴んだ。
てへっと、可愛らしく笑って見せるヴァルドナーツだが、そんなものが彼女に通じるわけもない。
「仕事サボっといて、その顔は何だぁあああああああああああ!!」
「レフェナちゃん、怖い。可愛いお顔が怖いよ!! 団長泣いちゃう!!」
「うっさい!! この昼行燈!! 昼からは会議もあるんだから、さぼってる暇はないっての!!」
べりりと幹からヴァルドナーツを引き剥がし、レフェナはその成人男性の重みのある身体を引き摺って庭園を出て行く。
実はこうやってレフェナに構いたがってほしいが為に、ヴァルドナーツがわざとサボって見つかりやすい場所にいる事を、彼女はまだ知らない。
獅貴族の王家に生まれ、強大な魔力と知能を有しているヴァルドナーツにとって補佐官のレフェナは、気兼ねなく付き合える存在の一人なのだ。
王族であるが為に、誰よりも強い力を有する魔術師であるが為に、距離を取られやすくもある彼の立場は、大切な存在を得るにも一苦労……。
少しでも近づいて貰えるように、だらしのないマイペースなふりをしてみたり、愛想を振りまいたりしてみるが、魔術学よりも難しいのが人との関係だったから。
ヴァルドナーツは執務室に連れ戻されると、団長用の執務椅子に縛り付けられた。
「レフェナちゃ~ん、縛りプレイなんて趣味があったの~?」
「アンタが逃げない為の処置でしょうが!! 頑張って仕事を片付けたらお茶淹れてあげるから、少しは頑張ってよね」
「ふふ、は~い」
真面目で勤勉な補佐官のレフェナは、ぐーたら……、なフリをしているヴァルドナーツを見捨てずに、毎日のようにこうやって連れ戻しては仕事に向き合わせてくれる貴重な存在だ。
ぎろりと怖い目で自分の仕事をしつつ、ヴァルドナーツが仕事をやっているかも見張ってくる。
普通ならその迫力に震えあがりそうなものだが、ヴァルドナーツにとっては幸せの象徴なのだ。
家族よりも、身近だと感じられる存在かもしれない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「う~ん! ……ふあぁぁ、レフェナちゃん、終わったよ~」
「はい、御苦労様でした。はぁ……、本気になればすぐに片付けられるのに、毎回何で逃亡を図るんだか……。はい、お茶とケーキ」
入室してきた魔術師団の部下達に書類を運ばせ終わり、ヴァルドナーツはぽふんとソファーにダイブした。クッションに顔を埋め、もだもだと動いている様は、人で言えば、二十代前半に見える成人男性にしては幼稚な動きだ。
「ねぇ、レフェナちゃん」
「ん~?」
「午後からの会議って、やっぱり第一王子も来る……、よねぇ」
「そりゃあ、……まぁね。参加リストに名前あるけど、相変わらず苦手なわけ?」
溜息と共にゆっくりと起き上がったヴァルドナーツの憂鬱そうな顔に、ケーキを食べていた手を止めて、レフェナが呆れ交じりに視線を寄越してくる。
獅貴族の第一王子は、半分だけ血の繋がったヴァルドナーツの異母兄だ。
次期国王でもある第一王子は、獅貴族の血筋に相応しく、身体を鍛える事に余念のない鋼の肉体を持つ、所謂……、脳筋体質である。
別に嫌いなわけではない。ただ……、文系であり魔術方面に優れているヴァルドナーツの気性的に、色々ときつい。先日など、身体の鍛え方が足りないと説教をされ、恐ろしい程に重いバーベルをプレゼントされてしまった。
「嫌いじゃないよ、うん……。けどねぇ、どうにも脳筋とは相性が悪いというか」
「ムキムキだもんねぇ、第一王子殿下……」
近づかれると大変暑苦しい。不敬にも程があるが、ヴァルドナーツとレフェナは揃ってそう感じていた。人柄的にはとても良い人だ。だから嫌いになれないし、出来れば適度な距離を保って友好な関係を築きたいとも思っている。そう思って、早何百年の月日が過ぎているのだろうか。
頭の良いヴァルドナーツにも、正直それだけがいまだに解答を得られない難題となっている。
「副団長に行って貰っちゃ……、駄目?」
「あのねぇ……。アンタは魔術師団の顔なんだよ? 会議をサボった日には……、第一王子殿下だけじゃなくて、国王陛下も全力で追ってくるよ。いいの?」
「それ嫌だなぁ……。筋肉モリモリが肉達磨みたいに追ってくるとか……。はぁ、悪夢見そうだよ」
「じゃあ、そうならないように絶対出席。これ決定」
サクッと美味しそうなプルンとした生クリームと柔らかな生地をフォークで切り分け、それを口に頬張ったヴァルドナーツが、少しだけ涙を浮かべながら肩を落とす。
