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31日目に君の手を。  作者: 篠宮 楓


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4 原田視点・1

再びの、辻、下ネタを言うの回です。

一言ですが、苦手な方はブラウザバックでお願いいたしますm--m

「で、どうしたの? 原田」


部室に駆けこんで文句を言おうとした原田は、何でもない様にパイプ椅子に腰を掛けた辻に言いだそうとしていた言葉を飲み込んだ。

その目が、じっと原田を見上げていたから。

佐々木と井上はいつもの定位置に腰かけつつ、うんうんと頷く。


「朝から様子がおかしくてさ、お前担任怖がらせてどうするんだよ」

佐々木が鞄からペットボトルを出して長机の上に置くと、パイプ椅子の背もたれに寄りかかった。

ぎしりという音が、部室に響く。


担任……、線の細い数学教師を思い出す。

気の優しい担任を怖がらせたという事実に、辻に対してわき上がっていた怒りが一気に冷えていく。

いや、なくなるわけじゃないけれど、原因は自分にあるわけで……。



……あるわけだけど、あれはない。

聞こえた女子が、可哀想だ。

これだけは言っておかねば。



原田はため息をついて、椅子に腰かけた。

少し間を空けて横に座る井上をちらりと見てから、辻に視線を移す。

「とりあえず、もうあんな発言するなよ」

それにアオの名前出されたら、笑い話にもなりゃしない。

辻はにぱーと笑って、頬杖をついた。

「原田がおかしくならなきゃ言わないけど?」

「いや、高校生があぁいう事言うのどうかと思うし」

「何言ってんの、男人生の中で性欲が一番強い年齢って……」

「だから! そういう小ネタも、もういいから!」

さらりと下ネタを挟んできた辻の会話を強制的に遮って、原田は疲れた様に背もたれに寄りかかった。



全身から力が抜けた状態って、こういう事言うんだろうなぁ……



そんな事を考えながら、でも流れ的に瞑った瞼が重くて持ち上がらない。

ずしりと体全体に何か体重を掛けられているような、反対に何の力も出ないような。

口を開くのも億劫になってきて、溜息をついた。


「どうしたよ、原田。ホント、お前おかしいぜ?」

気遣うような井上の声が聞こえたけれど、アオの事もクラスでのことも何もかもが見えない重しになって動く気力も出てこない。

心配されているのは分かってる。

分かってるけれど...



「僕、お腹すいたなぁ」


何の脈絡もなく、辻がぼやいた。


ぎしぎしとした雰囲気だった部室に、微妙な空気が漂う。

「てなわけで、外のコンビニいくかなー。佐々木と井上も付き合いなよ。さっきのご褒美ちょーだいな」

なんの悪意もないその声に、がたりと椅子を蹴って立ち上がったのは佐々木。

「ご褒美かよ! 俺達に迷惑料じゃなくて!? っていうか、うちのクラスに迷惑料……!」

佐々木がつっこみよろしく叫ぶと、辻が椅子から立ち上がった。

「だって、ちゃんと耳塞いでねって言ったでしょ? 塞がなかった子は、自業自得だよ。ね? 井上」

「俺に振るなよ……」

疲れた様にため息をついた井上が、辻に続くように立ち上がった。


「……昼買うなら、弁当屋の方がよくねぇか?」

「弁当屋とコンビニ。僕、ゼリー食べたいから」

「なんでお前はマイペース!」


コントのような会話の後、井上が再び溜息をついた。

「まぁ、辻に押し付けたの俺達だし。昼飯も合わせて買ってくるか。原田、ちょっと出てくるな」

ぽん、と肩を叩いてそう言ったけれど、返す声がどうにも口から出なかった。


けれど三人ともそんな原田に何を言うわけでもなく、さっさと部室から出て行ったらしい。

ばたりと薄いドアが閉まる音。

チープなどこにでもある薄いそのドアが閉まって一人になった途端、体を起こしている事さえ億劫になって机に両腕を置いて顔を伏せた。

もうこの後はないと思い……たい!

ホント、すみませんでしたm--m

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