誰にでも、避けられない定めというものはある……。
筋肉モリモリに囲まれ、揉みくちゃにされるその瞬間……、それが、ヴァルドナーツにとっての試練であり定めだ。
まぁ、好かれて気にかけられている分には良いと言えるだろう。
けれど、王族や貴族の中には……、天才であり異端児であるヴァルドナーツを煙たがっている者もいる。魔力を制御する枷、この特注の装飾品をしていなければ、周囲に害を与えてしまう危険性もあるのだ。強大な力を抱いて生まれたが故に、ヴァルドナーツの人生は苦難が多い。
魔力への耐性が強い兄達や父親は気にしないものの、敏感な者になると、自然と彼を避けるようになり、とても家族とは呼べない関係の薄い者もいるのだ。
今の魔術師団の団長の地位も、ヴァルドナーツも閉じ込める檻のようなもの……。
国の為に役に立てと、何の為の力だと脅されているようで……、最初の頃は居心地が悪かった。
けれど、ヴァルドナーツの努力の甲斐あってか、レフェナをはじめとする心を許せる存在が幾人か現れ、彼の日常を寂しくはさせないでくれるようになった。
だから、ヴァルドナーツはこの立場を捨てずに、獅貴族の地に留まっていられるのだろう。
「レフェナちゃ~ん、俺が頑張れるように、膝枕頼んでもいい?」
「よぉーし、拳骨一発かまして気合を入れてやるとしようか」
「えぇ~。レフェナちゃんの太腿気持ち良いのに~」
「ぶん殴るよ!! この変態!!」
眉をぴくぴくと怒りに震わせながら拳を鳴らされても、ヴァルドナーツの顔から笑みが消える事はない。こうやって、素直に反応して、自分を見捨てずに体当たりをしてきてくれる彼女が愛おしくて、いまだに好きだと言えず……、情けない甘え方ばかりをしている。
詠唱を口にして力を揮うのは簡単なのに、どうして「好き」の一言はこんなにも難しいのだろうか。わかってる……、ヴァルドナーツという存在を嫌悪していなくても、男女の恋愛的な意味になれば、……拒まれてしまうのではないか、と、そう怯えている自分がいるからだ。
だからヴァルドナーツは、今日も他愛のない冗談でレフェナを怒らせて、憂鬱な会議に向かう。
変わらない日常、壊したくない幸せな場所……。自分からヒビを入れる事は、ない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁ……」
いつの頃からか覚えた、葉巻の味。
ヴァルドナーツは慣れ親しんだ王宮内にある塔の一番上へと向かい、鐘の傍にある縁に腰かけて煙を口から吐き出していた。
今日もまた、魔術師団での変わらない一日が終わったのだ。
仕事をして、サボッて、レフェナに連行されて、趣味の研究をこなして……、また、一日が終わる。煌めく夜空の星々は今夜も穢れなく、ヴァルドナーツを見下ろしていた。
「どうしよっかねぇ……」
生活に不満はない。けれど、彼にはどうしても手に入れたいものがあった。
いつも傍にいてくれる、太陽のように眩い黄金の髪を纏う補佐官……。
幸せな日々を壊したくなくて何も言わずじまいだけれど、そろそろ限界だ。
傍に近寄って来られると、どうしても触れたくなって……、つい、手が出そうになる時もある。
汚らわしいと、そんな顔をされたら絶対に立ち直れない……。
もう二百年だ。それだけの時を生きていながら、ヴァルドナーツは臆病だった。
レフェナの事が愛しくて、手に入れたいのに、どうしても躊躇してしまう。
「ホント……、駄目だなぁ、俺」
「よっ! ヘタレナーツ。今夜もウジウジしてるのか?」
塔の階段を伝って来たのか、声をかけられるまでヴァルドナーツは彼の存在に気が付かなかった。
この国の者にしては珍しい黒髪を纏うその男は、別の種族とのハーフだ。
獅貴族の騎士団に所属している彼の名は、ラルフ。
所属は違っても、ヴァルドナーツにとっては気のおける友人の一人だ。
「いい加減、レフェナに言っちまえばいいのになぁ。お前、どんだけ怖いんだよ」
「ラルフは好きな子とかいないのかい? 告白って、結構捨て身なものだと思うんだけどねぇ」
「ふっ、俺はこれでも……、連戦連敗の猛者だ」
それは知っている。好みの女の子がいればすぐにドストレートな告白をかます男だ。
けれど、それはどちらかといえば、フラれても構わない好きではないだろうかと、ヴァルドナーツは内心でラルフに本命が現れていないと察している。
だから、そうやってドヤ顔全開で告白は怖くない! と言われても、何の参考にもならないのだ。
「はぁ……、君はお気楽でいいねぇ」
「そうか? けどなぁ、レフェナはお前の事が好きだって、俺はそう思うぞ。でなけりゃ、こんなにも長くフリーでいるわけがない。だろ?」
「……そう、だねぇ」
情報網を駆使してレフェナの周囲に男の影がないか、実は定期的に探ったりしている。
仕事一筋なのか、元々男に興味がないのか、彼女が男と付き合ったという情報は一度たりとも聞いた事がない。もしも、ラルフの予想が当たったとしていたら……。
(俺は、レフェナを待たせっぱなし……、って事、なのかなぁ)
だとしたら、どこからどう見ても最低最悪だろう。
レフェナがヴァルドナーツからの告白を待っていたとして、行動に移れない男というのは……、考えただけでも気が重くなる。
けれど、告白して、実は違っていたら? それこそヴァルドナーツにとっての終わりだ。
本気で心から愛した女性、彼女からの愛を得られなければ……、いっそ塵にでもなって消えてしまいたい。ヴァルドナーツはそう考えてしまう程に、恋愛に関しては臆病な男だった。
「でも、早くした方がいいと思うぞ?」
「……根拠は」
「いやぁ、小耳に挟んだんだけどさ……、レフェナの実家って伯爵家じゃん。で、いつまでも恋人の一人も出来ない娘をどうにかしたくて、伯爵が話を押し進めてるらしいんだよなぁ」
「……マジ?」
「この前仲良くなった伯爵家のメイドちゃんから仕入れた新鮮な情報だ!」
自分の胸を握り拳を作ってドンっと自信をもって叩いたラルフの表情を暫し見つめ、ヴァルドナーツはふらりと塔の上から落ちかけた。
それを大慌てでラルフが手前へと引っ張り、人命救助に貢献する。
「もう早く言っちまえよ。何もせずに嫁に行かれるよりマシだろ?」
「はぁ、やっぱりそうだよねぇ。昔からの付き合いなのに、俺、意気地なしにもほどがあるよ……」
「だからこそ! 今度こそ男になる為に頑張るべきだろう!!」
そう叱咤激励され、ヴァルドナーツはその翌日……、行動に出る事にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あのさぁ、……レフェナ、さん」
「は? 何でさん付けなんだよ。大丈夫か? 変なモンでも食った?」
「いや……、えっと……、です、ね。その……、これから、あの……、暇?」
いつものように、サボったフリをして、愛しのレフェナに連行されて……、仕事を終えてから、ヴァルドナーツは内心でガチガチに緊張しながら勇気を振り絞っていた。
ぱちりと長い黄金色の睫毛が瞬く様さえ可愛いな~と思いながら、ヴァルドナーツはドキドキとしながらレフェナの答えを待つ。
「これから……、って、まだ勤務時間だけど? アンタもアタシも」
「うん、だから、魔術師団長の権限で、今から夕方までオフ、ね? 駄目……、かなぁ」
ぽりぽりと頬を掻いて誘いをかけてくるヴァルドナーツに、レフェナは少しの間考える素振りを見せた後、微かに頬を赤らめて頷いてくれた。
その様子を直視したヴァルドナーツが、これはもしかたら……と、期待に胸を高鳴らせる。
ラルフの言っていた通りかもしれない。レフェナも、ヴァルドナーツの事を……。
「じゃ、じゃあ、とりあえず……、城下にでも行こうか」
「う、うん……」
ただの遊びの上での誘いなら、ここまで緊張した事はない。
けれど、今日は違う!! 抑えに抑えてきたこの想いを、レフェナにぶつけるのだ。
そんなヴァルドナーツの挙動不審な緊張が伝わっているのか、彼女もまた、どこか動きに落ち着きがない。執務椅子から立ち上がったヴァルドナーツがその手に触れると、びくりと身体を震わせて恥ずかしそうに視線を注いできた。
「――っ」
もうこの段階で、何かが抑えきれなくなりそうなヴァルドナーツだったが、それでも必死に耐えた。せめて告白を成し得るまでは、不埒な真似をするべきではない。
へらりと誤魔化すように笑って、ヴァルドナーツは手を離した。
「ごめんね? えっと、王宮の入り口で待ってる……、から、来てね」
「う、うん。じゅ、準備したら、……す、すぐ行く、から」
この光景をもし第三者たる魔術師団の面々やラルフが目撃すれば、この恋愛初心者が!! と、歯がゆく思いながら陰からツッコミを入れた事だろう。
どちらも二百歳超えの年齢だ。とっくの昔に少年少女の時期は過ぎている。
だというのに、いつもとは違うヴァルドナーツの様子が直接的過ぎるせいで、レフェナも照れ照れとしてしまい、色々な意味で焦れったい!!
だがしかし、ツッコミ要員は不在だ。ぎこちなく先に執務室を出たヴァルドナーツが、扉の外で内心狂喜乱舞し顔を赤くしている姿を見ている者もいない。
誘い出す事には成功した。あとは……、城下で良い雰囲気を作り、ヴァルドナーツが見つけた秘密の場所へと連れて行き、一世一代の告白を!!
と、拳を握り締めて歩き出したヴァルドナーツだったが、何故かこれから起こる事を知っているかのように、王宮内で出くわした父王や兄達が彼に恋愛成就のお守りを次々とプレゼントにやって来た。しかも、「「「告白、頑張れよ!」」」的な言葉まで貰ってしまい、ヴァルドナーツの心中は羞恥とパニックに陥ってしまった。何故知っている!! 何故今日が告白の日だとわかった!!
「いやぁ、その顔を見れば、誰だってな~。あと、朝からお前が一人でブツブツ言ってたのも、王宮の奴ら皆に聞こえてたと思うぞ? かくいう俺も、お守りを渡しにきた!」
ひ、独り言に出ていた……、だと!?
手のひらに落とされたピンク色のお守り袋には、やはり恋愛成就の文字が。
駆けつけてくれた親友ラルフからの晴れやかな声援に、ヴァルドナーツはその場で顔面をさらに真っ赤に染め上げ、お守りを懐に直した直後、三階の窓から飛び出して行ってしまった。
「ははっ、青春だなぁ~。幸せになれよ、ヴァルドナーツ」
悪気は感じられなかったものの、告白前に多大なプレッシャーを課せられる事になってしまったヴァルドナーツは、当然……、レフェナとの待ち合わせにも、そのままの顔で現れたのは、言うまでもない。それに感化され、彼女もまた、愛らしく頬を染めていた事も……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「て、天気……、いいねぇ」
「そ、そうだね……」
日差しの降り注ぐオープンテラスで白く丸いテーブルを囲む恋愛初心者二人……。
互いに同じオレンジジュースの入ったグラスからストローを使って喉を潤し、早十分。
会話らしい会話が……、ない。
お前らは子供か!! と、その焦れ焦れ過ぎる初心者全開の光景に、物陰や茂みに隠れているヴァルドナーツの恋を全力で応援する会の者達がツッコミたいのを堪えている事など知らず。
普通に遊びに出ている時は、ヴァルドナーツのヘラヘラとした言動にレフェナが叱咤を入れつつ、なんだかんだで会話が成り立っているはずだった。
それなのに、今日のこれは何だ……。意識し合っている、と前向きに考えればいいのか。
私服姿の二人は、オレンジジュースにばかり視線を落としてもじもじとしている。
「あの、さ……。小耳に挟んだんだけど、お、お見合いの話……、ど、どうなったのかなぁ、と」
「へっ!? み、見合い……? だ、誰の!?」
「レフェナちゃんの……」
「し、知らないよ!! アタシは見合いなんて……っ」
――よし、その良からぬ話は裏で握り潰しておこう。
息子を見守る父王と兄王子達が密かに誓い合っている事も、当然今のヴァルドナーツは気づいていない。ただ目の前に座っている愛おしい女性の事だけしか見えていないのだ。
レフェナが見合いの事など知らないと言い張り、受ける気もないと力強い声で訴えてきたお陰で、ヴァルドナーツはほっと内心で胸を撫で下ろす。
「そっか~。お見合い、しないんだねぇ」
「あ、アンタの方はどうなんだよ……っ。い、一応、ゼクレシアウォードの王子様だし、そろそろ、その、け、結婚、とか」
「え~、俺は立場がちょっと複雑だし、性格もこんなんだからねぇ……。ははっ、大人しいお嬢さん達じゃ、怖がるか呆れるかして逃げちゃうだろうし、レフェナちゃんぐらい懐が深くないと」
「え? あ、アタシ?」
ぴたり……。
自分が口にした発言を自覚し、ヴァルドナーツは笑顔のまま固まってしまう。
レフェナも、そこで自分の名前が出てくるとは思わず、彼女らしくない乙女モードへと入ってしまった。……あぁ、本当に焦れったい!!
物陰や茂みに隠れ潜んでいる、と、自分達は思っている見守り隊は、何故かまた人数を増やしている。男ならそこで正面から告白しろー!! と、ヴァルドナーツの胸倉を掴んで奮い立たせたい一同の気持ちなど、やはり彼は知らない。
「えっと……、ほ、ほら。レフェナちゃんは、どうしようもない俺の事も、見捨てずにいてくれるでしょ?」
「う、うん……。ま、まぁ、アタシ、補佐官だし……、し、仕事、だし」
「あ、仕事……。そっか、そうだよねぇ。好き好んで俺の世話やってるわけじゃ……、ははっ、いつも、本当にごめんねぇ」
おいおい。彼女が照れ隠しに建前を盾にとっただけだと何故気付かない!?
一瞬にして告白する自信を失くしていくヴァルドナーツの情けない様子に、父王や兄王子達の拳がバキボキと不穏な音を立てる。恐らく、喝を入れに行きたいのだろう。
「け、けど……、嫌じゃ、ないよ?」
「へ……」
「アンタの世話、……あ、アタシぐらいしか出来ないだろうし、け、結構……、好きでやってる部分も、あったり……、なかったり」
「レフェナちゃん……っ」
獅子の姿になっていないというのに、ヴァルドナーツはレフェナの言葉に感動と喜びが感極まったのか、ぴょこんと中途半端に獣の耳が頭に生えてしまっている。
よし、これで何とか自信を回復したようだ。どうかこのまま告白まで頑張ってくれ。
祈るような見守り隊の願いはエリュセードの神々に届いたらしく、カフェテラスでの会話は徐々に口数が増え、店を出る時には二人とも笑顔になっていた。
「ヴァルドナーツよ……っ。父は、父は心からお前の恋が成就する事を祈っておるぞぉおおっ」
「うぅっ、頑張れ、弟よぉおお! この兄が見守っていてやるからなぁっ」
「男を見せる時だぜ!! ヴァルドナーツ!!」
いい加減、仕事をしに王宮へ戻れ……、この過保護共。
などと冷たいツッコミを入れる国民性ではない為、何故か二人の後をつける数が道を進むごとに増えていったのは、やはり言うまでもない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それから一時間後、レフェナは雑貨屋で買い忘れた物を購入し、表で待っていたヴァルドナーツと合流する為に店の外へと出た。
しかし、どれだけ周囲を見回しても……、あのダラシのない笑みが見当たらない。
「ヴァルドナーツ……?」
何故だろう。別に危険な場所で一人になったわけでもないのに、心がきゅうっと孤独感に苛まれた。いつもとは違う様子だったヴァルドナーツ、自分を見る眼差しが、いつもよりも切なくて……、もしかしたらと、そう期待してしまったせいだろうか。
さっきまで一緒にいた彼の姿がない事に、レフェナはどうしようもない不安を抱いてしまう。
からかわれた……? 恋に不慣れなレフェナの反応を見て、楽しんでいた?
ぎゅっと、両手に抱く紙袋を抱き締めたレフェナは、それでもヴァルドナーツの姿を探して歩き始めた。
「どこ……。ヴァルドナーツ……、ヴァル」
まるで子供みたいだ。彼の姿がないだけで、こんな辛さを味わう、なんて……。
歩き続ける内、レフェナは人混みに押されて地面の石に躓いて転んでしまった。
紙袋から……、せっかく買った品物が零れだしてしまう。
ヴァルドナーツに放り出された自分自身を表すかのように……。
けれど、そんな寂しさはすぐに消え去ってしまった。
遠くから……、必死にレフェナを呼ぶ声が聞こえてくる。
「レフェナ!! レフェナぁああ!!」
「ヴァル……、ヴァルドナーツ? ――痛っ」
迎えに来てくれた。背後を振り返ると、人混みの向こうからどんどんその声が近くなってくる。
けれど、レフェナは立ち上がろうとした矢先に指先を通行人に踏まれてしまい、片手で紙袋と品物を拾いながら、どうにか体勢を立て直した。
ジンジンと痛む指先、これは、さっきまでヴァルドナーツに放り出されたかもしれないと絶望していた自分の心の痛みと一緒だ。
「レフェナ!! ごめん!! ちょっと離れた隙に店から出てくるとは思わなくてっ!!」
「べ、別に……、気にしてないからいいよ。また、いつもの気まぐれでどっかに行ったぐらいしか思ってなかったし……」
「いやいや、王宮内ならわざとそうする時もあるけど……、レフェナ、指、どうしたの?」
片手に紙袋を抱えているレフェナが、だらりと垂らしていたその左手の異変。
ヴァルドナーツは彼女を大通りの端に連れて行くと、路地の方に入ってその指先の怪我を心配そうに労わった。いつもの飄々としてダラシのないマイペースな様子は微塵もない。
レフェナの負傷して赤くなっている指先を持ち上げ、唇を添わせながら治療を始めてしまう。
「ちょっ、ちょっと、ヴァルドナーツ!! な、なにやって、……んんっ」
「ごめんね。俺が目を離したせいで……、すぐに治すから」
「ち、治療なら、え、詠唱だけでも……」
そう拒んでも、ヴァルドナーツはレフェナの指先から温もりを引かせる事はしなかった。
温かな治癒の淡い光と共に、僅かな舌先が指を這う。
こんな事、何とも思っていない相手からされたら不愉快どころか、嫌悪の感触でしかない。
けれど、レフェナは不快に思うどころか、ずっと想い続けてきた愛おしい男性の温もりに、その場を動けず鼓動がどんどん速くなっていくのを感じていた。
「馬鹿……。アンタのせいじゃ、ないのに」
「俺のせいだよ。ほんの少しだけ、って……、近くの店にクレープ買いに行ってたから」
「……クレープは?」
「ん~……、レフェナの姿がなくなってから、近くにいた子供にあげちゃった」
本当に馬鹿だ。この王都内で滅多な目に遭うわけなんてないのに、魔術師団に所属しているレフェナが、たとえ暴漢に遭ったとしても、害を成される危険性は皆無なのに……。
一生懸命探してくれた事が、あの時の自分を呼ぶ必死な声音を聞けばわかる。
柔らかな茶色のクセっ毛もぐしゃぐしゃに乱れているし、触れてくる息も……、熱い。
「ありがと……」
「ん?」
「探してくれて……、ありがと。ヴァルドナーツ」
「……探すに決まってるよ。君がいつも俺を見つけ出してくれるように、ね?」
治療を終えた手に触れたまま、ヴァルドナーツは顔を上げて嬉しそうに微笑んだ。
最初は、なんてダラシのない駄目男なんだろうと……、仕方なく始めた補佐官の仕事。
すぐに仕事を放り出していなくなるし、部下に対して弱音も吐く。
そのくせ、仕事ときちんと向き合わせれば完璧にこなすし、魔術師団長としての能力も申し分ない。出来る男なのか、はたまたやっぱり駄目な男なのか……。
最初の頃は本当に困ったものだった。けれど……、ヴァルドナーツという男を知れば知るほどに、その存在から離れ難くなってしまった。
ゼクレシアウォードの第五王子に生まれながらも、彼はその強大な力故に、とても複雑な立場に置かれている。獅貴族の血を色濃く受け継いで生まれた、一番力の強い王子。
現国王や兄王子達はヴァルドナーツを愛しているが、その強すぎる魔力を枷で抑えていても、僅かに漏れ出すそれに対応できず恐れを抱く王族や貴族の存在もある。
魔術師団という檻に閉じ込めておきながらも、いつかこの国に災いをもたらすのではと、勝手な懸念を抱いている者も多いのだ。
明るくヘラヘラと愛想の良い笑みを浮かべ、何も気にしていないと取り繕いながらも、ヴァルドナーツは誰よりも孤独だったのだ。
それというのも、幼い時に実母を亡くしたヴァルドナーツは、魔術師団に預けられるまで……、この王都から遠く離れた離宮で軟禁状態に遭っていたと、レフェナは王宮内の噂話から情報を得ていた。魔力を封じ込め、国に害を成す事がないと証明出来るまで、貴族達がヴァルドナーツという存在を否定し、あわよくば葬ろうとしていた事を、レフェナは知っている。
ヴァルドナーツに何も罪はないのに、彼の存在を否定していた貴族の中に……、レフェナの父親がいた事も。
有能な者は優遇され重宝される。けれど、時に力を持ち過ぎた有能過ぎる存在は、排除の対象となる……。レフェナの父は周りの貴族に流されているだけの小者だったけれど、母は違った。
自分の目で、相手の本質を見なさい……と。彼女の母はいつもそう言っていた。
だから、レフェナは魔術師団長の補佐官の仕事を引き受けたのだ。
そして……、長く共にいる内に、彼を愛する一人の女となってしまった。
「ヴァルドナーツ……」
「そろそろ行こうか。俺のとっておきの場所に案内するよ」
そう、ニコッと裏表のない顔で笑ったヴァルドナーツは、直後にレフェナの身体をその腕に抱き上げた。お姫様抱っこだ!! 大通りを行きかう人々が、彼の大胆な行動に目を丸くしている。
じたばたと暴れて下すように懇願するものの、ヴァルドナーツの力が弱まる事はない。
「もうはぐれないように、ね? 大人しくしてて」
「なっ!! お、お願いだから、下してってば!! 恥ずかしい!!」
「大丈夫だよ。すぐに飛ぶから」
魔力を使い大空へと舞い上がったヴァルドナーツに、レフェナは真っ赤になって馬鹿馬鹿!! と、少女のように連呼する。
確かにこの上空なら恥ずかしがる必要もないかもしれないが、お姫様抱っこという体勢は、レフェナの心境的にそれだけで羞恥極まりないのだ。
それも、密かに想いを寄せているヴァルドナーツの腕の中だ。ダブルで鼓動が落ち着かない。
「今日は大事な話があるから……。ごめんね、離してあげられないんだ」
「うぇっ……、だ、大事な、話?」
その真剣な表情に、レフェナはまさかまさかと心の中で繰り返してしまう。
自分を見つめるヴァルドナーツの眼差しが、普段とは違う。
レフェナを落とさないようにしっかりと彼がその身体を腕に抱えなおした際、互いの顔がすぐ近くまで迫った。
「正直……、怖いけど、頑張るよ」
「な、なにを……」
「だから、レフェナも……。出来れば、少しでいいから、考えてくれると嬉しいな」
まだ言葉にはせず、ヴァルドナーツはレフェナの額へと軽いキスを落とした。
そして、目的の場所を見据えて大空を駆け始めると……、やがて、どこまでも広がる青の世界が二人の視界に映り込んできた。
ゼクレシアウォードの港にも海は広がっているが、ヴァルドナーツが向かった先は、他国の領域に入った場所にある、白い砂浜の広がる場所……。
そこに人の姿はなく、町からも遠く離れているようだった。
「たまに息抜きで来るんだよね~。景色もいいし、人もあまり来ないし、昼寝には……、あ」
「たまに全然姿が見えなくなる時があったけど、ここに来てたのか?」
流石に大事な会議や仕事が入っている時にそんな真似はしなかったが、時折ヴァルドナーツは月に何度か消える事があった。
その度にレフェナが探しまわりながら……、もしかしたら国を出て行ったのかもしれないと不安になっていた事など、この男は知らないのだろう。
見つけられない時は魔力の気配を追うのが常識だが、ヴァルドナーツは誤魔化したり相手を翻弄したりするのが得意で、たまに完全にその気配を絶つ時がある。
むぅっと頬を膨らませて睨み付けると、彼は申し訳なさそうに両手を合わせた。
「ゴメンナサイ……」
「……はぁ、もういいよ。ヴァルドナーツも、一人になりたい時がある、って事なんだろうし」
「まぁ、たまに……、ね。何もかも忘れて、ただの自分になりたい時があるんだ」
「その場所に私を連れて来たって事は、ここまで探しに来てもいいって事?」
流石に王都から離れ過ぎていて、余程の重要事がない限り足を延ばす場所でもない。
けれど、この場所を教えてくれたヴァルドナーツが、言葉にはせずとも、レフェナを自分の内側へと受け入れてくれたようで、何だか嬉しくなってしまった。
ヴァルドナーツも、幸せそうに微笑んでレフェナに頷いている。
「他の人には教えちゃ駄目だよ」
「うん。アタシとヴァルドナーツだけの秘密、だね。……ふふ」
「どうしたの?」
レフェナは砂浜に足を伸ばして座ると、顔を覗き込んできたヴァルドナーツにクスクスとまだ笑い続ける。まだ確かな言葉を貰えたわけではないけれど、今日の彼は内側が素直に溢れてくる仕様のようだ。
「ねぇ、ヴァルドナーツ」
「ん?」
「ヴァル、って……、呼んでもいい?」
「愛称で呼んでくれるの?」
「呼んでいい?」
コクコクと少年のように素直な頷きを見せるヴァルドナーツの顔は、レフェナと同じように嬉しそうで、まだ夕陽の時間も来ていないのに赤味を宿している。
たまに感情を荒げた勢いで、その愛称を呼ぶ事はあった。
けれど、今日からは……、ずっとその音で呼びたい。
幸福の花が目の前で開花するかのように、レフェナは幸せそうに笑ってその音を呼んだ。
「ヴァル……、ヴァル」
「なんか、照れるねぇ……。色々と覚悟してきたつもりなんだけど、期待しても、いいのかな?」
むしろ、どれだけの長い間待たせてくれたのだと文句のひとつも出るところだが、レフェナは臆病なのは彼だけではないと自身を叱り、笑みを深めた。
好きだと気付いたのは、もうずっと前……。
魔術師団長と、その補佐官の壁を突き崩せなかったのはレフェナも同じなのだ。
本当は自分から言いたくなっているのだが、男性の矜持を傷つけるわけにもいかない。
隣に座ったヴァルドナーツと海を眺めながら、レフェナは繋いだ手の温もりを感じながら辛抱強く待つ事にした。
聞こえるのは、互いの鼓動と……、穏やかに打ち寄せる微かな波の気配だけ。
言葉はないけれど、苦痛も虚しさも、存在しない。
徐々に訪れ始めたオレンジの世界の中、ヴァルドナーツは懐から小さな装飾の施されたジュエリーケース、形からして指輪の入っているものだろう。それを取り出した。
銀に煌めく大きさの違う指輪が二つ。中心に綺麗な青く小さな宝石があしらわれているそれを、ヴァルドナーツが自分の指に嵌めて、もう一つを右手のひらに乗せて、真顔になった。
「レフェナ……」
「は、はい……」
もうここまでくると、何を言われるかなんてわかっている。
けれど、ヴァルドナーツが伝えてくれようとしているその秘められていた想いが音となっていく瞬間に、レフェナは今までに覚えた事もない程の胸の高鳴りを感じていた。
「君にとっては、その……、迷惑な話かもしれないんだけど……。俺みたいなぐーたらでどうしようもない臆病な男なんて、好みのタイプじゃない、って……、自分でも全然自信ないんだけど」
「ヴァル……」
「もう、ずっと前から……、自分でもどうしようもない想い、というのを抱えていて、それを初恋と呼ぶんだって自覚してからは、幸せな気持ちになる反面、怖くも、あって……」
「う、うん……」
魔術師団長としてはどこまでもマイペースで、能ある鷹は爪隠すというタイプなのに、自分を前にして想いを告げようとしている彼は、やっぱりどこか臆病で……。
そんな繊細さも、レフェナにとっては愛おしくて……。
「けど、伝えないと……、伝えずに終わったら、これから先の長い人生……、俺は何の意味もなく抜け殻で死ぬまで過ごす羽目になる。それだけは、君が他の人と一緒になる未来だけは、見たくなくて……」
「うん……」
ヴァルドナーツはレフェナの左手に指輪を絡めながら口ごもっていたけれど、やがて覚悟を決めたようだった。
レフェナの左手の薬指に指輪をするりと嵌め込んで、彼女の指の間に自身の温もりを絡め、しっかりと繋ぎ合う。
「レフェナ……、君の事が、好きだ。俺の全てを投げ出してでも、君を手に入れたい。一緒に寄り添って、最期の瞬間まで……、君と歩いて行きたいんだ」
「ヴァル……」
はい、そう応えた彼女の想い事呑み込むかのように、ヴァルドナーツは恋に溺れる男の瞳で、レフェナの唇を奪った。
ずっと抑え込んでいた互いの想いが、流れ込み合うかのように……、熱い吐息と共に交じり合う。
誰にも邪魔されない、二人だけの場所……。重なり合う温もり。
「ん……、ヴァ、ヴァルっ。ちょ、ちょっと休憩っ、んぅっ!?」
「……ごめんね。ずっと抑えていたせいか、少しだけ、欲張りになる事を許してほしい」
耳に心地良い漣の気配よりも、想いを交わし合ったヴァルドナーツと自分の吐息や唇の隙間から零れ落ちる音の方が、どんどんレフェナの存在を侵食していくかのように感じられる。
ようやく通じ合えた想い人の重みは彼女を気遣い、決して潰したりはしない。
繋ぎ合っている温もりはしっかりと絡み合い、二人を分かつ事は決してないと思わせる程にぴったりと重なり合っている。
暫くして顔を上げたヴァルドナーツは、夕陽の優しいオレンジに包まれながら、レフェナを想う愛おしさと、手に入れた幸せを噛み締めているように見えた。
――これが、二人の手に入れた幸福の始まり。
――そして、悲劇の終焉までの、始まり。
後にレフェナは苦悩する事になる。
愛する温もりを自分から手離す事を、彼を不幸にする自分を……、殺したい程憎む事になると、知らずに。
☆ヴァルドナーツ
遥か昔、獅貴族の王国、ゼクレシアウォードの王族として生まれた青年。
本編では、四十代前半の不精髭のダラシのない男性の外見で登場するが、
それは仮の器を使っている為。
過去編では、二十代前半程のゼクレシアウォード魔術師団の団長服に身を包んでいます。昼行燈と呼ばれる程にぐーたらマイペースな行動が目立ちますが、
本気になると相当に出来る男です。
生まれつき強大な魔力と色濃い獅貴族の血を継いでおり、
魔力を封じる枷を至る場所に装着しています。
☆レフェナ
過去の時代に生きていた、ヴァルドナーツの唯一人の相手。
魔術師団団長補佐官で、伯爵家の娘です。
気が強く世話焼きな女性で、ヴァルドナーツの補佐官を長く続ける内に、
彼を愛するようになりました。
幸せを手に入れてから数百年後、ヴァルドナーツをその手にかける存在です。
本編では、獅貴族の王女レアンティーヌとして生きています。




